川っぺりムコリッタのレビュー・感想・評価
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小さな喜びをひと匙で笑顔が生まれる
荻上直子さんの小説を読んでとても良かったので、延期してからずっと楽しみにしていた映画です。観れて嬉しかった。
白米ときゅうり、トマトにイカの塩辛、なんて美味しそうなことか。俳優さんたちが素直に頬張ってモグモグしてる姿を見ているだけでも笑顔になるというか、あたたかさが伝わってきました。個性豊かな住人たちの会話にクスッとしたり、切なくもなったり、ゆっくりとした時間が流れていくのが良かった。
小説では冒頭の方から主人公山田の過去や境遇について説明があったけど、映画では中盤や後半に語られていて、無口な男の子が山田と少しずつ距離をつめていくところとかも、映画では始めから男の子が喋っていたりとアレ?となったけど、映画では違う入り方にしたようですね。それは自然で良かったんですが、小説版の中島さんが好きだったので、彼女とのエピソード(山田が仕事で手を切っちゃうところとか)が減らされていたのはちょっと残念。彼女の静かで真面目な雰囲気がとても好きです。社長さんの言葉もじんわりする。ああいう気にかけてくれている人がいるっていうのは大事なんですよね。あと市役所職員の堤下さんも好きです。素朴で誠実なところが行き場をなくした人たちの救いになっている。そんな人たちがいるから、小さな喜びも生まれるんだと思う。
私も小さな日常の喜びを大切にしていきたい。自分がいなくなったとき、一人でもさびしいと思ってくれる人がいたら幸せですね。
味わい深い作品
場面はほぼ固定で舞台向きな感じ。
登場人物のキャラが皆、際立ってる。
ムロツヨシは相変わらず、良い味。
だけど、あまりの図々しさにイラッとしました、、
ある食事シーン、子供の方が気を使ってるという、、
まあ子供並みの無邪気さが
バリケードを剥がしたのでしょうが。
見終わった直後より、数日後の方が思い出して反芻しました。
うーん...
うーん、うーん…
こちらの監督のいつもの感じは、
ちょっと飽きちゃったかもなー。
狙い過ぎなんだよなー。
テーマはステキだと思うんだけど、
演出が好みじゃないんだろうな…。
寓話とリアルのバランスが悪い。
もっと、リアルよりで良かったなー、
吉岡秀隆親子の感じとか、
宇宙人のくだりとか、最後の行進のとか、なんだかなぁ…
ご飯を美味しく炊く才能
とくに事件が起こるわけでなしドラマチックな展開があるわけでなし、コメディーでもなし。前科者が淡々と日々を過ごすだけの映画。
私は前科者では無いけれど、昔この映画の主人公と似たような貧乏生活をしてました。
だからかもしれないけど最後まで飽きずに観ることがてきましたが、人にオススメとかはどうかなぁ?
ほんと淡々としてるのよ。
良い作品だとは思うけど感動するわけでなし、面白いわけでなし、見終わってスッキリもしないし。
なかなか不思議な作品だとおもいます。
たぶん観おわった人の多くが白ご飯を食べたくなるのではないでしょうか?めっちゃ美味しそうでした。
今も一人暮らしなのでね、ご飯を美味しく炊く才能は本当に羨ましく思います。
イカ宇宙人
まか不思議なお話しで、感想がすっきり言葉になってまだ出てこない。
数年前に親を亡くしたときに思ったこと
「人生にこんな悲しみが用意されているなんて。多くの人がこの道を通っているなんて。」
普段口にはしなくとも、その悲しみを抱えこんで生きる人たち。
野菜を育てて細々と暮らす。遺骨を愛おしむ。捨てられた電話器の受話器をとり続ける。宇宙人と交信する。
それぞれに死と向き合う。その姿をお互いに決して否定せず、毎日手を動かし、食べて生きる。
じんわりと励まされる。
ほのぼの映画の中の大切な言葉
出所した主人公が人々の暖かさに触れる映画
こういう映画は締め方が難しいが、しっかりとまとまっている。
平坦がない田舎のほのぼのシーンが続くのに不思議と飽きがこず、魅力にのめり込んでいくのは脚本と監督の演出のなせる業。
松山さんは流石の演技力。過去のある主人公をうまく表現していた。
緒方さんの言葉は沁みる。つまらない一見マンネリも積み重ねた日々が信用になる。
柄本さんの市役所職員も素晴らしい。
怒りたくなるし、怖い仕事なのに。頭が下がる。
ムロさんの後半の言葉。本当にそう思う。自分はどうなんだろうか?と考えさせられる。
しかしいい街だ
久方ぶりの邦画心地でした。
いやはや全く期待していなかったのですが“松山ケンイチってやっぱ良いよね”と言いたくなる作品です。
ムロさんは通常かなと思ったら裏があったり、満島ひかりの割烹着が色っぽいなと思ったら裏があったりで、非常に楽しめました。
何よりも出演者が豪華過ぎて、、緒方直人・柄本佑・吉岡秀隆など。久しぶりに、江口のりこさんの用法・容量が守られていてグッと来ました。笑
公衆電話、お墓(魂の形?)、お風呂など色々、暗喩というかメタファーがありそうです。
最近、まったりした邦画観てないなぁーと言う方は是非ご観賞下さい。損はしないと思います。個人的には、「護られなかった者たちへ」に本質的に似たテーマかなと思いました。
是非映画館で!!(あの齧る音は映画館こそ!!)
