劇場公開日 2021年9月23日

  • 予告編を見る

「くしくもこの時期に…。」総理の夫 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0くしくもこの時期に…。

2021年9月23日
PCから投稿

今年124本目(合計188本目)。

くしくもこの時期に公開されるというのは、何かのめぐりあわせなのでしょうか…もっとも積極的な意味はなかったと思うし、これだけコロナコロナ言っている状態だと、リアル永田町がどうでも映画としては放映しないとどうしようもなくなるので、仕方なしかな、とは思います。

出てくる政党名などはすべて架空のものですが、公職選挙法等は適用されているようです。このあたりはきびしくチェックが入っているようです。

日本では確かに「現在」(2021年9月23日)、女性の内閣総理大臣はいません。
そして日本では内閣総理大臣は、間接選挙制なので、選挙人たる私たち(選挙権を持つ人たち)が直接選ぶ仕組みになっていません。

 ひるがえって日本の地方レベルに戻ると、地方自治法などの規定を見れば、確かに
   ・ 都道府県知事 30歳以上
   ・ 市町村長 25歳以上

 …となっていて、実際に女性のトップ(地方のレベルで)ということはあったことも事実です。一方で男性と女性とではできることが少し違います。特にこの映画で描かれる「出産・子育て」ということは、どうしても男性には変わってできない行為です。

 そのため、実際に調べても、30歳/25歳以上となっていても、またさらに「実際に、地方の自治について特定の(地方)政党で学習する」などといったハードルが課せられてくるので(男女問わない)、結局そうすると、「出産・子育てがひと段落して、男性・女性関係ない状態」になってしまっているのも、これまた事実です。

 その意味では直接選挙が可能な地方議会から、「出産等もかかえているなんとか市長」とかという例があればよかったのですが、探した限り出てきませんでした(国の制度と地方の制度は違うが、参考になるべき点は参考にすべきなので)。

 映画全体としては、やはり時期が時期だったか、時期がいつでも、この手の映画はあれこれ描きすぎると炎上しかねないという一面があり、それを避けるために結果的に「しょぼい」状態になっていること、それ自体は事実です(あくまで政治をテーマとして見るのであるのなら)。

ただ、「史実ではないが、史実に準じる、個人の思想が入り乱れる」この類型の映画で、あれもこれも盛り込み始めるより、ここで(ストーリーを)終わらせるべきだったのだろう、と思います。

その点も考えると、「やや終わり方が不自然だが、いろいろ考えると仕方がない」点、また、コロナ事情で「じゃ、伝えたいこと全部伝える内容にしたら4時間になりました」なんていうほうが困るので、そこは減点対象とせずフルスコアとしました。

yukispica