ポゼッサーのレビュー・感想・評価
全43件中、21~40件目を表示
なんとも評価しにくい…
とにかく全てが生々しく、ゆえに全編に渡って生理的嫌悪感がねっとりとまとわりつきます。
ただ、ストーリーや設定に粗が目立つため、話に没入しにくく、せっかくの不穏さにイマイチ浸りきれませんでした。
あの仕事、なんなん?
他人の意識を乗っ取って、ターゲットを抹殺する、インセプション的なSFもので、シッチェス映画祭に出品されるだけあってスプラッター要素も満載な作品。
ナイフや火鋏でグサグサ血ピューピューなもんで、その手が苦手な方はやめておいた方が無難。
内容も難解と言われる程ではないけれど、あの独特な世界観とギミックは、正直ちょっと苦手…
何故、拳銃の引き金だけトラウマのように弾けないのか?とか、別れた旦那はともかく息子との関係性が分かりにくかったりで、イマイチ釈然としない部分も…
そんなことより、あの乗っ取られ役の男たちの謎に満ちた業務内容の方が、今作最大の謎かも知れない 苦笑
意欲的珍作
肉体を乗っ取る殺し屋のアイデアは凄い斬新って訳でもないけど、ジャンル映画として志せば絶対面白いだろうなと思い鑑賞。
対象の肉体からの脱出方法は自らを殺すことらしい。一回目の乗っ取りから仕事人なのに脱出を躊躇して、メインストーリーの二回目でも躊躇する。仕事人として、ダメじゃないかと説教したくなるけれど、それぐらいを負担の掛かる仕事なのですかね。だったら、周りのケアが不十分としか言えない。物語として、起伏やトラブルを作るのは分かるけれど、オープニングで主人公がどのレベルの仕事人なのかを観客に示してから、メインストーリーのトラブルが面白くなるような。大体のスパイアクションってこのお約束を踏襲するように思うけれど、そこが上手くいっていない。そのため、観客としては「あんなに優秀な主人公が苦しめられているのか!」などと思えない。
一回目乗っ取りのターゲットが140キロぐらいの巨漢男性の為、出血量が凄い。実際の医療としてもおそらく、出血量は体重に比例するはず。
元夫と何があったんですかね。そこは具体的には描かれない。二回目の男の時にチラチラ見えた鏡合わせはなんだったんでしょう。私もネットニュースで不適切な画像などのアラートの判断は人力の肉眼によるものと聞いたことがあるので、その影響なんですかね。はっきりした因果などは描かないのは、トムヒの「ハイ・ライズ」を思い出したりもした。
主人公の凶暴化を描くけれど、暴力や残虐さが増長していくのは、自身の身体を誇るためのように現実を観ていると思うが、この監督はそう考えていないようだ。むしろ、他人の肉体に乗り移った不安感が凶暴にさせていると考えているようだ。ヤクザやチンピラの残虐さは自らの冷酷さを身内に知らしめる効果込みであると思うけれど、この作品の残虐さとプロ根性の食い合わせの悪さが気になる。
気色の悪さは否めない…
凄惨で残虐な殺しのシーンが多い割には没入できず他人事のような感覚で観ていたため視覚的には記憶にあまり残らなかった。
一方で、「音」については不和を感じさせるものの連続で、聴覚的にはとにかく気持ち悪い気分にさせられたという印象が強い……
リアルにこんな技術が進んで夜に蔓延ったらイヤだなー
趣旨を理解して見に行く限り、そこまで低評価にはならないかな
今年66本目(合計339本目/今月(2022年3月度)8本目)。
大阪市では1週間遅れのこの作品。R18扱い(残酷な表現6割、大人の営み4割くらい?ただ、大人の営みのシーン「だけ」ならR15程度でしかかない)ので注意です。そこそこグロい表現も出ます。
内容的に本格的なホラー映画に仕上げてきたなと思う一方、他の方も書かれている通り、「体の乗っ取り」ということを扱う映画で、さらに脳科学やITの話も出てくるので(ホラー映画といっても、これらが核を占めるので、無視はできない)、どちらかというと理系ネタに分類できるのかな…と思います。
また、メタファー的表現やオマージュ的表現も多いです。1度で全てを理解するのはなかなか難しいとは思う一方、2回3回見るか…となると、そもそも論でやっている映画館が少ないのでそこは考え方次第かなと思います。
「(ごまかしのない本格ホラー映画+理系ネタ映画)÷2」というようなタイプで、まぁ今は3月ですが、怖いもの見たい方にはお勧めです。といっても、やはりR18なので、今は飲食物など基本的にフリーな映画館も多いですが、食べるものには注意したほうが良いかもしれません。
