ある人質 生還までの398日のレビュー・感想・評価
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思ったよりも実話部分が多く、観る価値を感じた良作!
観賞後、
ダニエル・リューの生還劇を記したノンフィクション
『ISの人質 13カ月の拘束、そして生還』の読者プレビューを見た。
驚くことに映画でのエピソードが脚色ではないことを知った。
派手な脚色がなく、強調し過ぎたメッセージもない、
良い“作品”だと思って観終えたが、
まさか、細かいエピソードまでも”実話”だったとは・・・
ただ、それでも気になったのが
人質に”商品価値”がなくなれば、容赦なく殺害してしまうテロリストも
初めて人を殺すときにはためらいの心があるという部分だ。
これは映画の中で言葉でもシーンでも表現されている。
果たしてこの部分は実話なのか?
ノンフィクション本では描かれているのかもしれないが、
考えさせられるところだった。
イスラム国では、子供に戦闘の教育をしたり、子供が斬首刑ごっこで遊んだり
していたらしい。
その子供たちは今頃どうしているのか?
人を殺すことにためらう心をもっているのだろうか?
色々考える機会を与えてくれた映画だ。
映画.comでの評価が低いのが残念だが、観る価値のある映画だと思う。
イスラム国(IS)の人質になったデンマーク青年ですが、ISの身代金要求に対して、デンマーク政府はテロリストには一切払わないという主義を維持しており、家族が奮闘して身代金を工面するというお話です。
映画タイトルそのものが完全なネタバレなので、いったいどこまで書くと「ネタバレ扱い」になるのか謎ですが。
もしも「釈放されるのか否か」が不明なドラマとして描かれていたなら、もっと面白かったかも知れませんが、しょせん、相手の言うがままに身代金を払っての釈放なので、爽快感のカケラも感じることはできませんでした。
ただし、ISのテロリストの素顔や雰囲気は、うまく再現されていたと思います。
しかしそれにしても、数億円の身代金を払うために莫大な借金の山を家族に抱えさせたにもかかわらず、それでもジャーナリスト志望を諦めない青年の気持ちの理由がまったく描かれていないのが、不満な点だと思いました。
ただ、ISに関して、比較的中立的な描き方をした映画なので、時事情報を得るという意味では価値のある映画だとは思います。
自己責任論について
自分の意思で行った危険をかえりみない行動が起こした結果はその行為者が責任を負うべきという、自己責任論があります。
一方自己責任論への反対意見として、次のようなものがあります。
・世界のどこかで凄惨・残忍な行為がなされている場合、誰かがそこに行ってその事実を伝えない限り外部の人間は知ることができない。
・その残虐行為が行われていることを知らないということはその行為がなされていないということを意味しない。
・それゆえ、危険を顧みずその事実を世界に伝えようとする行為は評価されるべきであり、政府は救出に責任を持つべきである。
この作品は、取材経験の乏しい若者が一旗揚げるために紛争真っただ中のシリアに取材にいき、過激派組織に捕まった1年あまりの悲惨な記録です。
彼の母国はテロリストを支援することになる身代金支払いを拒否します。一方で身代金を払った国もあったようです。
彼の家族の募金活動の結果として彼は助かりますが、殺されてしまった捕虜もいます。
シリアに関しては、歴史・宗教・政治面で非常に複雑な国家です。
米ロ英仏等の大国のパワーゲームに翻弄される状況にあるそうです。
彼の行動に同情できない点もありますが、少なくとも安易に貶すのは違うのだろうと思います。
ちなみに楽しい作品ではありません。
緊迫感は半端ない
息詰まる緊迫感が続きます。
娯楽作品の様なヒーローも登場しない。
人質の悲惨な描き方もやりとりも生々しい。
身代金を用意すれば、さらに人質を増やす。
やはり現実は甘くないし救いもない。
やられたらやり返すは今も昔も変わらない。
46クローネ
2012年にケガをしてデンマーク代表体操選手から離脱した主人公が、写真家となり訪れたシリアの非戦闘地域でISISに拉致されて、解放されるまでの13ヵ月の話。
拉致されるまでの経緯をサラッとみせて、すぐに1人監禁される主人公。
1度は希望の目が訪れるものの、今度は複数の人質達共に監禁される主人公達、身代金集めに奮闘する家族、間で動く元軍人の救出専門家、をみせていく。
ひたすらにみせる主人公が受ける仕打ちに、痛々しさが積み上がっていく中で、甘く考えた家族達の失敗と、それにより巻き起こる絶望。
決して責められるものではないけれど、確かに見方を変えて極論を言えば、それはISISへの侮辱であり、命を賭して救出を助ける交渉役への侮辱でもあるし。
さらに言うと、家族の思いは別として、頑なにテロに屈しないという政府の言い分も、それはそれで正論だし。
テロリストへに金が渡れば更なる活動を助長することにもなるからね…。
流れとしては同じ様なことの繰り返しではあるけれど、確実に前進しつつ、絶望と希望と葛藤が入り乱れた話をしっかりとみせてくれて、そしてそれだけでは終わらないせめてもの救いもあって、とても良かった。
憎しみの連鎖
写真家になることを夢見ていた青年が、現地で暮らす人々の生活を写すためにシリアに行くが、ISISに捕らえられてしまい、そこで出逢った他の人質とのふれあいや、家族の闘いを描いた作品。
このテの作品を観るたびに思うが、これが現実世界で起きていることだなんて。
何の罪もない、正義感の強い青年の悲痛な叫びが胸に突き刺さる。
そして、人質達もそうだけど、その家族達にとっても重くのしかかる苦痛。テロへの資金提供になるという事実もあるが、悔しいがこれしか解決方法はないか。改めて卑劣なやり方ですね。
