川っぺりムコリッタのレビュー・感想・評価
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ムロさんだから観ていられました
詐欺師だったらしい青年が出所後、北陸の塩辛工場に流れついて、社長の紹介で川縁のアパート、ハイツ・ムコリッタに一人住まい、奇妙な隣人たちとの交流で、細やかながら生きる喜びを得てゆくお話、見どころはストーリーと言うよりはムロさん演じる図々しいが憎めない本音で生きる隣人をはじめ、部類の善人の社長、訳アリの大家さん、墓石売りの親子など風変わりなキャラで醸し出す雰囲気を愛でるつくりでした。
死後の魂の行方、供養のあれこれ、亡霊、宇宙人まで出てきて宗教映画的、哲学的であるがSF、ファンタジーにも手を広げ、貧しいながらも生を紡ぐ人々への励ましのような社会派ドラマ的でもある、実に奇妙な、作家性の強い映画でした。
正直、どうでもいい流れなのですが風景が良く、ムロさんが出ていたから最後まで観ていられました。
米の飯をこんなにも旨そうに食べるシーンを観たのは初めてだ。
人類が克服したであろうと言われ続けてきた問題に「飢餓」があった。でも問題は克服はまだされていないようだ。誰もがお腹を空かせて日々暮らしているように思えてきた。この映画を観ているとそんな気分になってきたんだ。
主人公の山田が最初の給料を貰い買い物して帰るシーンでそれまで欝々としたオーラ全開の足取りが妙に軽やかになっていて、次のシーンを予感させた。それは見事に裏切られ米を揉むシーンだった。そして実に嬉し気に水の量を調整する山田の顔のアップ。
もうこれだけで充分だった。この映画を創った理由が万感の思いで伝わってきた。
米さえあればそれでいい。日本人に生まれて良かったと思えた。
人工物に囲まれての暮らしが本当はいかに暮らしずらいのか、
息苦しくないかい?生きている実感はあるのかい?頭で考えてばかりいて幸せなのかい?
そんな問いかけばかりが聞こえてきた。この映画からは・・・・・
もうすでに飽和状態に陥ってしまっている人間が作り上げた世界はこれから先の行き場をなくしてしまったようだ。通り過ぎてしまうだけの死んだ情報に惑い、腐ったものを吐き出す力も失くしてしまっている。もはや山田くんのようにノタウチながら生きていくしかないようだ。
孤独を望み都会を抜け出して静かに過ごす。身体が千切れるしまうほどの寂しさと空腹を体感してしまえば、ひょっとしたら細やかな幸せを掴むことができるかもしれない。
政治や科学では見ることのできないものをこの映画で観たような気がする。
骨壺が落ちる事も想像出来ない者が災害まで予見出来ないよね。
この映画(物語)は一刻館を舞台にした『めぞん一刻』だと直感した。五代くんと四谷さんから話が始まる。
先日『めぞん一刻』のCOMICSを全部断捨離した。
この映画の舞台は富山県らしい。全てが 富山県と関係ない。
まさかね?骨壺が落ちる事も想像出来ない者が災害まで予見出来ないよね。
どうして、富山なのか考えてもどうしても分からない。千葉県松●市の土手辺りでも何ら問題ないと思うが。
粉にすれば何やっても良いけど、自分で粉にするのは、道義的にどうであろうか。
妊婦の腹を蹶りたくなる人物が、カニバ●ズムに走る意味が分からない。
富山で撮影する意味が分かった。北陸●●線開通記念だ。
しかし、イカの塩辛は北海道か青森県でしょ。もっとも、富山のイカと言えば、ホタルイカだから、季節が終わっていたのか?言うならば、どうでも良い理由わからないショートコントのお話。
行政に位牌の焼却を任せて、知らんぷりしても経費の削減で良いと僕は思う。
火葬料金と、遺骨を粉にしても、合計で25万円位じゃないかなぁ。粉にすれば、行政の法令(?)には違反するが、どこにその粉を巻いても罪にならない。是非お勧めする。断捨離になると思う。
で、この映画で笑って良いの?
春さきは甘エビだ。ます寿司も出て来ない。本当に富山地産地消の映画なの?まぁ、原作者は海千山千県人だからね。『ほっとけ樣』の事だけは詳しいようだ。
自分で砕いても良いんだ♥
終わった。
この演出家ってあのオリンピック映画の監督なんだ。今知った。通りでね。やっぱり、なんとか賞は一つの出来レースで国策何じゃない?
