再会の奈良のレビュー・感想・評価
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☆☆☆★★ コミニケーションの大事さ 今の若い人には分からないかも...
☆☆☆★★
コミニケーションの大事さ
今の若い人には分からないかも知れないのですが。その昔には何度も中国から残留邦人の人達が来日し、家族との再会を果たすのをテレビで報道されていた。
最初の時は感動の物語として報道されてはいたのですが。やがて色々と、《その後の物語》が噂として伝わり始める。
曰く、お金目当てで話を合わせている…とか。本当の家族ではあるのだが、どうしても歳月の隙間を埋めるまでは至らずにその後は再び別れて暮らす様になる…等。そこにはどうしても、言葉でコミニケーションが出来ない事に起因する大きな障壁があった。
やがてこの残留邦人の来日は無くなった。
人の良い吉澤役の國村隼は、中国から来たお婆さんの人探しに協力する。
でも言葉の通じる通訳を兼ねる若い娘が居る間は良いのだが。お婆さんと2人だけになると言葉の壁が出来てしまい気まずい雰囲気になってしまう。
この2人がベンチに座り、正面から撮られた場面。
気まずい2人…だがやがてこの2人はお互いの写真であり、娘のお小遣い稼ぎのある小物を使ってのコミニケーションを取ろうとする。
大袈裟に言ってしまうと。これこそが、お互いがお互いを気遣って起こす行動原理によってもたらされる。国と国との間に隠れている障壁が取り除かれる瞬間を切り取っているとも言えないだろうか。
その後には河瀬組の常連でもある〝 あの人 〟が登場する。
彼は今回、一見すると1番コミニケーションを取るのには苦労しそうな役どころの様に見える。
しかし彼は、そんな予想を軽々と超え。自らコミニケーションを取るツールを使いこなし、積極的に協力してくれていた。
それもそのはずで。彼は自分の弱点を知るからこそ、自ら相手の中に飛び込んで行く術を心得ていたのだろう。
最終的に映画本編は、ある結果を提示して唐突気味に終わる。
その直前には、観客側に多少の《希望の光》を示してはいたが、、、
ある歌姫の歌声が高らかに鳴り響くスクリーンを見つめながら、何とも言えない喪失感とやるせなさを思い返しながら帰路に着く。
2022年2月5日 キネマ旬報シアター/スクリーン2
奈良を舞台に
探訪記。とにかく歩き続ける。そこで修学旅行では見たこともないディープで温かな情緒に癒される。誇らしくなる國村隼という圧倒的存在感。3人の言葉のいらぬ表情や歩み。それに祭りのシーンの心震わす鼓動。じわじわ沁みる物語が尚更に奈良を好きにさせる。
「中国残留孤児」とその家族の絆、人の温かさ
【「中国残留孤児」とその家族の絆】、エグゼクティブプロデューサー:河瀬直美に惹かれて鑑賞。テーマは【家族の絆と再生】。行方不明になった残留孤児の養女・麗華を探しに訪日した陳おばあちゃん【陳慧明:ウー・イェンシュー】、日本語が全く分からないのに❣ 頼りは孫娘代わりの【シャオザー/清水初美:イン・ズー】、彼女は仕事を首になりそうな羽目に陥りながら奔走する。捜索に、彼女のアルバイト先居酒屋で出逢った【吉澤一雄:國村隼】が加わる。日本名不明の麗華、手掛かりは麗華からの手紙、捜索は難航する。興福寺のシーンは美しかった。麗華から届いた水彩画の場所を突き止めたシーンに感涙❣ ラスト近くの大事なシーンを見逃したかも❓ 切なくも心温まる物語に感動、人との縁は不思議だ❣ ロケ地は奈良、【シャオザー/清水初美:イン・ズー】が住むのは御所市。
切ない結末ですが、変にハッピーに終わらせないところが良い
脚本と出演者が良い。日本語と中国語、言葉が分からなくても通じ合えるところと、言葉が分からないので通じ合えないところが交互に出てきます。
所々に出てくるユーモアも絶妙です。
フィルムカメラで写真を撮るシーンがありますが、ひょっとして最後はこんなオチでは? と思ったとおりの展開になってしまい、一人で笑ってしまいました。
大きなパラボラアンテナは知りませんでした。今度、近所にもないか気をつけて見てみます。