冷酷に見えるけど、政府の方針も決して100%否定できないことも確か。その一方で助けてくれる人がいるのは救い。
46クローム、粋なことを…。
映画作品としては、2時間20分の長さを感じさせない良作ながらも、序盤のテンポがちょっと良すぎ。写真の道を志す描写や、家族とのシーンにもう少し費やして欲しかったかも。
後は、身代金について。ドル・ユーロ・クロームと、場面ごとに異なる単位で表現したりするのでいまいちわかりづらい。もう金が集まった!!と錯覚しちゃった。
とは言え、ここまで入り込める作品も中々無い。観ているこちらまで涙が出そうになるのは、悪人達への憎悪、そして絶望の中に垣間見える仲間達の心強さ、温かさの所為か。
世界平和はどうしても訪れないものなのでしょうか。。
この憎しみの連鎖をどこかで断ち切らなくてはならないんだけれど、それを望む自分でさえ、今現在、大量虐殺や拷問を行う連中に対して、思いつく限りの苦しみをあたえてやりたい、なんて思ってしまいますから。
神の裁き、だなんて言わないけど。
個人的評価は☆4.8といった所。
ここしばらくで見た作品の中でも、特に心を揺さぶられた作品だった。
最後まで希望を捨てない
「もし僕が主人公なら…」「もし僕が主人公の家族だったら…」といったことを映画の中で何度も考えさせれた。あと、どんなに最悪な状況下であってもユーモアを忘れないことも大切。
映画の中で描かれるISの連中の考え方や振る舞いはクレイジーとしか言いようがないが、彼らは彼らの正義があって、その思いに従って生きているだけなので、一方的に非難されるべきものではない。アメリカも自分の正義の名の下で何度も戦争をしている
とんでもない映画
観終わったあとの余韻は圧倒的に今年一でした。
怖い、怖い、とにかく怖い。
ベタですが、 いつもの生活を愛おしく感じざるを得ません。
あの状況で、自分の行く末も分かっていたであろうフォーリーの解放されるダニエルへの言葉。
なんて、なんて強い人なんだろう…と。
“俺の中にあるのは愛だ”という言葉にall you need is loveがリンクし沁みました。
今も続く...
昨年観た「娘は戦場で生まれた」は、シリアで撮影されたドキュメンタリーだったが、この作品も実話をベースに撮られたもの。シリアの問題は日本人にとって情報も少ないし、どこか遠い国の話となりがち。だからこそこういった作品を作ることは大切だと思う。
一人の命の代償は計り得ないものだった
「ラッカは静かに虐殺されている」「ラジオ・コバニ」「バハールの涙」「娘は戦場で生まれた」「シリアにて」に続く自主企画『シリア発見』の第6弾。
2013年、デンマークの写真家のダニエル・リューはシリアの非戦闘地域でイスラム過激派組織 IS(イスラム国)に拉致された。ISは法外な身代金を要求した。
ダニエルはシリアで地獄の日々を送った。
母国デンマークでは家族等が金策に奔走した。
愛する者を救おうとするのは当たり前のこと。しかしISに大金を渡すことは絶対に許されない。
鈍い感触のエンディング。これまでシリアに関わる作品を観てきた方にとっては「感動の救出劇」にはならないんだろうなぁ。
この家族が行ったことは『罪』だった。ISの活動を助長した。
誰かが事実を伝えなければ世界は止まらない
これは観なくてはならない!はやる心は映画館サービス曜日までの数日を待つ事も許さず、公開初日に高校生の息子を誘って観に行った。
2014年8月19日。米国人ジャーナリスト、ジェームス・フォーリー氏の公開斬首処刑動画が全世界に向けてアップロードされた事は、まだ記憶に生々しい。「あの日」を境にイスラム国は英米人の見せしめ処刑を始め、動画を公開し続けた。
フォーリー氏は2012年11月、シリアでの取材中、武装集団に拉致された。
当時まだイスラム国(IS)という名の組織は存在せず、彼の拘束はスパイ容疑によるものだった。のちに救出された人々の証言によると、この時点で武装集団は身代金を取る事は考えていなかったという。
やがて小規模な武装集団が乱立する中、ISが台頭してくる。2013年後半、ISは身代金の獲得に動き出した。まずスペインが交渉に応じ、次にフランス、他に少なくともカタール、オマーン、スイス、オーストリア、イタリアが非公式にだがテロ組織に金を渡し自国民を救った事が明らかになっている。(ダニエルと共に過ごす人質達が徐々に解放されていく場面で人質はスペイン人など国籍で呼ばれている。実際の各国対応を示唆していると思われる)
けれどもアメリカはこれを拒んだ。身代金はテロ組織の資金源になるからだ。イギリス、日本もアメリカの方針に準じている。フォーリー氏殺害の時点ですでに、ISが身代金で稼いでいた資金は130億円に上っていたという。
アメリカは特殊部隊による極秘作戦でフォーリー氏救出を試みたが、映画内で描かれている通り作戦は失敗する。
フォーリー氏にかけられた最終的な身代金は1億ユーロ(約148億円)。欧州各国が支払った身代金の平均額は1人2〜3億円であるから法外な数字である。家族が東奔西走しても集められる金額ではない。
実際、初期のうちならば100万ドル(約1億2千万円)でフォーリー氏を救出可能だったと語る人質解放仲介業者がいる。
映画中のデンマーク政府の対応は、そのまま米国の対応でもある。フォーリー氏の家族は身代金を支払わないよう、アメリカ国務省から脅されたという。
イスラム国は戦略を変えた。「米国人という付加価値」を政治利用する事にしたのだ。
払えるはずのない1億ユーロは交渉目的の額ではなく「アメリカは国民を見殺しにした」として米国非難を募らせるプロパガンダの為だ。フォーリー氏は「特別な日の為にとっておくワイン」となった。
その特別な日こそが2014年8月19日だ!
