トゥルーノースのレビュー・感想・評価
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北朝鮮が題材というだけでもう面白い。
父親が政治犯の疑いで逮捕され、強制収容所に入れられた家族がその中で生き抜いていく様子を描いた話。
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日本人の監督が作ったと知らずに、全編英語だし最初にTED Talkが出てくるから完全に海外のアニメだと思って見に行ったら、随所に日本への目配せがされていてこれは拉致問題とかあるけどあんまり北朝鮮とは関わりたくないな(少なくとも私はそう思ってた)と思ってる日本人には絶対刺さる。
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主人公のお父さんは50年代に在日朝鮮人帰還事業により日本から北朝鮮に戻った人だったり、強制収容所には日本から拉致されてきた人がいたり、そして中盤に流れる「赤とんぼ」よ。
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過酷な強制収容所にいる普遍的な家族の話を描いた先に、北朝鮮についての政治的なメッセージを入れる。政治的でかつエンタメになってるこういう映画って日本では珍しいからね。
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ちなみに私は「赤とんぼ」のとこも良かったけど、最初の太陽節の描写があれだけで北朝鮮!という感じですごい好きだった。豪華にガチガチに固められたあの国の中には、自分たちと同じような人が生きてて、そういう人達が犠牲になってできてる国なんだとあそこだけで表されてる。
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北の国から
秩序維持の為 人間性を否定する監獄国家からの逃避
揺るぎない封建支配体制と対峙する揺れ動く魂の道程と終着
脱北者の証言から構築された収容所の描写に疑いの余地がない 苛烈さに息を呑む
難しいテーマを芸術的に昇華させた手腕に感服します
見た目は同人ゲームだが…
監獄脱出ものの映画です。
法律でも条約でも守られていないので、かなり悲惨です。
ホロコーストでは抹殺が目的なので終わりが有りますが、労働と教化が目的なので逃げ場がありません。
ユダヤ人や黒人や冤罪の話は良くありますが、過去この子であったり人種が違うので、どこか他人事にできていました。
これは現在も続いていることだし、日本に極めて関連していることなので、とっても辛いです。
日本語が出てくると切なくなります。関係がある人はこんな思いで観ていたのだと、初めて解りました。
映像はポリゴンが残る3Dとカクカクした動きで、一昔前の同人アニメやゲームのようですが、話に引き込まれて全然気にならなくなります。
これが、実写だったりリアルな3Dで、皮膚のテクスチャーが映像から感じる匂いがわかっちゃうと、観てられなくなります。
わざとこうしているのであれば、大正解です。
自分にも何かできないかと思いましたが、攻め込む訳にも行かないのでもどかしいです。
偉い人にお辞儀をするところを見ると、日頃、威勢の良いことを言っている人たちの目指す社会はこれなんじゃないの、逆だろうと思います。
強制収容所で人としてどう生きていくのか
この映画の内容はとても重く、強制収容所での過酷な児童労働や看守によるレイプ、作業怠慢者の密告など人のエグい闇が存分に描かれている。
冒頭のTED TALKのシーンで言っているようにこれは『政治の話』ではない。
まさに生き地獄といえる理不尽で過酷な環境のなかで人が人としての尊厳をどう保っていくのか、
失われていく人間性をどう取り戻していくのか、という話だ。
またエンディングで劇中に登場した強制収容所の衛星写真が紹介されるが、それは監督からの『今も実際に強制収容所での過酷な労働は行われている。(共産主義がいい・悪いなどは別にして)あなたはこの事実を知って、どう生きていきますか?』というメッセージなのかと思う。