中国のホテルでは普通にNHK-BSが見られたので、逆もありかなと思っていたのですが、違うのですね。
切ない結末ですが、変にハッピーに終わらせないところが日本と中国の感性の違いでしょうか。
奈良を舞台にしたロードゴーイング・ムービー? 国境を越える家族
少し前に予告編を観ていて、なんとなくこれは観たいなあと思っていた。こういうカンは、映画の場合得てして当たるのである。主な理由は、中国残留孤児や移民といったテーマに興味があったからである。
奈良に住んでいる日中ハーフのシャオザーのところに、おばあちゃん代わりとも言える陳おばあちゃんがやってくる。シャオザーのお父さんの友だちのお母さん、という関係。そのお友だちのお母さんの代わりにお乳をもらったという。陳おばあちゃんは、1945年の満州引き揚げの際親に置いて行かれてしまった日本人の子どもを育てたが、のちに自分の息子も生まれた。が、その息子が死んでしまったため、事実上日本人の娘(麗華)だけが子どもになってしまっていた。
麗華は中国で育ったものの1972年の日中国交正常化を機に日本に帰って暮らしていた。おばあちゃんに手紙を送っていたがあるところから音信不通となり、心配したおばあちゃんが奈良まで探しに来たというわけだ。
しかし麗華の日本名も分からず、手がかりは奈良に住んでいたこと、手紙、写真だけ。雲を掴むような捜索活動が始まる。が、幸運なことにシャオザーが働いていたお店の常連さん(吉澤)が警察OBということが分かり、探すのを手伝ってもらえることになる。
わずかな手がかりを追って、あっちに行ったりこっちに行ったり。奈良県内の残留孤児や中国人に会うことになるが、移動していくのでロードゴーイング・ムービー的な印象を持った。3人(シャオザー、陳おばあちゃん、吉澤)で歩いているシーンがすごく多い。たまに車に乗っていることもあったが。
面白いなと思ったのは肉屋に入った陳おばあちゃんが、言葉が分からないため肉屋の店員と動物の鳴き真似で意思疎通を図るシーン。また、お寺で、並んでベンチに座った陳おばあちゃんと吉澤が、無言で(あたかもパントマイムのように)コミュニケーションを交わすシーン。パントマイムと書いたがミニマルなダンスのようでもあった。
異文化接触モノとして思い出すのが『ロスト・イン・トランスレーション』なのだが、アジア人同士のせいかもっと沈黙度が高いようだった。
全編を通じ面白いと思ったのは、音楽。BGMの当て方というか選曲というかが、なにか面白いセンスをしているのは日本側でなく中国側がやったからなのだろうか? 見慣れた日本の風景とかぶさって、面白い効果を出していたと思う。
お寺やお祭りなど、日本的なものは中国の人には面白いのかもしれない。
私はこの映画には大いに感動した。まず、捨てられてしまった赤ちゃんを育てるという中国人の母の愛。そして、消息を絶ったら探しに来てしまうというのも母である。そのおばあちゃんを慕っている「孫同然」のシャオザー。吉澤はじめとする、温かい人たち。お寺の耳の聞こえない管理人さんや、麗華が働いていたお店の女主人などの人物。日本人なのに、故国へ帰ってきても中国人扱いされ、生活に苦労をする残留孤児たち。
私の父方の家族は満州に住んでいた時期があり、引き揚げは戦争勃発以前だったが、一番年下の叔母はやはりあやうく置いてこられるところだったという。赤ん坊の叔母がいっしょに帰ってこられたのは僥倖だったのだろう。今と違い、いったん国を離れてしまえばそうやすやすと再訪することも叶わない。自分の育った土地や、事実上の家族への愛着も測り知れないものがあっただろう。私自身、海外に住んだことがあるため、よく分かる。最近、いがみ合いがちな日本と中国だが、国境や政治体制を越えた家族やつながりがあるということを思い起こさせてくれた映画だった。
わたしは、好きです
皆さんのコメントを読んでから拝見。
私は、ドキュメンタリータッチで
景色が綺麗で、お祭りのシーンや
日本のいいところ紹介してくれてて
流石、川瀬さん。と思いました。
疑似家族の様な3人
日本と中国、同じアジアだもん
仲良くしましょう!!
