「何者かになりたい」MISS ミス・フランスになりたい! レントさんの映画レビュー(感想・評価)
何者かになりたい
クリックして本文を読む
幼い頃、事故で両親を亡くした少年アレックスは施設を転々として今の住処に落ち着く。そこは口の悪い家主のヨランダを筆頭にドラッグクイーンのローラ、移民のインド人親子、夢だけはでかいニートのコンビと一癖も二癖もある連中が暮らすアパート。
ボクシングジムの雑用で細々と暮らすアレックスの人生はくすぶっていた。自分はこの社会では何者にもなれていないと。そんな時幼馴染が子供のころの夢をかなえたことを知り、彼の幼いころの夢がふつふつと甦る。
それはミスフランスになるという夢だった。そんな突拍子もない夢でもアパートの住民たちは彼に協力を惜しまず、彼らの力を借りてアレックスはアレキサンドラとなり、決勝への道へと進んでゆく。
しかし彼にはどことなく真剣味が足りない。遅刻を繰り返したりと他のミス候補たちのようなハングリーさに欠けていた。
彼にはどこか迷いがあったようだ。彼が本当になりたい何者かとは本当にミスフランスなのだろうか。
決勝の舞台に立ったアレックスの目には観客席に座る幼いころの自分と両親の姿が。ありのままの自分を愛してくれた両親は死んでしまった、しかしありのままの今の自分を愛してくれる仲間が周りにいることに気づいたアレックスは自分の正体を舞台でさらけだす。彼にとってミスフランスはなりたい自分ではなかったことに気づいたのだった。
ありのままの自分を愛してくれる仲間たちを愛せる自分になれたアレックスはこの社会でもはや何者でもない人間ではなかった。
人種、性別関係なく、人を愛することの素晴らしさを訴えた人間賛歌ともいえる作品。
当時今は亡きテアトル梅田にて鑑賞。再投稿。
コメントする