「憎しみの連鎖」ある人質 生還までの398日 MARさんの映画レビュー(感想・評価)
憎しみの連鎖
写真家になることを夢見ていた青年が、現地で暮らす人々の生活を写すためにシリアに行くが、ISISに捕らえられてしまい、そこで出逢った他の人質とのふれあいや、家族の闘いを描いた作品。
このテの作品を観るたびに思うが、これが現実世界で起きていることだなんて。
何の罪もない、正義感の強い青年の悲痛な叫びが胸に突き刺さる。
そして、人質達もそうだけど、その家族達にとっても重くのしかかる苦痛。テロへの資金提供になるという事実もあるが、悔しいがこれしか解決方法はないか。改めて卑劣なやり方ですね。
冷酷に見えるけど、政府の方針も決して100%否定できないことも確か。その一方で助けてくれる人がいるのは救い。
46クローム、粋なことを…。
映画作品としては、2時間20分の長さを感じさせない良作ながらも、序盤のテンポがちょっと良すぎ。写真の道を志す描写や、家族とのシーンにもう少し費やして欲しかったかも。
後は、身代金について。ドル・ユーロ・クロームと、場面ごとに異なる単位で表現したりするのでいまいちわかりづらい。もう金が集まった!!と錯覚しちゃった。
とは言え、ここまで入り込める作品も中々無い。観ているこちらまで涙が出そうになるのは、悪人達への憎悪、そして絶望の中に垣間見える仲間達の心強さ、温かさの所為か。
世界平和はどうしても訪れないものなのでしょうか。。
この憎しみの連鎖をどこかで断ち切らなくてはならないんだけれど、それを望む自分でさえ、今現在、大量虐殺や拷問を行う連中に対して、思いつく限りの苦しみをあたえてやりたい、なんて思ってしまいますから。
神の裁き、だなんて言わないけど。
個人的評価は☆4.8といった所。
ここしばらくで見た作品の中でも、特に心を揺さぶられた作品だった。