劇場公開日 2022年3月4日

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「70年代タッチの大人のエログロホラーサスペンス」ポゼッサー カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.070年代タッチの大人のエログロホラーサスペンス

2022年3月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ブランドン・クローネンバーグ監督のホラーサスペンス映画。
本作は父デビッド・クローネンバーグ初期の作風にかなり寄っており、オマージュや意識した等のご意見も散見するが、自分としては「父親と同じ路線を引き継ぎますよ」といった宣言のように思えた。
何だかよくわからない装置や機械の細かい造形へのこだわりや、精神が不安定で病んでいく様子などを上手に演出しており「戦慄の絆」に近いものを感じた。

主演のアンドレア・ライズボローは神経質で闇が深そうな雰囲気が強烈で、作品の醸し出す異様さと怖さの中核を担ったが、この人体重の増減とメイクで物凄く綺麗な時と怖い時の落差が激しく見える面白い女優さんだと思った。

VFX全盛の時代にあえてCGを使わず、特殊メイクとリアルな映像にこだわり、おそらく狙い通りに70年代風モダンホラーの不気味な雰囲気を上手に出すことに成功し、若干画面が暗く認識しにくい箇所があったものの、映像作品として総じて面白く観させてもらった。
ブランドン・クローネンバーグは次回作を観ようと思える贔屓の監督にリストアップすることにした。

カツベン二郎