日本に限った事は無いが賞を取れる演出家が名演出家ではなくなって来ているってことさ。少なくとも、2回目の受賞作なんて、海千山千の極みなり。
キャスティングがいいな
川っペリに住む,いろんな過去を背負う人々の交流を描くストーリー。
何気ない日常を丁寧に描いていて、演じる役者たちの力量がすごいと思った。普通にお風呂入って着替えてみたいな日常を演じて釘付にする,マツケンの存在感に驚く。
ムロツヨシの強引さに引きずられながら,馴染んでいく。
内容的にはまあまあだったな。
死に寄り添う生
何か訳ありの山田が、北陸の塩辛工場で働き始める。社長に紹介されてハイツムコリッタに住み、つつましくするつもりが隣人の島田が図々しい。また、4歳から会っていなかった父の遺骨を引き取る。アパート管理人の南、住人で墓石の営業マン沢田らとも交流し。
ムコリッタは仏教用語で48分。序盤、島田の図々しさが笑えます。朗らかな調子で展開すると思ったら、気が付くと周囲に重いエピソードがちらほらと。つつましく生を喜び、死に寄り添っている人々に感動しました。
亡くなった人も一員にする優しさ
山田が新しい仕事に就き住居も新しく住み始めると‥‥。
勝手に一番風呂に入り冷蔵庫を開けビールを飲み挙げ句の果てに炊き立ちのご飯も食べる島田。
夫を亡くし娘と二人力強く生きつつも家賃滞納する住居人にもほんわか優しく接する大家の南。
なぜか幼い息子と墓石のセールスをする溝口。
住居も世話してくれた勤め先の社長沢田。
気遣いができよく話しかけて仕事のやりようも褒めてくれ、土産に塩辛を持たせてくれる。
島田のことを昔からよく知っているようで口が堅いとも教えてくれる。なぜ島田を雇わないのか、は疑問。
200万円の墓石が売れた溝口。早速すき焼きを食べていると匂いを嗅ぎつけた島田、山田、南が箸を持ってつつきに来た。そこで岡本さんの話題。
亡くなった人でも違和感なしに仲間に入れる人たち。
前科があろうが気になどしない。
本人がいい人なら、それでいい。
九九七の段逆読みして一人で耐えて来た山田。
父親は早くに出て行き、高校生の時、母親に2万円だけ渡されて蒸発された。
いつの間にか道が逸れてしまっていた。
突然父の死を知らされた山田。
引き取るか躊躇する山田に島田から(父の存在を)無かった事にしてはいけないと諭され引き取りに行き市の職員の堤下に父の事を詳しく教えて貰い改めて自分との共通点を見つけ父と思う。
米研ぎを丁寧にし炊き立ちのご飯の香りを嗅ぐ。
ごく普通の暮らしのようだけど、山田には、なかなか手に入れる事はできなかった。
今やっと一般に言う普通の暮らしができるようになった。
ずっとこのまま続いていって欲しい。
(余談)不燃物置き場、綺麗すぎで、スタッフが並べたそのもの。映し出される度に、気になって気になって、電話やハーモニカに目が行かなかった。
けっこう深い内容だけど、暗くなく、独特なキャスト陣のキャラクターに...
けっこう深い内容だけど、暗くなく、独特なキャスト陣のキャラクターによって明るめに描かれている。
時にはファンタジーっぽく、時にはシュールに、くすっと笑える。独特な世界観が緩やかに流れていく。
生きること、死ぬこと、ささやかな日々の幸せ、考えさせられる映画でした。
宙を泳ぐ金魚が見えた!! 人が亡くなること、食を通して生きていく幸せを描いた作品🎆
富山の自然の山、川べりにある電話は
亡くなった親族に通じているかのように
見えるストーリーでした。
ハイツムコリッタに来たときは
なるべく人と関わることを避けていた青年の
山田が、島田と出会ったことがキッカケに
して、段々とささやかな幸せを感じる状況が
図々しくもあり、可笑しく思いました。
人が亡くなり、見送るカタチは風変わりに
見えても心が込もっていました。
食事や作物を育てることを通して、生きていく
術を学ぶことができました。
大家の南さんや、工場の社長は山田を偏見の
無い目線で見てくれていました。
汗だくになる夏に、墓石を売る親子の姿は
人生の最期を安心感で迎えたいと思える
場面でした。
島田が食べようとしたイカの塩辛が
『別物』だったシーンも面白かったです。
夕焼けの空の下、お見送りしたシーンは
宙を泳ぐ金魚が見えた!!
