鈴木さんのレビュー・感想・評価
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「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」に続く意欲作。佐々木想監督のこれからに期待
映画のタッチはかなり違うけれど、着想は池田暁監督の「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」に近いものを感じる。太平洋戦争時の日本、全体主義社会と隣組など、現代でも同調圧力という形で引き継がれているこの国の“おかしさ”を、パラレルワールド的な虚構の“町”を舞台にした物語で風刺する姿勢。また本作では、敗戦後に天皇がいわゆる「人間宣言」をしたにもかかわらず、今なお自由に論じることがはばかられタブーのように扱われる天皇制のありようについても、わかりやすいメタファーで果敢に切り込んでいる。
いとうあさこについては、お笑いやバラエティの番組でしか見たことがなかった気がするが、これまでも映画やドラマにも出ていたことをプロフィールで知った。役者としての存在感や、本作での役柄に、ちょっと藤山直美(「顔」「団地」で主演)に似ていると感じた(顔もちょっと似ているかな?)。作品のトーンに合った優れた演技だと思う。園子温監督作「恋の罪」での怪演が忘れられない大方斐紗子が、本作でもすみこ役で独特の雰囲気を醸し出し、よいアクセントになっている。
にやりとしたり、はっとさせられたり場面も結構あるのだが、全体としては十分に描き込まれていないというか、少々食い足りない印象だった。それでも、佐々木想監督はたいていの作り手が避けがちな題材に挑む希少な存在なのは確かだし、これからの作品にも大いに期待したい。
❇️いとうあさこ さんありきの良きかな映画でした。
鈴木さん
🇯🇵千葉県(ロケ地)
近未来?45歳までに結婚しない人は市民権を失う法律がで追い込まれる44歳の独身女性(あさこさん)が主人公。
若者に偏った政治の行末を描く近未来想定ムービー。
現代の少子化問題にメスを入れる!近未来の新たな法律で人として狂っていく民衆の行動が怖さを描くデザスター映画。
❇️いとうあさこ さんありきの良きかな映画でした。
★彡素朴で野心もなく素晴らしい演技でした。🖐️
◉74D点。
★彡色々言いたい事はありますが、どんな話なのか気になって最後まで鑑賞した感じです。
想像はつきましたが、もっと幸せな結末を観たかったのがやや残念で良かった点でもあります。
🟢感想。
1️⃣違和感、閉鎖感、恐怖など全体に味がある世界観でした。⭕️
2️⃣いとうあさこ さんはならではの色がついてない素朴な演技⭕️
思っていたのと違った(笑)
レンタルの「お笑い」の棚にあった本作品なんですが。
吉本漫才やらM-1グランプリシリーズやらのコーナーに、この特徴ある「肖像画」のジャケットをこちらに向けて置いてあるんだし、
誰だか知らないけれど「たぶん女芸人のコスチューム形態模写?」あたりのDVDなのだろうと思って何げに手に取りました。
違いましたね。
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「ユートピア」という名前の、廃業したラブボを使った老人ホームの物語。
ディストピアな日本をえぐる物語。
げげ!
75年前なら大逆事件だよ。
特高警察が飛んでくるだろうこの反国家思想の映画はなんだ !? ww
神国日本のあるべき姿 として
どこかで聞いたぞ、このスローガン
「美しい日本」。
「美しすぎる日本」をば標語にして、長期にわたり国民を煽り続けたあの宰相とその政権をパロっていることは、これは誰の目にも明らか。
・布マスクを後生大切に押しいただく国民(コロナの窮地に下賜されたからなおさら強力に心を掴まれるし)。
・「生産性のある国民」になるための、“国家総動員体制”での女たちへの結婚•出産圧力、
・腕にはナチス政権が施したのと同じ番号の入れ墨が。
⇒これはマイナンバーシステムを、その《真意》については絶対に口を割らず、「国民皆背番号制」付与を執拗に推し進める政府を暗喩しているね。
そして
・神国日本への報恩•献身をば こと更に強調するモデルケース。
「補助金」と「勲章」欲しさの感心な臣民隊長⇒あちこちにいる田舎町長〜田舎知事への おちょくり。
さらには
隣組の自警団の監視とか、
マイクロバスでの徴兵・非国民狩りとか。
そして、産めないならば兵隊になって国に詫びて償うべきなんだと、恫喝はエスカレート。
「井戸に毒物」とか、
「隣国のスパイの噂」とか、
これはもう、飛び交うセリフが地雷Wordの連発ですな。
劇中では
“実は本当は洗脳されていなかった総務省の役人”を、その部下が政府に代わって粛清するという、狂気の密告シーンがありました。
そして関東大震災の頃、
体調不良でお隠れになり、早世したあの天皇の行状も模されていて、自転車に乗って叫び続ける鈴木さんの姿によって、それは畏れ多くも再現がなされていたのでした。
