「声が浮かび上がらせる、違和感と不信感。」私は確信する shihoさんの映画レビュー(感想・評価)
声が浮かび上がらせる、違和感と不信感。
フランス映画特有のみんな身勝手はお約束。
国中から疑惑の目を向けられる、無罪判決を受けた元被告の男性。彼の無罪を確信した主人公が、誰にも頼まれてないのに、控訴された彼の無罪を勝ちとるために奔走する。
序盤の話の進み方はちょっと唐突で、その後の膨大な電話記録のテープの再生は観客を少し困惑させる。
でも、無罪の証拠を集めるために、仕事が終わった後に寝る間を惜しんでテープを聞き、リストを作る主人公の姿と、次々と流れる会話に次第に違和感を感じ始めるにおいて、ストーリーに引き込まれていく。
姿の見えない、テープから流れる会話から、事件関係者の人物像が浮かんでくる演出が、不可解な事件の薄気味悪さを引き立たせている。
後半は法廷での裁判の行方がメインだけど、証人は誰もがどこかおかしい。
姿が見えない前半で感じた違和感と薄気味悪さは、証人という形で、可視化されたことで、より不快感を増す。
フランスって、芸術の国だからか役者さんが良い、といつも思う。証人一人一人、どこにでもいそうな普通の人なのに、特にオーバーアクションでもないのに、絶対信用できないと思わせてくれる。
この映画、事件の真相は闇の中、って結末なんだけど、鍵を握る証人の人物設定のおかげで、それもやむを得ずと納得
そしてその役の役者さんの、底知れない不愉快さ、不快感は群を抜いてた。
謎解き、法定サスペンスに加え、主人公の息子との関係も描かれてて、最後まで楽しめました。
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