ことをイメージする
人間の魂が空に舞っていたように見えました。
奥の深い作品だった
意外と泣ける作品だった。
人に過去あり。昔の長屋的なアパートの住人達は、過去に色々ありながら明るく生活している。
1人では抱えきれない事でも、ご近所の皆さんがなんとなく寄り添って、時には図々しくも思うが、励みになり当たり前になり、生きていける。優しい関係。
もっと他の作品も観たくなりました
大学でアパート暮らしの頃、敷地のいちばん手前にある私の部屋にいちばん奥の部屋の住民である同級生のK君は、毎日まず我が家にあがって冷蔵庫を開けて中の飲み物を断りもなく勝手に飲むというルーチンでした。
実家から食材が送られてきた時もなんだか鼻が効くのか必ず夕食時に訪れてきて料理を堪能して部屋には寝るためだけに帰るという毎日でした。
まさにこの映画のムロツヨシさんそのもの!図々しさもルーチン化すると恐ろしいもので、年に数回様子を見にくる両親がいても勝手に冷蔵庫を開けて飲む習慣は出てしまうもので、両親も呆れていたことを鮮明に記憶しています。ところが当の本人は「そんな事したっけか?」といけしゃあしゃあと言ってのけます。ムロさんとマツケンさんと同様(?)今も腐れ縁で何故か喧嘩しながらも付き合いが続いてます。
そう本題ですが先週『波紋』を観てとても興味が沸いた荻上監督作品を是非観たいなと思った矢先、WOWOWで狙ったかのように(間違いなく狙っていたでしょう!)この映画が放映され思わず観入ってしまいました。前半のなんだか不思議な空気感、登場人物に首を傾げながらも観ていると世間と距離を置こうとしていたマツケンさんがムロツヨシさんや満島ひかりさん、柄本のお兄ちゃん、寅さんちの満男くん(というより純の方がメジャーかな?)たち隣人たちのおかげで自分自身を取り戻す姿はとてもほっこりと気持ちのいいものでした。
緒方直人さんも大事な役どころで、かつてドラマで(今ならストーカー規制法に引っかかるだろう)キョンキョンに一目惚れしてしつこく追っかけるお兄さんも、そういえば蛍の初恋の相手でしたよね!なんだか誰にもわかってもらえそうもないのでこのあたりでやめときます。
総じていえば『波紋』とは違うものの登場人物たちの心の中を見事に描写できる類まれな才能を持った監督さんだなぁってつくづく思いました。マツケンさんもムロさんも満島さんもとってもいい役者さんですね。面白かったです。もっと他の作品も観たくなりますね!
予想を覆す堂々の22年邦画No.1
2022年劇場鑑賞77本目 名作 80点
大傑作です
当方劇場の上映前予告で公開前にやたら見るし広告力入れてるけど、テーマといい規模小さい感じがして正直つまらないだろうしスルー確定でしたが、他作品鑑賞しに劇場に訪れ会いた時間に見たら、とんでもなく大正解。
予想を大いに裏切り超えてきたという意味でも今作は2022年劇場鑑賞103本の中で純邦画1位の作品です
まず登場人物みんな過去に問題なり思いを馳せる出来事があって、その中で生きづらさを感じながら日々に幸せを感じ生きていく。その哀愁と間とやり取りがこちらに絶妙なユーモアを届けてくれます
すき焼きのシーン、隣人が勝手に忍び込むシーン、ご飯が炊けてこちらまで香りが伝わるシーン、他にも沢山名シーンがありますが、一番は満島ひかりが演じる亡き夫を今も想うシーンで、石を身体中に当てて色々なものを感じているシーンがもう素晴らしすぎる。
2022年一番はもちろん、生涯でも指折りの名シーンであり印象的なシーンになりました
早くまた見たいので、アマプラかネトフリ、Huluで配信してほしいです
是非!
