トゥルーノースのレビュー・感想・評価
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北朝鮮ドキュメンタリーとしても“プリズンもの”としても出色の出来
北朝鮮の政治犯強制収容所に生きる家族を、ポリゴン粗めのアニメーションで描くと事前に知った時は、いくらなんでもチープ過ぎるのでは…と思っていた。
しかし実は、あえて粗いポリゴン作画にする事で陰惨さを軽減し、客観視して観やすくしたという監督の狙いとの事で納得。実際観ると、キャラクター全員にしっかりと血肉が通っていて、「本当に生きている」と感じられる。人形みたいなキャラばかり登場するCGアニメを作る連中は猛省すべし。
閉ざされた北朝鮮の闇を追った映画はジャンル問わず数あれど、本作はそれらの中でも出色の出来。いやもっと言えば、収容所・監獄を舞台にしたあまたの“プリズンもの”の中でも上位に入るかも。
ナチスドイツのような非人道的迫害が、現在でも行われているという実情。でもそれが公になる事は殆どない。まさに『真実の北=トゥルーノース』が詰まっている。
あと、最初ポスターアートの意味がよく分からなかったが、ちょっと見る角度を変えたら腑に落ちた。
驚異の“顔芸”
東京国際映画祭2020で鑑賞した。
童謡の「赤とんぼ」が流れるので、何故だろう?と思ったら、主人公の一家は「在日朝鮮人の帰還事業」で北朝鮮に渡ったのだという。
2ヶ月以上前なので、かなり忘れてしまったが、今でも鮮明に覚えているのは、キャラクターの“表情の豊かさ”である。
一見すると、一昔前のCGで、お世辞にも美しいとも、滑らかとも言えない。大げさな表情はしないし、身体の動きも少しぎこちない。
ディズニーなどの、目・口・眉毛などのパーツを大きく動かして、分かりやすい表情を作っていく、人形的なCGとは異なる。
にもかかわらず、微妙な表情や目線や身体の動きで、感情が伝わってくるのだ。怒り、悲しみ、傲慢、そして飢餓・・・。
観ている側の“日常感覚”が呼び覚まされるためかもしれない。同じ東アジア人であることは、表情を読み取る助けになっている。
また人物だけでなく、荒れた収容所のようすや、寒々した月夜など、“環境”の表現も真に迫っている。
アニメであることによって、表現は純化され、実写にありがちな作り物っぽい“嘘くささ”がない。
長編にもかかわらず、クオリティは一貫しており、妥協の跡がない。
映画の内容は、過酷な環境で生き抜く人々を描いた、リアルで恐ろしいストーリーである。“看板に偽りなし”だ。
そして、「ネタバレ厳禁」と言えるだろう。
ラストで「えっ?!」となることは、請け合いである。
北朝鮮
酷すぎる現実
東京国際映画祭2020で鑑賞。
邦題にすると、「北朝鮮の真実」になるかな?
取材して作ったセミドキュメンタリーテイストのアニメ。
泣けるし、憤る。
連帯責任の名の下、非のない家族ごと罰するため、相互監視により密告される社会であることが、支配する側としては上手く、される側としては恐怖以外の何ものでもない。
あえてポリゴンバリバリのCGアニメを選択したのだろう。
拷問、暴力、殺人、遺体放置などをアニメで描写するのに、実写はもちろん、CGをリアル系に振っても、ディズニー的なヌルっとツルツルしたかわいい系に振っても、セルアニメにしても、グロテスクでショッキングに感じるだろうからね。
見た目明らかに人間じゃない、としないと描写できない残虐シーンばかりだったもの。
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