「容赦なくグロい、エグいが・・、映像と音の表現は斬新、評価に値する。」ポゼッサー moon-yokoさんの映画レビュー(感想・評価)
容赦なくグロい、エグいが・・、映像と音の表現は斬新、評価に値する。
他の方が記載している通り、暴力表現、血の量はビックリするぐらいヤバい。
よく、公開の許可がおりましたね・・。ってレベルです。ご注意ください。
前提の説明も少なく、精神世界の表現が多いので、ついていけないところも、多々あります。
ですが、相手に入りこむ映像、不安、恐怖、葛藤の映像表現、音の表現は斬新です。
見ている人を終始、何とも言えない嫌な気持ち、不安な気持ちにさせます。
私自身、直視できなくて、片目をつむってしまうところもありましたが、見る価値はあると感じました。
主人公が戻ってきて、精神状態をテストするシーンが複数あります。
これから見る方には、しっかりセリフを見てほしい。
そこに、この映画の本質の1つがあるように思いました。
** ここからは、鑑賞した人向けです。**
感じたこと、怖かったこと。
自分の心と自分の身体 (社会的な地位) 両方が揃ってるときは、
恥とか道徳、倫理とか、ルールや法律、そういう縛り(?)によって、一般的にいう「人として」の行動をしていても、
心が他人の身体に入り、それらの縛りが消えてしまうのであれば、欲望のままに動いてしまう。
絶対に罰せらられない状況。
対象の相手は一切、自分に無関係。
命を奪える武器は、自分だけがもっている。そして、相手は自分を攻撃してこないことがわかってる。
そんな状況が揃っていたら、引き金をひいてしまう人は多いだろうな・・、自分は留まれるだろうか??と
作品を見終わって考えました。京極作品でいうところの「とおりもの」を思い出しました。
引き金をひけないこと。
ひとつは、暴力をふるいたい要求、相手を痛めつけることでの解放感を味わいたいから、単に面白くないから、
もうひとつは〇殺という行為が「自分」を強く意識させるから、突然怖くなる、現実に戻される、死ぬほど痛いのは嫌だ、
自分がかわいいため、と私は感じました。ここの説明がないところに、批判も多いですが、私は良い表現だとおもいました。
白い澱。
本当に気味が悪かった。頭の中のゴミというか、不純物というか。
そして、新しいけど、誰にでも何となく伝わる映像表現というのも凄い。微妙に振動しているところも、不安にさせる。
つぶされるアレ、かぶるアレ。
凄い表現だった。え!?えええ~。って感じ。
どっちに主導権があるのか、分からなくなる混乱要素でもありますが、とにかく象徴的な映像表現。
夢に出てきそうで、すこぶる怖い。
消えゆくものと、継がれていくもの。
暗殺を続ける中で徐々に「人としての何か」が消えていく。精神状態のテストからもそれが伺える。
最初は口に出してたものが、出さなくなってる。そうやって、より純粋、無垢な暗殺者になっていくのだろう。
そして、それは継がれていく。と思えた。
母と娘の血と血がつながっていくシーン、親子の繋がりを感じさせる共に、継承や世代交代を意味しているような気がした。
本当のポゼッセーとは。
暴力シーンや、精神世界の強烈な絵に頭をもっていかれますが、
心と体、それを制御するものは一体、何のか。社会の縛りのない世界で、人は何をするのか。そんなことを考えてしまう作品でした。
2 回目は見ないですが、深く、心に刻まれた衝撃作であったことは間違いありません。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。