「Sweet thing がたくさん詰まっています」スウィート・シング カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
Sweet thing がたくさん詰まっています
Sweet thing。字幕の訳では「愛しい君」でしたが、thing には様々な意味があるようで、Sweet thing がたくさん詰まっています。もちろん、Sweet sing もあります。
Alexandre Rockwell監督(60歳)の実の子供二人!
弟のニコは奥二重の目が手越祐也に似ていてとてもチャーミング。姉のビリー(Lana Rockwell)はカーリーへアーに面長の美人で大人びていている。きれいな声。ちょっと、かすれ気味の倍音がすごくここちよい。ニコは設定の11歳よりもずっと幼い感じで、15歳の設定のビリーも13歳ぐらいのいちばん清らかな美しさが輝くお年頃でした。弟思いの優しい賢い姉さんですが、二人とも学校に行かず、ネジやビスを拾って稼ぐ極貧暮らし。ぼろぼろのバスケシューズは左右が別のもの。初老のお父さん(ほとんどおじいちゃん)もフリーターで、アル中で、万引き常習っぽい。クリスマスの夜もサンタの格好して呼び込みかなんかのアルバイトで、泥酔して帰ってくる。そして、かなり悲しいクリスマス。よく耐えた!二人とも。
実はこの映画の直前に「ベルリン・天使の詩」をみました。偶然にも、モノクロ映像が大部分の構成でしたので自分でもちょっとびっくりしました。
クソでダメな大人たちからの逃亡ロードムービー。男にめっぽうだらしなくいバカ母親役も実際の監督の連れ合い。ビリーは母親似。でも、成長するにつれて、大坂なおみ似になってしまいそう。ビリー・ホリデーの歌を歌います。監督のレトロ趣味?名前も母親が好きなビリー・ホリデーから付けられたと。度々使われるビキニ姿のビリー・ホリデーが海岸の岩の上でポーズを作っている幻想シーンはやや強引でしたし、ビリー・ホリデーは子供の頃から売春してだぞみたいな、いじめの心ないセリフも好きではありませんでしたが、母親が髪をとかしてくれる回想シーンは良かった。
海辺のシーンも美しい。
車椅子の彼氏を病院から海に連れ出すのも優しさに溢れた勇気ある行動。
盗難車のエンジンのイグニッション作動シーンがかなりレトロでした。監督の歳だとそうくるのかなぁ・・・でした。子供が運転してるからすぐ捕まりそうだし。
しかし、最後は離婚同然の両親をくっつけるエンディングでほっとしました。
後ろの席では同性カップルの女の子が観ていましたが、彼女たちに響いたかなぁ? ちょっと、気になってしまいました。私は好きな映画でしたよ。
しかし、今年はアレサ・フランクリン、ビリー・ホリデー、二ーナ・シモン(サマー・オブ・ソウル)、ジャネール・モネイ(アンテベラム)と女性ブラックミュージシャン関連映画が偶然とは思いますが、続きますね😎