あんな葬式で送ってほしい
登場人物がみんな怪しくて、信じていいんだろうかと心配してしまう。
昔ながらの長屋みたいな生活。助け合いながら、時にはけんかしながら家族みたいに生活して行くんだな。
いいお葬式でした。
暖かく優しい物語
淡々と進む物語の中で、個性的な登場人物たちが、それぞれの痛みを抱えながらも、小さな幸せを細かく見つけて生き抜いていく様が丁寧に描かれている。松山とムロツヨシが一緒に食卓を囲んで食べるシンプルなご飯さえとても生き生きと描写され、実に美味しそうである。無かったことにしていい人はいない、淡々と積み上げていく単調な日常の先に何の意味があるのかはわからない、でも毎日コツコツと積み上げていった人にしかわからないものがある。派手さはないが、個々の役者の演技力、じんわりと染みるセリフに、見終わったのちほんわりとした気持ちになれる作品。
食べる、働く、育てる、怒る、泣く、笑う、生きて行く
かもめ食堂の監督作だから、どんな美味しそうな料理が出るのかと思ったら、まさかの白米!
もう、おにぎりですらない
でも、この白米を訳あり松山ケンイチと、空気読めないムロツヨシという最強の二人コンビが食べると美味しそうなんだ☺️
何かしら抱えた人々が、近すぎない距離を保ちながら寄り添い生きる日々の暮らし
なにも解決しなくても、ただ毎日を懸命に生きる尊さが、川を渡る風や流れる雲、木に降りかかる雨や炊き立てのご飯の白さから伝わってくる
生と死と、いわゆるルートから外れた人々を描いているから、かもめ食堂のイメージで見に行くと、あれ?となりそう
ただ、監督の持ち味のユルいほんわかした空気感と、美味しい料理は健在
脇役まで豪華な役者陣がみんな魅力的で、2時間あっという間でした
個人的に、亡き夫を愛し続ける満島ひかりが印象的だった
健気な未亡人という綺麗事じゃなく、生身の女として美しかった
ラストシーンを彩るエンディング曲もよき😊
ご飯は誰かと一緒に食べた方が美味しいよ、というセリフが、鑑賞後の心に余韻として広がる映画でした
生きているって、当たり前じゃない
予告からして、すごく心が温まるホッコリ系の映画だと思っていた。松山ケンイチ、ムロツヨシ、満島ひかり、吉岡秀隆というメンツからもそう想像できた。だけど、想像とはかなり違くて、「生死」という重いテーマを扱った、深みのある人間ドラマでした。とても良かった。
登場人物全員、生と死の狭間で生きている。
4歳の時に母親と離婚して以来、1度もあってない父親が死んだ山田(松山ケンイチ)。
庭で野菜を育て、自給自足の生活を送る島田(ムロツヨシ)。
何年も前に死んだ旦那を未だに愛する南(満島ひかり)。
子どもと一緒に墓石の訪問販売を行う溝口(吉岡秀隆)。
死を間近に感じながらも生きている彼らは、生きることに一生懸命で、命をとても大切にする。4人の演技力は流石なもので、中でも松山×ムロは息の根ピッタリ。「マイ・ダディ」「神は見返りを求める」と、少し重い映画に近年出演し続けているムロツヨシだが、福田雄一作品では気付けなかった、演技のうまさに驚かされるばかり。柄本佑も同じく、役幅の広さに驚かされ続けています。