米軍によるイスラム国拠点空爆への報復として彼は処刑された。
アメリカへの敵意と復讐心を全世界へアピールする為に。
フォーリー氏は憎むべき米国人として、他の人質達とは異なる非人道的な扱いを受けていたようだ。
スパイ容疑時の拷問では、足を鎖で棒に繋がれたまま、天井から逆さ吊りで長時間放置された。私達は映画を通しダニエル・リュー氏が受けた苦痛と恐怖を知ることで、それを上回る暴力行為がフォーリー氏に与えられていたと推測出来る。
しかし、フォーリー氏は大変、強い意志と高潔な魂を備えた優れたジャーナリストであったそうだ。
彼は「声をあげられない無力の人々の物語を伝える使命がジャーナリズムにある」と信じていた。
リスクは承知していた。2011年にはリビアで拉致監禁され、手錠のまま裸足で脱出・逃走している。にも関わらず、彼はシリアに行った。
「誰かが事実を伝えなければ、世界は止まらない」と映画内のフォーリーは語る。
この映画の優れた点の一つは、観客の心情を偏った善悪の主張に誘導する事が一切無く、あくまでも現場のリアリズムと信憑性に徹して作られている事だ。
作品から何を受け止め、どう考えるのかは、すべて観た者1人1人に委ねられている。
息子は「テロ集団の資金を肥えさせてはならない、というアメリカの理屈もわかる。何が正しいか自分にはわからない」と言った。実際、巨額の身代金で得た武器弾薬は、より多くの一般市民達を殺害したであろう。金が取れないとわかっている国々のジャーナリストが人質として狙われにくくなったという話も聞く。
私も自分自身が「我が子を持つ母親」でさえなければ息子と同じ見解をもったであろう。しかし、理屈抜きの母の心情を理解した今は「個人の悲劇」から目を背けてはいけない事もわかる。
フォーリー氏は戦場ジャーナリストとして「国家や戦争が、人間を数字や記号としてしか扱わなくなる事」への問題提起を続けてきた。
しかし、政府は彼が伝えようとしていた事とは真逆の政策に、彼の死を利用した。
映像作家ハスケル・ウェクスラーは、オバマ発言を厳しく指摘する。
「大統領がイスラム国壊滅という軍事政策遂行の為にフォーリーの名を使うのは、彼に対する侮辱であり、多くのアメリカ人の知性に対する侮辱だ!」と。
2015年6月オバマ政権は人質返還政策の見直しを発表。これにより、家族は身代金を支払っても罪に問われなくなる。邦人ジャーナリストの後藤さんは殺害され、安田さんは救出解放された違いには、政策の変化も影響しているのであろう。
フォーリーが伝えた事実は、世界を変えたのだ。
戦場ジャーナリズムの凄まじいまでの価値の前に、自らの命ですら天秤にかけようとしない勇敢な彼らを、安易な自己責任論に当て嵌めてはならない!
2019年3月23日。米国支援を受けてIS掃討作戦を行っていたクルド人民主組織「シリア民主軍」はISの完全壊滅を宣言する。
しかし、残党は各地に潜伏し、今も再結集の機会を伺っている。
人間は記号ではない。「アメリカ人」も「日本人」も「中国人」も「IS」も「政府」も「人間の集合体を表す記号」だ。記号に対する憎悪は錯覚に過ぎない。
「ヨーロッパ人」という記号として、暴力に晒されるダニエルの姿が、その不当さを伝えてくれる。
「私達、1人1人が」「記号の内側にいる人間を、人間として見ること」を意識していかねばならない。
この映画は必ずや、ジャーナリスト達の命懸けのメッセージを受け止め、考え、行動する人々を増やす事だろう。
それが、いつか憎しみの連鎖を止める大きな力になる事を祈るばかりである。
(判定不能として星0にされている方がおられる為、現在星2.6になってますが、それを除外して計算すると星4.4でした。判定不能と書いてみても自動計算プログラムは理解してくれませんよー!
コメント不可のようですし、星修正して欲しいなー。
今後観る人数への影響は大きいと思う。1人でも多く視聴して欲しい作品なのですが。)
命を懸けるか?
