「【”パラサイトキラーの深い憂愁と困惑と被パラサイト者の復讐。そしてパラサイトキラーの真なる覚醒。”今作はブランドン・クローネンバーグのオリジナル脚本による斬新な作品構成が光るSFスリラーである。】」ポゼッサー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”パラサイトキラーの深い憂愁と困惑と被パラサイト者の復讐。そしてパラサイトキラーの真なる覚醒。”今作はブランドン・クローネンバーグのオリジナル脚本による斬新な作品構成が光るSFスリラーである。】
■殺人を請け負う工作員・タシャ・ヴォス(アンドレア・ライズボロー)。彼女は特殊な装置を使い、ターゲットに近しい人間の脳内に自分の意識を寄生させ、標的を仕留めた後は”脱出”と呟きその被パラサイト者を自殺させる熟練暗殺者だった。
だが、夫マイケル(ロッシフ・サザーランド)との関係が上手くいかなくなり、息子アイラとも仕事により中々会えなくなる。
そんな彼女の悩みが影響したのか。あるCEOジョン・パース(ショーン・ビーン)とその娘エヴァ・パース(タペンス・ミドルトン)の殺害依頼を受け、エヴァの恋人コリン・テイト(クリストファー・アボット)の意識に寄生し、二人を斃すが(後に、CEOは命を取り留めた事が描かれる。)”脱出”しようと拳銃を口に咥えるも引き金を引く事が出来ず、逆に意識を取り戻したコリン・テイトに、マイケルとアイラを狙われるのであった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は、作品設定が斬新であり、観る側にエロティシズムとグロテスクさを絡ませながら、サスペンス感を十二分に感じさせる仕上がりとなっている。
驚くのは、この作品がブランドン・クローネンバーグのオリジナル脚本であるという事である。
・作品の描き方も、血塗れシーンが多数有るにも関わらず、スタイリッシュであり、音響効果も含めて完成度が高い作品である。
・被パラサイト者であるコリン・テイトが、意識をタシャ・ヴォスから取り返そうと、彼女への指示者であるガーダー(ジェニファー・ジェイソン・リー)が送り込んだ男と、エヴァの友人の女を殺害し、マイケルとアイラを殺しに向かうシーンの不穏さもナカナカである。
■そして、コリン・テイトはマイケルを肉切り包丁で滅多切りにするが、息子アイラから撃たれるのである。コリン・テイトはアイラを射殺し、二人の血が床面で混ざり合った時に、ベッドに装置を頭に付け横たわっていたタシャ・ヴォスは目を覚まし、同じく横に寝ていた
ガーダーも目を覚ますのだが、彼女はタシャ・ヴォスの表情から【憂愁の原因であった】マイケルとアイラが殺害された事で、深い憂愁が消え去っているのを見て、微かに微笑むのである。
<今作はブランドン・クローネンバーグのオリジナル脚本による斬新な作品構成が光るSF血塗れスリラーなのである。>