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昨今のドキュメンタリー映画
「パンケーキを毒味する」
「妖怪の孫」
「国葬の日」とはまた違って、本作はドラマ仕立ての社会派の異作でした。
低予算で大至急で撮られたらしいのですが、稚拙ながら《急所》を突いています。
近年、「お国の役に立たず、足手まといになった臣民は死ぬべきなんだ」とする同調圧力の「プラン75」が映画館でかかって、まだ日も浅いですし、
折しも疑心暗鬼の嵐の中で起こった震災の虐殺事件「福田村事件」も上映しているさなかですもの。
時代の空気に黙しておれずに
いま撮るべき映画を!と、佐々木想監督が急遽の発信をしたということではないでしょうか。
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【観終わって 思うこと】
しかし、
あの時代にあっても、
また現代でも、
そして迫害のさなかや戦火の地にあっても、この世界の片隅には、自らの幸せと命をなげうって、薄給で、あるいは無給で、「老人の介護」をしている現場の福祉関係者たちがいる。
敵味方関係なく介護をする篤志家たちがいる。
地べたをはいずり回ることを自らに良しとするエッセンシャルワーカーたちが存在してくれている。
そうやって
兵隊にもなれず、子を産むこともできず、国のお荷物になって生産性のない老人たちのことを 命懸けでかばう人たちがいるのです。
「偽装工作」をして、偽の婚姻届を出してでも、弱い年寄りたちのために職場を守ろうとしている人たちがいるのです。
現人神のカミサマが、
嫁き遅れた44歳の介護士を救出するために 自転車で単身警察署に向かい、道中村人たちによって撲殺されてしまったという、涙なくしては観られない映画。
哀しくて、愚かで、絶句させられてしまう映画だった。
僕は特別養護老人ホームの介護職員をしていた経験があるのです。
だから、ヒロインのよしこと鈴木さんの“愚行”がよく分かる。
あの二人に対してこそ、頭を下げ、手を合わせたくなる思いがわいてくる。
ホンマの神はそこにいたじゃないか。
・ ・
思っていたのと違いました。
驚きながらのDVD鑑賞でした。
『美しすぎる国』の美しさとは一体誰に向けてのものなのか
国が強制的に家族を作って子を成す政策を進めたら、一体どうなるかという究極のテーマに挑んだ問題作。
運良く監督と主演の佃さんの舞台挨拶に参加できましたが、この作品、近未来日本(と言うか千葉)のいち町村が舞台のようです。経済的な問題で10日間で撮影敢行。
ここ最近の邦画の風当たりの強さをご存知の監督さんより、撮影中のみんなのフォローが出来たかどうかわからない……とオドオドしいコメントを出されていましたが。余裕のあるスケジュール=経済的に余裕があること、なのでクラファンで資金調達&兼プロデューサーをされつつ、役者さんやスタッフさんのフォロー……。
ろ、ロングラン公開になると良いですね(号泣)。
さて、肝心な内容ですが、一見して地味に見える映画ですがなかなかに世情が反映された面白い作品でした。
ちょっとあちらの国々にも似た世界のような。反政府の人間を捕まえたらお金をあげるよ、と言われて何も考えずに同調してしまう人々。
でもこれ、結構起こりうる可能性あるんですよね。面倒くさいのは嫌だし、除け者にされるのも嫌だから長いものに巻かれろ的な。
ある意味、イジメが生まれる根本の理由ですね。
それをこうして映画を通して客観的に見てしまうと、なんというか。背筋が一気に薄寒くなりました。
『美しすぎる国』の『美しすぎる』とは一体誰に向けての美しさなのか。
思いやりが欠如した人々を果たして美しい人と呼べるのか。
良い作品。
ロケ地である元ラブホ現グループホームも気になりました。なお、実在する場所のようです。
イオンはあります
現人神である「カミサマ」を国家元首とする国の小さな町で、45歳以上の独身者は町を追放されるか軍に入隊しなければならないという条例が制定され巻き起こる話。
体調不良によりカミサマが人前に現れなくなって20年。3ヵ月後に45歳になる未婚の主人公がラブホテルの跡地で営むグループホーム に、管理No.の刻まれていないホームレス風の男、鈴木さんが現れて巻き起こっていくストーリー。
若者ばかりを囃し立てる片寄った行政と、それに乗じて増長していく若者達。
そんな中で生きにくい年配者で特に独身でもある主人公と鈴木さんの関係をみせていく展開で、設定自体は嫌いじゃないけれど、頻繁にたっぷりの余韻を持たせて、兎に角マッタリ進んで行く。
鈴木さんの正体は判りきっているのが有りきで進むし、最後はある程度の予想がつく訳で、そんな中で結構な中途半端さを感じる締まらなさでエンドロール…投げっぱなしが多過ぎた。
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