映倫区分は、Gなので誰でも鑑賞することができます。
誰でも鑑賞できるようにするために、残酷な描写を避けているように感じました。
映画の原作になっているプク・ダムスゴー著/山田明美訳
『ISの人質 13か月の拘束、そして生還』光文社新書を読まないと、
過酷さは伝わってこないと感じました。
映画の公開日は、2021年2月19日です。
映画の公開日の398日後は、2022年3月24日です。
398日間、禁酒、禁煙等、自由にしている何かを止めてみると、398日間の長さが
実感できると思います。
70万ドルは、7,390万円です。
25万ドルは、2,638万円です。
200万ユーロは、2億5,539万円です。
2000万クローネは、3億4,350万円です。
身代金以外にも、1億円くらいの資金を使用したということです。
身代金は、70万ドルから一気に200万ユーロに跳ね上がるくらい相手次第の値段になります。
これくらいあれば、良いだろうということにはなりません。
2015年1月、ISILは、日本人ジャーナリストの後藤健二さんと湯川遥菜さんを
拘束した際、身代金2億ドル(約248億円)を要求しましたが、日本政府は拒否しました。
危険地帯に行く場合、海外旅行契約ができるかどうかもわかりません。
たとえ、海外旅行契約をしたとしても、海外旅行保険には、免責事項があり、
戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱の場合には支払われません。
刻々と変わる政治情勢は、個人はもちろん、政府でも把握するのは困難です。
1971年2月22日、ハーフィズ・アル=アサドは、国民投票によりシリア大統領に選出され、
独裁政治を始めたのが発端です。
2000年6月10日、シリア大統領ハーフィズ・アル=アサドは、69歳で、亡くなりました。
2000年7月10日、バッシャール・アル=アサドは、信任を問う国民投票を実施しました。
2000年7月17日、バッシャール・アル=アサドは、シリア大統領に就任しました。
2005年9月30日、デンマークで最多の発行部数を誇る高級紙であり一般的に保守的な論調を
有しているとされるユランズ・ポステンは、ムハンマドの風刺画を掲載しました。
ムハンマドの風刺画が、イスラム社会で国旗損壊罪とは比較にもならないくらいの大反発
を生みました。
2007年6月29日、アップルコンピューターは、iPhoneを発売しました。
誰でもが情報を拡散するようになりました。
2010年12月17日、チュニジアのジャスミン革命が発生し、チュニジア大統領国ベン=アリー
の長期政権が打倒されました。
ジャスミン革命は、アラブ社会に伝搬し、長期独裁政権を打倒しました。
2011年1月25日、エジプトで大規模な反政府デモが発生し、ホスニー・ムバーラク大統領は
エジプト軍最高評議会に国家権力を委譲し、長期独裁政権を打倒しました。
2011年2月3日、イエメンで大規模な反政府デモが発生し、アリー・アブドッラー・サーレハは
大統領権限を移譲することに同意し、長期独裁政権を打倒しました。
2011年2月15日、リビアで大規模な反政府デモが発生し、カダフィ大佐は国民を弾圧し、
欧米諸国が軍事介入をして、カダフィ大佐も殺害され、長期独裁政権を打倒しました。
2011年4月15日、シリアで大規模反政府デモが発生しましたが、状況は複雑でした。
アサド政権側と民主化を目的とした自由シリア軍などの反体制派との間で紛争になった
だけでなく、過激なイスラム主義に基づくアサド政権打倒を掲げたISILやアルカイダ、
独立を目指すクルド人勢力なども加わり、混乱状態になりました。
2011年5月から6月、シリア大統領アサドは、政治犯に恩赦を与え、政治犯を反体制派と合流させ、
反体制派をテロリストにし、欧米諸国の介入を防ぎました。
2012年2月22日、メリー・コルヴィンは、シリア内戦を取材中にホムスにて、砲撃を受けて死亡しました。
映画「プライベート・ウォー」を鑑賞すると良いでしょう。
2012年8月20日、山本美香は、シリア内戦を取材中にアレッポにて銃撃を受けて、死亡しました。
ダニエル・リューは、ヤンの助手として、ソマリアへ撮影旅行に行きました。
2012年11月22日、米国人ジャーナリストであるジェームス・フォーリーは、シリアで消息を絶ちました。
2012年12月、シリアの反体制派のヌスラ戦線は、アルカイダとのつながりが明らかになりました。
バラク・オバマ米国大統領は、シリアの反体制派のヌスラ戦線をテロリストとして指定しました。
2013年1月、ジェームス・フォーリーの家族は、グローバル・ポスト紙と共に「ジェームス・フォーリーを解放せよ」
という公開捜索活動を始めました。
アートゥアは、ジェームス・フォーリーの家族とグローバル・ポスト紙に対して、公開捜索活動は、
事件が明らかになり、交渉の余地を狭め、誤報によって、捜査を混乱させると指摘しました。
ジェームス・フォーリーの捜索は、進みませんでした。
2013年3月4日、シリアの反体制派のヌスラ戦線は、ラッカを陥落しました。
2013年4月、ダニエル・リューは、トルコ南部のシリア国境地帯に行って、シリア難民、ジャーナリストや
NGO職員と話をして、情報を収集し、デンマークに帰国しました。
ダニエル・リューは、シリアの情勢と安全に関するアドバイスを得るために、アートゥアに連絡を取りました。
アートゥアは、保安を専門とするコンサルティング会社のオーナーで、世界中の誘拐事件の交渉人および調査員
として長年にわたり、活躍している人です。
2013年4月8日、アブー・バクル・アル=バグダーディーは、ヌスラ戦線をISILに改名すると発表しました。
ISILは、ISISとも呼ばれています。