考えさせられました
始めは「日本に生まれて良かった」と思って観ていました。でも、ストーリーが進むにつれて、今も北朝鮮でこれだけの辛い状況があるのに何も出来ない(しない)自分に苛立ちやら、もどかしさやら。。国連って何してるですかね?この国を救うことは出来ないのでしょうか。。
アニメ化の意図
この重いテーマをアニメにする意図がよく分からなかったのだけど、あまり重くなりすぎずに多くの人が見やすくする意図があったのかもしれない。
北朝鮮の強制収容所の実態を実写で撮ったら、年齢制限がついたり、残酷なイメージがあって敬遠する人もいるだろう。
この映画の趣旨は、なるべく多くの人に見てもらって、その実態を知ってもらうことにあるはずで、その意味でアニメ化は成功しているといえるだろう。
実際にアニメとしての出来もいい。
人間はこうした愚かな行いを何千年も続けている。
そろそろ卒業してもいい頃だろう。
ひとりひとりが自分の問題として内省する必要があるのだ。
大きな映画館でも上映してほしい
映画のレビューを観て良さそうだったので、初めて小規模映画館で鑑賞しました。
クレジットでチケットを購入し、10分前に入場可能と書いてあってそのまま2番スクリーンの部屋へ行ったら係の人が誰もいなくて掃除してた人がいたのでチケットを見せて席に座りました。
そしたら感じの悪いおじさんがチケットをちらつかせながらこれをチェックしてもらったの!?と大声で近づいてきて、さっき掃除の人にチェックしてもらった事を伝えたら納得いかないような感じで席に座りました。
大規模映画館と違い常にチケットチェックの人がいるわけではないんだろうけど、チケットを購入してないのに入ったと思われて映画鑑賞前に嫌な思いをしました。
映画の内容は良くて所々号泣しましたが、おじさんの余計な一言で映画の良さが半減でした。
映画は本当に良かったので、大規模映画館でも上映される事を願います。
やはり実写で見てみたい
脚本、展開、そしてセリフが全て良かった。登場人物の人間図も凄くわかりやすくて、監督は長年この映画の為に入念な取材をしたのだな、と感心した。
こういったアニメーションを通すことで、ある一定の距離を取って観れる事が狙いという事だが、
個人的には実写で見てみたい。
実写だと直視できないと言われているが、ホロコースト系の映画観てると大体そんな感じだし、多分大丈夫。
あと、英語より朝鮮語がやはり良い。
もちろん、日本の監督がオール朝鮮語キャストで、しかも北朝鮮の収容所を再現なんて馬鹿高いコストがかかるだろうし、まあそれは無理な話だろう。
韓国の監督とかリメイクしたらどうなるのかなあ、なんて観てみたい。北朝鮮系の映画は作り慣れてるだろうから。
あと、思ったより残虐なシーンや政治的な要素は少なく、どちらかというと人間の性善説、性悪説を問うような感じの内容だった。昔観た『ブラッドダイヤモンド』もそんな感じだったっけな。
TED TALKS、脱北者で調べたら、何名か出てきたが、ある特定の人を書いたのではないのかな?
特殊な国の話?いえ、普遍的な
強制収容所の中は不潔でひもじくて暴力に満ち、人々の心もすさみ、虫けらのように死が訪れる。
見ながら怖くて怖くて涙が出てくる。
しかし、不思議なことに、強制労働を強いられる側からしたら、憎いのは「将軍様」ではなく収容所で好き勝手して直接暴力を振るう管理者たちだ。
もちろん、狂った独裁国家が今現在あって、そこで理不尽に搾取され苦しむ人たちがいることは目を背けてはならない。
映画を見ていて思うのは、むしろ恐ろしいのは、権力を笠に着て自分たちの欲を満たす者だということ。立場さえ得られれば権力に酔い暴力に躊躇がなくなる。その恐ろしさ。
地獄にいても、己の善を貫くことで周囲を変えるヨハンの母と妹のたたずまいが美しい(が、どちらも暴力にあうのが、無惨)
自由が一切無い悲惨な状況の中で、時々光る星が見つかるストーリー。理不尽な運命の中でも希望を捨てず生き抜くことを訴えているのかもしれない。