と思い。テレサテンの歌で泣けました!
国民同士で分かり合える許容量
穏やかな田園風景が象徴的な奈良県御所市を舞台に描かれる物語。『中国残留孤児』先の日中戦争がもたらせたいまや悲しい風化した歴史の悲劇。プログラムを読んで歴史を復習の上、鑑賞を薦めます。今まさに北京オリンピックにおける反中視線、国民同士で分かり合える許容量はあるはず。
買いません
2022年永瀬正敏さん鑑賞2作目
なるほど、河瀬監督がプロデュースやからか。そっか奈良らもんな。
テーマ的には重いがどこかほのぼのしたロードムード。
途中何観せらてんねやろと思うとこもあったけど…うーんもう少しどちらかに寄せた方が良かったんちゃうかな。そうせえへんとラストが勿体無いわʅ(◞‿◟)ʃ
ちょい役やったけど、今回ももちろん永瀬さんは最高でした(๑˃̵ᴗ˂̵)
【中国残留孤児の哀しみに想いを馳せる作品。日中戦争の犠牲になったのは、両国の兵士だけではないのである。】
- 今年は日中国交正常化五十周年だそうである。日中国交正常化に伴い、中国残留孤児の日本への帰国が始まった。最初は歓迎ムードだったが、孤児達の環境は、厳しかったそうである。-言葉の壁や、実の親と会う事が出来ず再び中国に戻る人も多数居たそうである・・。-
◆感想
・今作品は、映画作品としては、正直クォリティは高くない。すいません・・。
・だが、元刑事を演じた國村隼さんや、永瀬正俊さんの流石の演技が、作品を支えている。
- この様な作品に出演される選択をしたお二人には、敬意の念を感じる。-
・来日して工場で働く女性シャオザーの元に陳お婆さんが、養女を探しにやって来て、偶々知り合った元刑事の男と三人で、養女を探す過程で明らかになる、養女が、経験した辛い数々の事実。
<シビアな結末であるが、私は今作品から学ぶ事は多いと感じた作品である。
罪なき民に辛い思いをさせる戦争や、国家感でのいがみ合いは、悲しみしか産まないのである。>
アニメのお目々はあれで大丈夫?
2005年の奈良、中国残留孤児を育てた養母が、日本に帰国して連絡がとれなくなった養娘を捜しにやって来た話。
奈良で暮らす娘の様な存在という同じく帰国した孤児の女性を頼りに、10年前の養娘からの手紙を携えてやって来て巻き起こっていく。
序盤、アニメーションで残留孤児とは何ぞや?の解説から始まって行くけれど、2005年はまだ中国人が日本に来るのは簡単じゃなかったし、その10年前は観光目的ではビザがおりなかった筈という時代背景が判っていないと何で10年も経ってから?となること必至。
まあ、ターゲットの客層は知っているだろうけど。
居酒屋の客で元警察官の男の手を借りながら、大家や日本で暮らす帰国した人達を3人で聞き込みして廻るけれど、行方不明の養娘について特に響く様なエピソードは無くて、帰国者達がどんな境遇だったということしか入ってこない。
観光広告映画?とも思ったけれど、それにしてはこれと言って訪れる先を紹介する感じでもないし…残留孤児を知らない人達に向けたお勉強の為?なんで今この作品が作られたのでしょう?というのが一番の感想。
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