ISILは、軍事的な手段を用いて、イラクとシリアにイスラム教国家を樹立するという組織です。
アブー・バクル・アル=バグダーディーは、アルカイダ組織の指導者で、自爆テロを繰り返し行ってきた人物です。
2013年4月24日、ダニエル・リューは、アートゥアからシリアに行くことを止めるように言った上で、
ヌスラ戦線のメンバーには注意し、多くの人に見られないようにし、知らない人と行動し、保険に入ること、
居場所を家族に伝えることのアドバイスしました。
もし、拘束されたら、嘘を言わないこと、日課を作ること、相手の言う通りに行動するようにアドバイスしました。
アートゥアは、ダニエル・リューにシリアには1ヶ月以内の短期にするようにアドバイスしました。
アートゥアは、ダニエル・リューにシリアの国境は午後5時に閉鎖されるので、国境が閉鎖される前に国境を越えて、
シリアで夜を過ごさないようにともアドバイスしました。
2013年5月14日、ダニエル・リューは、トルコへ行きの航空券を購入しました。
ダニエル・リューは、家族に、シリアの国境から数キロ入ったアザスという町で、人々の写真を撮影すると伝えました。
2013年5月17日、ISILは、ダニエル・リューを拘束しました。
2013年6月、北アイルランドで開かれた主要8か国首脳会議(G8サミット)の中で、
「我々は、テロリストに対する身代金の支払を全面的に拒否し,世界中の国及び企業に対し,
我々の後に続き,テロリストにとり格好の他の収入源と同様に身代金を根絶させるよう求める」
との共同声明を出しました。
フランス政府、イタリア政府、スペイン政府やドイツ政府は、間接的に身代金を支払っています。
フランス政府やイタリア政府、スペイン政府やドイツ政府は、解放された人質を、大々的に政府
の宣伝として、利用しています。
2014年2月25日、ISILは、スペイン人ジャーナリストであるマルク・マルジネダスを解放しました。
2014年3月、ISILは、ロシア人であるセルゲイ・ゴルブノフを殺害し、写真を撮り、人質達に見せました。
2014年6月19日、ISILは、ダニエル・リューを拘束し、398日後に解放しました。
2014年6月20日、ダニエル・リューは、デンマークに帰国しました。
2014年7月1日、安倍内閣は、集団的自衛権による自衛隊の国外での武力行使を認める閣議決定を行いました。
2014年8月7日、米国大統領バラク・オバマは、ISILに対する限定的な空爆を承認しました。
2014年8月8日、米軍は、イラク国内のISILの拠点に対して空爆を開始しました。
2014年8月14日、湯川遥菜は、シリアで消息を絶ちました。
ISILは、シリアで拘束されていた米国人と英国人を空爆への報復として殺害し始めました。
2014年8月19日、ISILは、米国人ジャーナリストであるジェームス・フォーリーを殺害し、動画を公開しました。
2014年8月31日、ISILは、米国人ジャーナリストであるスティーヴン・ソトロフを殺害し、動画を公開しました。
2014年9月13日、ISILは、英国人人道支援活動家であるデヴィッド・ヘインズを殺害し、動画を公開しました。
2014年10月2日、デンマーク軍は、ISILの拠点に対して空爆を開始しました。
2014年10月3日、ISILは、英国人人道支援活動家であるアラン・ヘニングを殺害し、動画を公開しました。
2014年10月25日、後藤健二は、湯川遥菜を助けるためガイドと共にISILの支配地域にある
シリアのラッカへ向い消息を絶ちました。
2014年11月16日、ISILは、米国人人道支援活動家であるピーター・カッシグを殺害し、動画を公開しました。
2015年1月、ISは日本人ジャーナリストの後藤健二さんと遥菜さんを拘束した際、身代金2億ドル(約248億円)
を要求したが、日本政府は拒否しました。
2015年1月25日、ISILは、湯川遥菜を殺害し、動画を公開しました。
2015年1月30日、ISILは、後藤健二を殺害し、動画を公開しました。
2015年2月6日、ISILは、米国人人道支援活動家であるカイラ・ミューラーを殺害し、動画を公開しました。
2015年6月21日、安田純平は、シリア人と共にトルコ南部からシリアに密入国後、ツイートを最後に消息を絶ちました。
2015年12月8日、日本政府は、テロに関連する情報を一元的に集約するため、「国際テロ情報収集ユニット」を
外務省に設置しました。
2018年10月23日、シリアで拘束されていた安田純平は、解放されました。
2019年10月26日、米軍は、ISILの最高指導者アブー・バクル・アル=バグダーディーを殺害しました。
この場を借りて、安田純平さんの開放に尽くしてくれた人に御礼を申し上げます。
【あるジャーナリストと、家族と仲間と、ジャーナリズムを巡る物語】
「シリアからデンマークに逃れて来た人々は、自分よりつらい目にあっている」
ダニエルのジャーナリスト魂を感じさせる言葉だ。
この映画は、ダニエルと、家族と仲間のジャーナリズムを巡る物語であり、ジャーナリズムそのものでもある。
この事実に基づいたストーリーは、生々しく、凄惨で、目を覆いたくもなるし、怒りの感情を呼び起こさせることもある。
しかし、このジャーナリズムの記録の物語に触れることによって、僕達は感情を揺さぶられることとは別に、慎重に、そして深く考えなくてはならないのだと思う。
それは、ダニエルや、ダニエルの仲間や、これまで紛争地で命を落としたジャーナリストの望みでもあるはずだ。
イギリスやフランスからシリアに渡り、ISに入り、誘拐や人質の拘束を行なっているのは、イギリスやフランスで差別的な扱いを受けたことのある若者であることが示唆される。
しかし、初めての人質殺害では躊躇する様も描かれている。
彼等も人なのだ。
なぜ、僕達の世界は間違ってしまったのか。