-----------------------------------------------
(減点0.3) この映画、そうはいっても、やはりメタファー的な表現もそこそこあります。物語中盤、モノクロテレビで闘牛か何かを見ているシーンも何らかの意味はあると思うのですが、字幕だけ出て日本語の訳がなかったりします(英検2級程度あればOKです)。
趣旨的にも1分あるかないかのところで、そこの翻訳がないのはちょっと惜しい(かつ、メタファー的な要素も結構あるので、この闘牛のシーンの趣旨も理解するのも難しい)というところです(一般的には「翻訳抜け」は0.2程度ですが、「趣旨が理解できなくなる」という意味です)。
-----------------------------------------------
テーマは意外に深い
タイトルの通り、肉体の所有者の話である。意識を乗っ取って、宿主の肉体を自由に扱う。依頼された殺人を実行し、そのあとで宿主を殺せば自殺にしか見えない。何の証拠も残さない完全犯罪だ。まずこのアイデアが見事である。よく思いついたものだ。
製作側には心理学や精神分析、または脳科学の知識があると思う。意識を乗っ取るといっても、無意識を含めた脳の働きのすべてを乗っ取れる訳ではない筈だ。乗っ取る事ができるのは意識の一部と関連する無意識の一部だけだという設定だと思う。つまり脳の働きの大部分を占める無意識は、ほとんど手つかずのままだ。そこが本作品のポイントだと思う。
人間は平凡な一日でも、200回ほどは何らかの選択をしている。その殆どは無意識が行なっているらしい。朝起きて最初にトイレに行くのか歯を磨くのか、そういったことは殆どが無意識によって決められている。なんとなくというやつだ。
無意識によるなんとなくの行動がたくさんあるのであれば、無意識も乗っ取らないと、肉体を自由に扱えない場合が生じる。それが本作品である。乗っ取ることができなかった無意識は宿主が所有者である。乗っ取っている意識と、宿主の無意識とが対立してせめぎ合う。ある意味でアイデンティティの戦いと言ってもいい。これは両方にとって苦しい。
殺し屋にとって、殺す対象は仕事を処理するだけだから躊躇なく殺せる。しかし殺しのために利用する人間を殺すのは、少し引っかかる。そこへ宿主の無意識が意識に流れ込んで来たら、パニックだ。
本作品はそのあたりを上手に表現してみせた。SNSの匿名性に個を埋没させる現代人が、特殊な機械と通信技術によって個を乗っ取られようとする危機に対して、どのように対応できるのか。
簡単な構図の作品であるが、テーマは意外に深い。斬新なアイデアとともに、印象に残る作品となった。
バイバイ🙋ドバイ
故障?
かなり安っぽいデバイスでした。
イリュージョンの世界をみせてゆくけど、どっちがどっちなのよ?
故障?目覚めたの?
エージェントの女性がレスビア~ンに目覚めたのをきっかけにぶれぶれになった感じでした。
清々しく終わって欲しかった。
作品に身を委ねてみる
学生時代好きだった鬼才デビッド・クローネンバーグ。その息子ブランドン・クローネンバーグ監督の新作。
職人気質の映像表現にクローネンバーグらしさ。拘りを感じる執拗で丁寧な殺傷シーンは帰宅した今も脳裏にべっとり。本作ではCGを一切使用していないとか。
主人公に致命的な欠点があったり脚本には疑問を抱く点が幾つかありましたが、この作品は監督の産み出す世界に能動的に身を委ねた方が気持ちいいと感じました。
ビジュアルの奇抜さ
わかりにくいというお話。
意識を乗っ取ったはずの主人公・女性殺し屋のタシャと、乗っ取られたはずの男の意識が混ざって、
「どっちの意識が主なのか」
「殺意の源泉はどちらの意識なのか」
をあえて曖昧に見せる演出なので…
観客を混乱させることと。
精神世界の可視化(ビジュアル化)と。
自我なんて所詮他人の影響から逃れられないので、それが本当に自分の意思なのかわからないのが常じゃないかという問いかけと。
ってあたりが目的なのかなぁとか思いながら鑑賞。
それにしたってビジュアルが常人には思いつかない奇抜さで、かつ物語そのものが異常。
思いついても、普通はやらないよなという視覚効果を狙うあたりに、若さゆえの暴走というか、怖いもの知らずな青臭さも感じたりして。
とりあえず殺害予定ターゲット女性と、中身は女性殺し屋な男性のベッドシーンは倒錯的で、なかなかクルものがあったので、そこは好き。
スランプ?
