「父親と同じ見世物小屋のオヤジだが、看板倒れの感が否めず」ポゼッサー 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)
父親と同じ見世物小屋のオヤジだが、看板倒れの感が否めず
父親の作品は、見世物小屋で見せる蛇女とか人間ポンプ、タコ娘、ロクロ首…のようなグロテスクなブツを中心に、それに合わせるようにして世界観やストーリーを構築しているところがあった。
血は争えず、息子も見世物小屋のオヤジよろしくグロをゴリゴリ押し出してくるのだが、どうにも展開がまどろっこしい。グロをゴリゴリやってれば面白いというわけではなく、親父のように奇怪で醜悪な人間やストーリーや世界観が伴ってこそ面白いはずなのに…如何せんそれがない。いや、奇怪な世界の表面は見えるが、その具体的な中身の展開がない。
したがって感覚的で刺激的なグロによるショックにとどまり、思想のグロさ、エゲツナサにより見る側の感情を揺るがせるところまで行っていない。あるいは映像志向の監督でそっちの方面には興味がないのかもしれないが、ならばもっとスゴイ映像で勝負してくれないだろうか? 残念ながら看板倒れの見世物小屋という感じが拭えないのである。
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