どこで、間違ってしまったのか。
ジャーナリスト達は、自分たちだけで世の中を変えられるとは思っていないはずだ。
紛争地の現状を伝えることで、世界に考えて欲しいのだ。
だからこそ、ジャーナリストの仲間同士で窮地にあっても励ましあうのだ。
現実を伝えることこそが、ジャーナリズムだからだ。
実際は、デンマークでも、ダニエルの自己責任と非難する声はあったらしい。
しかし、多くはダニエルの活動や不屈の勇気を讃えている。
それは、アメリカのジェームズも同様だ。
そうした社会背景があるからこそ、家族も勇敢に戦い、ダニエルやジェームズを称えたのだと思う。
欧州は、大戦前から、多くの戦争を繰り返して来た。
そのため、ヨーロッパ人は、ジャーナリズムの重要性を理解している。
近年のボスニア紛争では、イスラム教徒に対する残虐行為が、ジャーナリストによって明らかにされている。
アメリカ社会は、ベトナム戦争で、自国の犯した過剰な戦争行為で長い間苦しんでいる。
これを伝えたのはジャーナリストだ。
しかし、悔いても、イラク戦争は起きたし、僅かであっても米兵が必要なない殺害を犯した事実も伝わっている。
だから、ジャーナリズムは重要だし、担い手のジャーナリストは必要なのだ。
戦地での取材活動で命を落としたジャーナリストは多い。
こうした戦地ジャーナリズムが注目を集めたのは、ベトナム戦争がきっかけであることは間違いない。
数百万人に上るベトナム人が命を落とした戦争の背景には、もともと存在した植民地の搾取に加えて、アメリカ軍の圧倒的な軍事力による攻撃があったことは、当時の米国の価値観を大きく揺さぶった。
当時、米軍が戦地でのジャーナリストの自由な活動を認めたことは、後に国際社会や米国社会から痛烈な批判を浴びる皮肉な結果となったが、ジャーナリズム史上、非常に画期的だった。
もともとは、米軍兵士の活躍を報じてもらおうとの意図だったはずだが、そこには残虐な戦闘行為が存在したのだ。
昨年、ベトナム戦争の米死者数を、増え続ける米コロナ死者数が上回ったと報じられたが、アメリカ合衆国軍のベトナムでの戦争行為は、その後、数十年にわたり米国民の価値観を揺さぶったままだ。
この取材活動で、日本人ジャーナリストも多数命を落としており、ピュリツァー賞を受賞した沢田教一さん、ベトナム戦争を経由してカンボジア内戦に踏み込んだ一ノ瀬泰造さんは、よく知られた存在だと思う。
外国人では、ロバート・キャパが地雷を踏んで亡くなったことや、リビア内戦で亡くなるまでの半生が映画(プライベート・ウォー)化されたメリー・コルビンも多くの人々の尊敬を集めている。
近年では、映像機器の小型化でフリー・ジャーナリストの占める割合が高くなっているが、逆に、文章で状況を伝えるという手段に対して、映像のリアリティが勝ることが多くなってしまったがため、よりリスクの高い地域に、小型の装備で赴くという傾向が強くなり、亡くなる人が増え、更に誘拐などの報道を耳にすることも多くなった。
こういう理由で、戦地でのジャーナリズム活動を批判する人が多くなったのは事実で、ジャーナリズムの使命感より、人質になった時に、政府や国民に迷惑をかけるとか、自己責任論を振りかざし、場合によっては、勝手に死ねと言ったり、助かって帰国した後の誹謗中傷が止まない傾向が、我が国では、欧米より強いように思われる。
ただ、戦争がひとたび起これば、多くの人の命が奪われ、生活そのものも破壊されるということを伝えるというジャーナリストの仕事の重要性は、単に有名になりたいとか、人目を惹きたいという行動とは完全に一線を画すもので、危ないから行かないという選択肢はそもそも、そこにはないのだ。
日本は、戦時の言論統制の後、第二次世界大戦での敗戦を受けた戦争放棄で、外国で自衛隊が戦闘行為に及んだことはなく、戦争の悲劇に対する意識が低いのかもしれない。
しかし、大部分のエネルギー資源を賄う中東が常に紛争の中心地であり、第二次世界大戦中に支配地域であった東南アジアが、その後の内戦で政情が不安定化したことは、他人事であるはずがない。
先般公開された「ファーストラヴ」の使用された安田菜津紀さんらの写真に写る人々の笑顔は、僕達のそれと同じで、戦争を望んでいるわけはないのだ。
安易な答えはないはずだ。
考え続けなければならないはずだ。
この作品は、
ダニエルの「シリアからデンマークに逃れて来た人々は、自分よりつらい目にあっている」
という言葉とともに、僕達に語りかけているのだと思う。
2015年、ラッカ付近で殺害された後藤健二さんと、2018年解放された安田純平さんをはじめ、これまで紛争地の現実を伝えたジャーナリストと、現在も伝え続けているジャーナリストと、ジャーナリズムを、僕は讃えたいと思う。
【”奴らの憎悪に負けたくない・・”と獄友は言った。全編を尋常でない緊迫感が覆う中、”人間の矜持と究極の家族愛””平凡な日常”の尊さを描いた作品。”ISISの実情”に踏み込んだ、意義ある作品でもある。】
■今作の素晴らしき点
<Caution! 以下、内容に一部触れています。>
・今作の様な事件の際に、ジャーナリストの”自己責任”を追及する声が上がるが、デンマーク人の駆け出し写真家ダニエルはシリア自由軍の影響下にあると思われた非戦闘地域に取材に行き、台頭していたムジャヒディンの一部の過激派グループが、
-そしてそれがISIS(Islamic State of Iraq and Syria)に変容して行く・・ー
その地を支配し始めていたために、人質になった事がキチンと描かれている事。
(2013年5月頃)
これは、これまでのISISの所業、もしくはシリア内戦を描いた「バハールの涙」「ラッカは静かに虐殺されている」「プライベート・ウォー」「シリアにて」などの作品では、描かれていなかった事である。
