劇場公開日 2021年2月12日

  • 予告編を見る

「弁護士は仕事、仲間はボランティア」私は確信する フリントさんの映画レビュー(感想・評価)

弁護士は仕事、仲間はボランティア

2021年4月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

電話の録音聞いて裁判を手伝う話

法廷劇にハズレなしとはよく聞くけれど、手放しで面白いと言える映画ではなかった。

もっと劇的な展開を期待してしまったせいか、事実を元にした作品だからかちょっと地味な印象。

いや普通に面白かったけれども、なんだろうやっぱりラストの展開がいまいちでしたね。

容疑者の10年間の苦悩、弁護士の一度勝ってる裁判へのプレッシャー、怪しい愛人のクソ野郎ぶりなんかとってもよかったのですが、主人公の立ち位置が煮え切らなかったかな。
事件の資料まとめを手伝わされるうちに独自の真実を構築して暴走してしまう。自分勝手な正義を振りかざす姿に客観的にちょっと怖かった。
自分も同じ立場ならば主人公のように行動を起こすかもしれないと思う。
正しい行動だろうけど冷静な判断はできないだろうと思う。
この物語は「12人の怒れる男」に似ていて、真実はわからない。
裁判の結果と真実は同じと限らないし、人間は信じたいものしか信じない。
殺人か行方不明か分からないこの事件は結果的に残された家族が一番幸せな判決に終わる。
極論をいえば裁判とはこういう事なのかも知れない。
納得できる人、それを望む人が多い方が勝った方がいい。
命の重さは平等だし、負けた側は納得なんかできないけれど、世間的に見ればそれが収まりがいい。
当事者は真実を求めるけれど、部外者は結果を求める。
第三者が冷静に判断し判決を決めるのは正しいけれど誰もが納得する判決なんて絶対に下せない。
裁判のジレンマを深く意識させられました。

劇中の事故シーンで思わず「うぉ!」と声をあげてしまった。
唐突だったし、ストーリーの大事な場面だったので・・・
声をあげちゃうのはマナー違反かもですが、久しぶりに劇場で声が出てしまった作品。

----------------------------------------
劇中セリフより

「私の世界を壊さないでほしい」

勝手な正義感で誹謗中傷をするのは考え物。
一番厄介なのは善意の他人なのかも知れない。
一度振り上げた拳はどこかに振り下ろされる。
下ろす場所がわからなくなったら力を抜いて拳を解くことも大事。

フリント