重いテーマながらも、終始居心地が良くて、しっかりと胸に染みながらも沢山笑える。日常の些細な幸せを描く映画で、この映画を見たらご飯がいつも以上に美味しく感じること間違いなし。陽気なシーンと考えさせられるシーンが交互になっている構成なため、飽きることもないし、交互だからこそより一層深みが増しているよく出来た映画です。
雰囲気がとてもいいのは、役者全員が優しい雰囲気を作り出しているというのもあるのだけど、「パスカルズ」の音楽があるからこそだと思う。「さかなのこ」でも音楽担当をしていたパスカルズだが、映画をとても暖かく包み込んでくれる素晴らしい音楽集団。ラストシーンなんて、心が一気に浄化される落ち着く曲でした。
それぞれ何かを抱え、少し歯車がズレている。
だけど、みんなが一緒ならその歯車もキレイにハマる。ギリギリの生活ながらも、支え合いながら生きている。「自分が死んだ時に1人でも悲しいと思ってくれる人がいたらそれでいい。」生きるって難しいけど、生きていないと幸せは感じられない。ハイツムコリッタの住民たちには癒されながらも、すごく胸に刺さるセリフがいっぱいで、とても味わい深い映画です。
前半の歯切れの悪さ、そして社長の説教臭いセリフに嫌悪感を持ってしまったり、断片的なところがいいところなのかもしれないけど、ちょっと物足りなさを感じてしまった。だけど、誰でも確実に刺さるものがあるだろうテーマを扱った、ちょっぴり重くてちょっぴり泣ける、コメディタッチの質の高い人間ドラマでした。ぜひ、映画館でこの雰囲気を堪能してください。
でんでんむしのかなしみ
予告から、孤独な若者とおかしな隣人たちとのふれあいを描いたコメディ、くらいに思っていたら、意外にも奥が深かった。
誰しもが哀しみを背負って生きている。
他者とのつながり、自らの過去とのつながり、死者とのつながり、いのちのつながり。いろんなつながりを感じる(考えさせられるよりも感じる)作品だった。
松山ケンイチ、ムロツヨシ、満島ひかり、吉岡秀隆、柄本祐、緒方直人、みんなそれぞれがこの人じゃなければ考えられないという役を上手く演じていた。
他者との関わりを避けて暮らしている山田君。迷惑ながらも人とふれあうことでだんだんと表情がいきいきとしてくる。松山ケンイチがただご飯を食べているだけなのに飽きることなくいつまでも見ていられる。
満島ひかりの亡き夫の遺骨とのラブ・シーンは哀しくせつなくも美しい。満島ひかりだから生々しくならず美しく哀しい。
風呂を貸してくれと勝手に上がり込んでくる隣人。ムロツヨシでなかったら、すごい嫌な奴になってたろう。ムロツヨシだからなんか憎めない。
薬師丸ひろ子、どこに出てたんだろうと思ったら、声だけだった。確かにいい声だった。あの声で優しく語られたら死ぬのを思いとどまるだろう。
吉岡秀隆演じる墓石のセールスマンも、あの声で空に浮かぶ金魚の霊の話を聞いたんだな。だから生きているんだ。(どですかでんの三谷昇のまんまのシーンも良かった)
蝉の声、キュウリを齧る音、炊き立ての白米、生きていれば何にだってしあわせを感じることができる。
ラストの葬送行進は現実離れしていたけど、この映画にはぴったりの美しい(画も音楽も)シーンでした。
花火でドーーーンッ!!