人の脳に遠隔で入り込み、人格を乗っ取ってターゲットを殺す殺人者にする殺し屋企業の工作員の話。
殺し屋の活躍をみせる作品かと思ったら、弁護士殺しの後、PTSDの様な症状になり、ぐるぐるぐるぐるな感情に陥っていく主人公をみせていく。
殺しのシーンはなかなか凄惨だけど一応プロ…しかもスター工作員ですよね。
色々と回りくどいし、今はどっちが主導?が判りにくいし、イマイチストーリーがしっくりと来ない感じがして自分にはハマらなかった。
不愉快+意味不明=後悔
2022年劇場鑑賞59本目。
遠隔操作で殺人をするということで、てっきりその犯人を追いかける刑事の話かなと思っていたら完全に殺し屋側の話でした。
その殺し方はお世辞にもプロとはいえない殺し方で、快楽殺人者にしか見えません。
ターゲットにされる理由もよく分からないし、よく分からない仕事も出てくるし、今これは誰の意識なのかもわからないし、情報が少なすぎて察しろみたいな感じになって、これでは殺される人も利用される人もとにかくかわいそうで見てられませんでした。単につまらなくて時間を無駄にしたというより、観た記憶を消したくなるくらいの映画でした。
70年代タッチの大人のエログロホラーサスペンス
ブランドン・クローネンバーグ監督のホラーサスペンス映画。
本作は父デビッド・クローネンバーグ初期の作風にかなり寄っており、オマージュや意識した等のご意見も散見するが、自分としては「父親と同じ路線を引き継ぎますよ」といった宣言のように思えた。
何だかよくわからない装置や機械の細かい造形へのこだわりや、精神が不安定で病んでいく様子などを上手に演出しており「戦慄の絆」に近いものを感じた。
主演のアンドレア・ライズボローは神経質で闇が深そうな雰囲気が強烈で、作品の醸し出す異様さと怖さの中核を担ったが、この人体重の増減とメイクで物凄く綺麗な時と怖い時の落差が激しく見える面白い女優さんだと思った。
VFX全盛の時代にあえてCGを使わず、特殊メイクとリアルな映像にこだわり、おそらく狙い通りに70年代風モダンホラーの不気味な雰囲気を上手に出すことに成功し、若干画面が暗く認識しにくい箇所があったものの、映像作品として総じて面白く観させてもらった。
ブランドン・クローネンバーグは次回作を観ようと思える贔屓の監督にリストアップすることにした。
"脱出"
アナログな特殊効果とイメージ映像的な場面に斬新さとグロ描写が物足りない、知的なものを感じながら物語は単純でありつつ複雑な印象は残しながら??
この題材、ハリウッド映画にもありそうな一層のこと娯楽作にでもした方が面白いような、序盤のテンポ良い展開から話も理解しやすく進む反面、中盤以降から物語自体が脱線しているようで暗く重い雰囲気にダルさが目立つ。
殺し屋を雇ったほうが楽な気も、拉致したり準備過程が面倒に思われ、いつのまにジェニファー・ジェイソン・リー!?
自分の趣味趣向ばかりが目立ち楽しませる娯楽性が足りないような、自分の色塗れにしない要素が父親にあるからこそのクローネンバーグ。。。。
思ったよりは全然面白い。
クローネンバーグの子供ってだけで運が悪いのに態々映像作家になってしかも同じジャンルの映画を撮るなんて変態的なマゾヒストとしか思えない。
内容も表社会の下に蠢く裏の存在とかアイデンティティクライシスとかクローネンバーグ的。肉体の主導権の奪い合いとか『スキャナーズ』のラストを思い出した。
飽きずに観れたし、面白かったと思うし、ストーリーもまぁこんな感じなんやろなと、6〜7割位で理解しておくのが正しい観方だと思う。
ただなんつうか、クローネンバーグという呪縛に自縛している気がしないでもなかった。つくづく不憫である。
ただ、女の趣味は親父さんの方が良いな。
追記:
そうか、ジェニファー・ジェイソン・リーは『イグジステンズ』か。インプラントを使って他人の体(物語)にジャック・インするのが似てるなぁとは思ってたんだよな。
何だかんだ言ってそういう目配せを入れてくるのって親父の威光を笠に着てる感は有るな。
ノーランが撮ったりジェームズ・ワンが撮ったりしたらもっとエンタメでもっと面白くなるんだろうが、この位の面白さがちょうど良いんだろうな。
全43件中、21~40件目を表示