・ダニエルがISISに拘束されてからの、過酷過ぎる日々の描き方。それは、彼が囚われていた廃校になった小学校の教室で自死しようとした程であることが、きちんと描かれている事。
又、国際法を完全に逸脱しているISISの捕虜達に対する態度。
・デンマークは、テロに屈しない姿勢を取っているため、ISISの巨額の身代金を支払わない。そのため、ダニエルの家族は、マスコミに公にされないように密かに、身代金を調達しようと奮闘するシーンの数々。
ここも、これまでの物語とは違う点であるし、ダニエルの家族、恋人の心の重圧がキチンと描かれており、それ故に、観ている我々は、シリアでのダニエルの過酷な日々と並行して、デンマークのダニエルの家族の過酷な日々も、見せられるのである。
身代金を中途半端な額で提示したがために、ISISの誇りを傷つけ、更に高額な身代金を要求されるダニエルの家族。
人質救出の専門家アートゥア(そんな職業が有るほど、現地では日常化しているのであろう・・)の助言も空しく、時間だけが過ぎていく。
憔悴していく、ダニエルとその家族、恋人の姿。
・ダニエルの収容所に、新たに、アメリカ人ジャーナリストのジェームズ・フォーリーが連れられて来るシーン。
彼は、常にユーモアを忘れず、弱音を吐かない。
そして、誇りを忘れかけていたダニエルにも勇気を齎す。
アメリカ人であるがゆえに、殺される危険が最も高い筈なのに・・。
その明るさは、彼の
”家族への揺るぎない愛と、自らの尊厳を保つ。”
と言う信念に基づくものであろう。
凄い男である。
・ISISの最凶の男、ジョンが人質の一人をあの忌まわしきオレンジ色の服を着せられた、ダニエル達の前で射殺するシーン。
最凶であるはずの、彼の銃を握る手が、小刻みに震えている。
その前の ”最初に人を殺した後は心が重くなる・・” という言葉。
ISISの男達も”人間である事”が、きちんと描かれている。
・ジェームズ・フォーリーが自らの行く末を知っているかのように、ダニエルに託した家族への愛が溢れる言葉・・。
- ここのシーンが、あのジェームズの最期と、アメリカでのジェームスの葬儀の際に、家族たちにダニエルが”暗記した”彼の言葉を述べるシーンには、涙が溢れた・・。ー
・ダニエルの母が、身代金を集めるために行った事。”母は強し”である。
そして、漸くかき集めた身代金により、ダニエルが、姉アニタと再会するシーン。
<ISISに捕らわれた、ダニエルを始めとした捕虜たちの過酷な日々と、ダニエルを救出しようと、大変な重圧の中、懸命に身代金を集めようとする家族、恋人の姿。
2時間18分間、尋常ではない緊迫感の中、物語は進む。
ダニエルが亡き友の遺志を継いだかのように、彼の家族に彼の遺した言葉を伝えるシーンで涙し、ラストのテロップで、暗澹たる気持ちになりつつも、ダニエルが今でも報道写真家として、活躍している事実を知った時には、別の感慨に襲われた作品。
ニールス・アルデン・オブレブ監督の新たな傑作であろう。>
拉致先や、人質交渉、資金集めなどに、細部に迫った具体的な記述があり...
拉致先や、人質交渉、資金集めなどに、細部に迫った具体的な記述があり、リアリティがあった。人質同士の関係、彼らに暴力を奮う欧米人のISメンバーとの関係など、複雑な人間関係があり、また、さまざまな日常があることを知った。それにしても、すごい。トラウマであり、それゆえ、彼らの憎悪に負けたくない、自分にあるのは愛だと述べた収容所の友人の言葉は重く、希望を与える。
中東の現実がリアルに描かれた力作👏👏👏
実話だけに描写がリアル👏👏👏
デンマークの通貨クローネは、今日現在
1クローネ = 17.17円とのこと。
字幕で注を入れてくれたら混乱せず済むかもと思った。
この映画だけを見れば、ISは残虐なテロ組織だという印象が強くなるだろう。
でもこれは西欧から見た世界観だから注意しないといけない。
宗教戦争はどちらも正義のためにやっているし、異宗教同志を争わせ、戦争で荒稼ぎする軍産複合体やグローバルエリートの存在があることも忘れてはならない。
特にISはシリアを解体するために陰でオバマ政権のアメリカが資金と武器を援助していたことは周知の事実となっている。
アルカイダも同じ構造でアメリカCIAとサウジがお金と武器を援助して育てていた。ビンラディンも裏ではブッシュと繋がっており、911もディープステートたちグローバルエリートによる自作自演であったことは多くの人に知られている。
これらが陰謀論だとおもっている人たちはマスメディアに洗脳されてしまっているので自分でいろいろと調べてみるとよい。
これらの事実から見てみると、この映画は人質の立場による事実は描かれているが、人質にした側の事実や背景は描かせていない。
映画として楽しむならよいが、これが世界の実態だと信じてしまうのはやめておこう。
私が感じるのは、宗教や民族紛争を政治利用して、なんの罪もない人たちの命を奪い続けているお金の亡者たちへの怒りである。
そして、メディアを使って、イスラムを悪とするプロパガンダによって世界を分断しつづける邪悪なグループも許せない。
私たちはそろそろ彼らのしてきた許し難い悪事と暴挙の事実を知り、こうした幼稚なプロパガンダにひっかからないようにする必要があるとおもう。
命の値段
想像を絶する日々の、ほんの一部を垣間見ただけなのに、
その臨場感に引き込まれて、久しぶりに見るのがしんどい映画でした。
全ての権利を奪われて、常に死と隣り合わせのものすごいストレスから逃れられない。
死ぬ権利すら奪われて、気が狂いそうななか
「テロリスト達の憎悪に負けない」という言葉の重さを考えさせられました。
国籍って何だろう?
生まれた時点で決まっていて、自分で選んだわけではないのに、変更するのは一苦労。
親が国際結婚だと子供はどちらかの国を選べるらしいけど、それでも二社選択でしょ?