映画だから笑いながら観ていたが、隣人があんな人間だとかなり鬱陶しい...
映画だから笑いながら観ていたが、隣人があんな人間だとかなり鬱陶しい。
周囲の人たちもそれぞれ個性的ながら、悪い人間が誰もいないので安心して観ていられる。
特に社長は相当に良い人。
ラストの葬式シーンはかなりシュールで最後まで退屈しなかった。
荻上直子監督なりの死生観
監督と脚本は『バーバー吉野 』『恋は五・七・五!』『かもめ食堂』の 荻上直子
前科者の山田はほぼ無一文で富山に引っ越してきた
イカの塩辛を扱う沢田水産工業に就職した山田は社長の紹介で平屋建てのアパートが立ち並ぶハイツムコリッタに住み始める
ある日市役所から父が亡くなったことを知らされる
両親の離婚で4歳のときに生き別れた父はアパートで孤独死で夏の盛りで腐っていた
山田は渋々だが仕方がなく父の遺骨を受け取った
荻上直子監督らしいほのぼのとした視点で死を見つめている作品
豪華な顔ぶれ
満島ひかりと松山ケンイチとムロツヨシと吉岡秀隆の並びに邦画ファンなら観たくなるはず
いかにもウマ娘が好きそうなアニメ原理主義者を除いて
薬師丸ひろ子なんて声の出演だけだし田中美佐子に至ってはほんのワンシーンのちょこっとだけ
溝口親子がいい味出している
久々に墓が売れて溝口親子が豪勢にすき焼きを食べようとしてると島田山田南が次々上がり込んですき焼きパーティーになるシーン好き
堤下に説明を受け父が最期に住んでいたアパートの一室を土手の上で見つめる山田を演じた松山ケンイチの表情が好き
南が夫の遺骨を口に入れるのはまだいいんだけどそれ以外はちょっと・・・
南が山田を慰めるシーンにジーンときた
最後の坊主を先頭に粉砕した遺骨を撒く葬式パレードのシーン大好き
髪型を変えると人の印象は変わる
当初は黒田大輔と気づかなかったがよく観たら黒田大輔だった
役作りで丸めたんだろうな
荻上直子監督作品といえば小林聡美とかもたいまさこだけどそれはもう昔の話だね
配役
引っ越し沢田水産工業で働き始めたハイツムコリッタの住人の山田たけしに松山ケンイチ
ハイツムコリッタで山田の隣に住んでいる図々しいミニマリスト島田幸三にムロツヨシ
5年前に夫を癌で喪くし女手一つで娘を育てるためハイツムコリッタの大家として生計を立てている南詩織に満島ひかり
沢田水産工業で働くベテラン社員で余計なこと言わない中島に江口のりこ
山田の父の遺骨を手渡した担当の市役所社会福祉課職員の堤下靖男に柄本佑
丘の上の大きなお屋敷に住み犬を溺愛している大橋に田中美佐子
島田の幼馴染で坊主のガンちゃんに黒田大輔
命の電話相談員に薬師丸ひろ子
タクシーの運転手に笹野高史
イカの塩辛を製造している沢田水産工業社長沢田に緒形直人
幼い息子と2人で墓石の訪問販売をしている溝口健一に吉岡秀隆
まったりと流れる時間の中で…
ほんの短い間(ムコリッタ)の幸せでも、それを大切に噛みしめながら生きることが大事だよ…そんなメッセージの作品だったでしょうか。
こういう「時間の流れのまったりさ」というのは、荻上直子監督の作品に通底する雰囲気だったかも知れません。
「川っぺり」は、増水すれば、たちまち危殆に瀕してしまうような、ひとときの脆い(不安定な)安逸の意味だったのでしょうか。
とかく気忙しかったり、過去や将来に不安を抱えたままになりがちな昨今ですが、肩に力がはいってしまったり、奥歯の噛み締めがきつくなったりしたときには「本作のような幸せ・満足を思い出せ」という監督からのメッセージだったのかも知れません。
良い作品ではあったと思います。評論子は。
(追記)
遺骨をそのまま捨てると犯罪だが、粉々にすると違法ではなくなるというのは、「自然葬(散骨)」のことでしょうか。
確かに、墓地への埋葬でなくても、節度をもって行う上では、法律違反にはならないというのが、厚労省筋の見解であったと思います。評論子も。
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