自分の感情全てに蓋をした山ちゃん。
図々しいお隣さんをはじめ、周りの人達に少しずつ殻溶かされて‥
みんな色々ある。
話せない、話したくない過去。
それでも生きている。笑ったっていいんだよ。
ゆったり、ほんわか、じんわり。
炊きたてご飯。美味しそうでした。
ささやかな日常の尊さを、奇跡的なまでの煌めきで捉えた超絶大傑作
タイトルにあるムコリッタは、どうやら時間の単位を表す仏教用語らしい。
ムコリッタは1日の三十分の一、つまり48分で1ムコリッタになるとのこと。
こうした説明が映画の冒頭ではさまれる。
そこから松山ケンイチ演じる訳ありっぽい男が富山県の田舎町に越して来るところから物語は始まる。
イカの塩辛を作る工場で働き始め、そして川っぺりにあるムコリッタというアパートで暮らし始めるというシンプルなストーリーだ。
この映画はストーリー自体がシンプルだからこそ、日常の生活を捉える細かい描写がとにかく素晴らし過ぎました。
まずは、素晴らしかったのはご飯のシーン。
炊きたての炊飯器のアップとか、イカの塩辛とか、採りたてのトマトとかきゅうりとか、みんなで食べるすき焼きとか、出てくる料理全てがどんな高級料亭の料理よりも美味しそうに見えました。
やっぱり、ご飯は何を食べるかじゃなくて、誰と食べるかってことが重要だということを改めて教えてもらったような気がしました。
他に素晴らしかったのはお風呂のシーン。
昔ながらの大人1人がギリギリの入れるくらいのせまい風呂場なんですが、松山ケンイチとムロツヨシの表情も相まってめちゃめちゃ至福の時間なんだろうなっていうのがとても伝わってくる良いシーンでした。
あと印象に残ったシーンは、満島ひかりがアイスを食べながら妊婦のお腹を蹴りたくなるって話すシーンとか、満島ひかりが夫の遺骨を口に含めりして亡き夫に想いを馳せるシーンとか、台風の日に松山ケンイチとムロツヨシが九九の7の段を逆から言うシーンとか、お風呂上がりに牛乳を飲む習慣が実は父親からの影響だったと気付くシーンとか、決してドラマティックな訳ではないけれど深く心に染み入るようなシーンたちが本当に素晴らしかったです。
全体的に横長のスクリーンサイズを活かした平行線が幾重にも折り重なった横長な画作りが素晴らし過ぎました。
お彼岸系
とても穏やかな気持ちで最後までまったりと観ていられました。
お彼岸のこの時期に観るにはとてもいいんじゃないでしょうか。
前科持ちの再スタートと自己嫌悪
必要最低限の生活
炊き立てのご飯
毎日単調な作業の繰り返し
親との死別
遺骨の行方
お墓の値段
お坊さんの相場
孤独死予備軍
お節介な隣人
子供の世界
重過ぎず軽過ぎず深いようでしっくりじんわり笑ってしまう。
印象に残った隣の島田のセリフ
「もし僕がいなくなったら寂しいと想ってくれる人が
一人でも居てくれたらそれだけでいい」
なんでもないことの有り難さを気づかせてくれる。
今の自分がいるのは両親のおかげ。お墓参りに行かなくちゃ…
あとからじんわり…
そういえば満島ひかりは「川の底からこんにちは」で父親の遺骨を人に向けて投げつけてたなぁ。
最後のふわふわと飛んでいく魂はイカの塩辛星人?「NOPE」と重なって笑えた。
エンドロールに「江口のりこ」やっぱりそうだったんだっ!て驚いたり。
同じく「薬師丸ひろ子」えっ?出てたっけ?…あっあの人か!って驚いたり。
同じく製作に「竹内力」なぜだか安心したり。
すき焼き食べて白目むいて震えてる松山ケンイチを思い出してまた笑ってしまった。
観てて腹減るわっw
今回はがっつりしっかり「死生観」のお話。
単調でも丁寧に生活し、食事をする。そして(親の)死に向き合いつつも、また新しい繋がりを噛みしめながら生きていく。そして気づけば、いろんな背景、想い、生き方の人間がいて、戸惑いながらも理解し、受け入れる。そんな関係性にしみじみと感じ入る作品です。
私自身も50を過ぎ、親兄弟を含めた近しい人との死別を経験し受け止めてきました。そして思うことは、死別することは悲しく、寂しいものではありますが、その経験を踏まえ、且つ自分もそれなりの年齢になってきたこともあり、映画などで表現される様々な死生観についていつしか、「味わい深さ」を感じる自分に気が付くものです。
この作品も、観ていていろんな感慨がありました。とは言え、正直実際に観るまでは、派手な作品ではないだろうし、わざわざ劇場で鑑賞するまでもないかとの考えもあったのですが、実際は一人で観に来ていても、「誰かと一緒に観ている」という感じこそが「劇場鑑賞の価値があった」と思わせてくれます。
そして何より、「食事シーン」は流石の演出の荻上監督に、「旨そうに食べる」を演じさせたらトップクラスの松山ケンイチさん、ムロツヨシさんの合わせ技は「破壊力抜群」です。
まったく、観てて腹減るわっw
ムコリッタ
荻上監督のかもめ食堂は自分にはよく分からなかったのでどうだろう?と思っていたけど、こちらの作品はわりとわかりやすくてよかった。
山田(松山ケンイチ)と島田(ムロツヨシ)の関係がうらやましく思えた。ヤギと猫がいい仕事してる。
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