平和な日本では、憲法に従って納税の義務を果たせば、国が提供するサービスを受けることができて、国から守られるイメージでしたが、それぞれの国によってここまで対応が違うなんて!本当に驚きでした。
「テロに屈しない国家」という正義で力強いスローガンが意味するのは
「テロリスト達と交渉をしない国」「テロリストへ資金を流さない国」だということ。改めてその意味に気づかされました。
日本人の人質事件は人命優先なので、水面下では相当な金額の交渉があったのではなかろうか。
同じ部屋に監禁されていても、命の値段が違うこともショックでした。
家族側の心労も凄まじい。
人質救出の専門家の存在も初めて知りましたが、政府は一切関与してくれないうえに、テロリストに渡る資金を募金で集めるのも違法。
日本円で約2億5千万円の大金を、一般庶民が工面できる訳がない。
でも、諦めれば確実にダニエルは殺されてしまう。
家族もまた戦っていました。
アメリカ人のジェームスはどんな状況でも常に想像力とユーモアを持ち続けることで、テロリストに屈しなかった。
世界を変えたいと願うジャーナリストだった。
本作では小鳥のさえずりが印象的で、主人公が決断するキッカケになったり、希望の象徴として効果的に使われていました。
映画って本当に奥が深いです。
どの映画を観ても、新たな気づきや発見がありますが、とくにこの映画に関しては、同じ世界に生きる人間として、知っておかなければならないことが描かれている。
テロリストも人を殺すのは怖い。
人質に銃口を向ける手が震えるのを見た時、どうしてここで、お互いがこんな事になっているのか。。。
上に立つ者の犠牲になるのは常に末端の者だと感じました。
世界平和への道のりはまだまだ険しく
ユーロライブにて試写会鑑賞。
この作品は実話ベースでありこの作品では触れられていないものの日本人被害者も出してしまった事件と関連する為記憶も新しい事件である。
主人公のデンマーク人、ダニエルは体操選手との成功を信じ日々を送っていた所、プレイ中に大きな怪我を負い選手生命をたつ事となる。今後は恋人と生活をするにあたりまともな職に就く事を目指し写真家となる所でストーリーははじまる。
写真家としてこれまでどのような経験を持ってきたのか、そして会社はどういう会社なのか、シリアに行くにあたり豊富な知識や最悪なケースを想定した準備はできていたのか…この辺りは省かれいきなりシリアに行くシーンとなった為このあたりの背景は見えないが、ダニエルはシリアに行き早々にテロリストに捕まってしまう。
まぁこの作品は生還までのストーリーが主となるわけだから仕方ないと言ったところか。
一度は脱出に成功しシリアに住む一般民に助けを求めるも、一般市民はテロリストにダニエルの存在を通報し再度捕虜となってしまう。このシーンの絶望感は見てる側もなかなかのものを感じた。
一方デンマークに残された恋人や家族は中々帰ってこないダニエルを心配する。
事前に何かあった際にある者に連絡するようダニエルに伝えられていた。その者は元軍人で現在は人質球質の専門家として働く者である。テロリストと被害者家族の間に入り交渉するエージェントのようなものだ。
テロリストは億単位の多額な金額を家族に要求する。交渉人は居場所が突き止められいない現状を考えると応じる他ないと判断する。
そのシーンの際一応ドルとクローネの関係性の説明は少しあったが、デンマークの通過に知識がないとここを逃すと1クローネがドルや円に直すとどれくらいのものなのか分からないため以後も鑑賞中しばらくこの単位が気になってしまった。
もちろん一般庶民の家庭であるダニエル家が払える額ではない。もちろんデンマーク政府はテロリストの要求に応じることはできない。
その為保険を解約するなど一個人ができる事は全てやり、その上で募金という形で裕福者や企業から資金を募ろうとうする。
ただこれが名目を変えないとテロリストへの資金集めとなってしまい法に触れてしまう。
その為弁護士を雇いグレーンゾーンの間で資金活動をする事となる。この辺りは勉強になった。まぁ外務大臣だか外務省の責任者も会議には同伴していたし政府としても暗黙の了解なんだろう。
最終的には知人、デンマーク国民、そして大手企業が参加してくれ2000万クローネを集めることに成功しダニエルは解放となる。
ダニエルと共に捕虜生活を強いられていたアメリカ人のジェームズはテロリストに処刑されてしまう。
この事件は記憶に新しく残っている。
最後に彼の葬儀にダニエルは参加し作品は終わる。
この作品において大事になるのは救出の仕方であろう。
このテロリストに捕まった被害者を救出はとても難しい問題である。
映画作品でいえばアジトを見つけ出し、突入しテロリストを薙ぎ倒し救出ってのはよく見るが現実はそうはいかない。
多くは金銭要求をしてくるが、この金銭はテロ活動の資金となってしまう為国が応じないのは十分に理解できる。
では捕まったら自己責任と片付けて人の命を見捨てるのが正しいのか。それは決して違う。彼らのようなジャーナリストがいるからこそ世界情勢を知る事ができ、そして対策が打てる事も沢山ある。
この問題の答えは今作を見てもやはり確固たる答えはもちろん見つからなかった。
ただ最後のエンドロールにてデンマークは現在も国としては救出募金を募る事も法では禁じられているが、アメリカはオバマ大統領時代に法改正し認められている事が伝えられる。
この法改正が救出活動に大きな影響を与えるのかと言われればなんともいえないが、こうして少しづつ解決策に近づいていくしか今はないのであろう。
色々考える事が多く面白い作品ではあったが一つ気になるのはタイトルにある生還までの398日の部分か。
エンドロールでも13ヶ月拘束されていた事は説明されていたが、作品を見ている限りはそこまでの長い間の拘束を感じられなかった。むしろ時間をかけるとダニエルの命は危ないという言葉が交渉人から度々発せられていた事もあり、この件に関してはスピードが大事となりスピーディーに解決した事件のように感じてしまった。
また冒頭にも書いた通り捕まるまでが結構あっさりしてるのは気になった。
ただ拘束間はとても緊張感がありテロリストに対して見てるこちらも激しい憎悪感を覚えるなどとても没入し鑑賞できる作品であった。何時みてもテロリストの言動行動には激しい怒りを覚える。奴らにどんな理由どんな背景があろうと許される事ではなく、一ミリも同情するに値しない。同じ人間だとは思えない奴らだ。
死を前にしたジェームズがテロリストに対して憎悪で心いっぱいになるのではなく、家族を想い愛で満ちた心でありたいとあの状況下でも言葉にする彼の姿はとても心打たれた。あのシーンは個人的にはこの作品で1番好きなシーンであった。
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