劇場公開日 2022年2月4日

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「『美しすぎる国』の美しさとは一体誰に向けてのものなのか」鈴木さん BONNAさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5『美しすぎる国』の美しさとは一体誰に向けてのものなのか

2022年5月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

国が強制的に家族を作って子を成す政策を進めたら、一体どうなるかという究極のテーマに挑んだ問題作。
運良く監督と主演の佃さんの舞台挨拶に参加できましたが、この作品、近未来日本(と言うか千葉)のいち町村が舞台のようです。経済的な問題で10日間で撮影敢行。
ここ最近の邦画の風当たりの強さをご存知の監督さんより、撮影中のみんなのフォローが出来たかどうかわからない……とオドオドしいコメントを出されていましたが。余裕のあるスケジュール=経済的に余裕があること、なのでクラファンで資金調達&兼プロデューサーをされつつ、役者さんやスタッフさんのフォロー……。

ろ、ロングラン公開になると良いですね(号泣)。

さて、肝心な内容ですが、一見して地味に見える映画ですがなかなかに世情が反映された面白い作品でした。
ちょっとあちらの国々にも似た世界のような。反政府の人間を捕まえたらお金をあげるよ、と言われて何も考えずに同調してしまう人々。
でもこれ、結構起こりうる可能性あるんですよね。面倒くさいのは嫌だし、除け者にされるのも嫌だから長いものに巻かれろ的な。
ある意味、イジメが生まれる根本の理由ですね。
それをこうして映画を通して客観的に見てしまうと、なんというか。背筋が一気に薄寒くなりました。

『美しすぎる国』の『美しすぎる』とは一体誰に向けての美しさなのか。
思いやりが欠如した人々を果たして美しい人と呼べるのか。

良い作品。
ロケ地である元ラブホ現グループホームも気になりました。なお、実在する場所のようです。

BONNA