【家族の物語】
物語はフィクションだが、TEDカンファレンスに登壇して、北朝鮮の強制収容所の経験を語ると云うスタイルで、実在の人物をモデルに3Dアニメにしたのかと思わせられる。
TEDは、テクノロジー、エンターテイメント、デザインの頭文字の略で、世界中の著名人によるさまざまな講演会を主催・配信などしている非営利団体だ。
ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブスなどハイテクを牽引してきたビジネスリーダーから、グレタ・トゥーンベリなど環境活動家、日本の町工場の社長・伝統工芸家など幅広い人々のスピーチに触れることができるし、強制収容所ではないけれど、実在の脱北者の公演も配信されている。
作品は、監督の清水ハン英治さんの膨大な強制収容所からの生還者を含む脱北者とのインタビューをベースに構成させているのだが、日本からの帰還事業で北朝鮮に渡った家族が物語の中心で、「焼肉ドラゴン」も思い出した。
他にも日本人妻を想起させる登場人物もいて、拉致被害者のことも考えさせられる。
(以下ネタバレ含みます)
強制収容所内の出来事には、生き抜くための辛さや、或いは、醜さ・争いなども垣間見られるものの、絶望を乗り越えようと手を差し伸べあう人々の優しさや、若者の背中を押す強さ、管理する側にも善意の人が描かれていることなど人間性とは一体何なのだろうかと考えさせられるし、予想もしていなかったエンディングには心を締め付けられる。
フランクルの「夜と霧」のことも思い出した。
映画は、膨大な脱北者のインタビューを背景にしつつも、強制収容所の過酷さや体制の残酷さより、こうした中にあっても耐え抜こうとする人間の物語を描こうとしたのだと改めて思わせられる。
実写だと目を覆ってしまうような内容もアニメだから、冷静に観れると云う良さもあると思う。
「FUNANフナン」でも同様に感じた。
北朝鮮の瀬戸際外交や、核・ミサイル開発などのニュースに触れると、北朝鮮の人間が全て悪者のように感じられてステレオタイプになりがちだが、改めて体制と人々は区別して考えるべきだと思うし、体制転覆は外からは困難だとしても、脱北者を国際社会としてどのように受け入れるべきか、北朝鮮の友好国で新疆ウイグル族へのジェノサイドで非難されている中国にどのように国際社会は対応すべきか再考するなど必要なのだとも思う。
日本はリーダシップを取れるだろうか。
公開劇場は多くはないけれども、出来るだけ多くの人の目に触れたら良いと思う。
ステレオタイプにならずに考えて欲しいと思う。
重い
パッと見、あまり最先端ではないキャラで敬遠しがちで、内容も北朝鮮の強制収容場での話なので若い子は興味持たなそうだが、今時のYouTubeばかり見てる若い子に見てほしい内容。
多少なりともフィクションもあるだろうが、だいたい同じような事が今も起こってるのだろう。
かなり残酷で、人を人とも思わないので日本の刑務所でさえまだ全然よい場所なんだなあって思わされた。
残念すぎる故にポリゴンガタガタの人間は正解だと思う。
あちらの方々の非道なところは家族ごと巻き込むので逆らう事もできない。
この映画が少しでも北朝鮮を変えていく為のキッカケになればよいと思うが、現在も収容所は拡張されているようで悲しいですね。
自分が指導者なら労働者にご飯も与えると同時にやる気も与えて生産性を高めるのに何故、あんな使い捨てのようなやり方なのかなと疑問。
しかし、脱北者のメガネ、お前だったんかい!と思わず心で突っ込んでしまいました。
過酷な現状を世界に知らせる意味
ウイグル自治区や北朝鮮の強制収容所を当事者以外が批判しているのがあまり好きではない。中国憎し、北朝鮮憎しに利用されている感じがするから。でも中国や北朝鮮のやっていることに怒りが覚えるのも確か。この手の話題は居心地が悪くなる。
脱北者からの聞き取り調査から作られたこのアニメーション映画は、それでも観ておかなければという気持ちにさせる何かがあった。
実際に観たら収容所の生活は相当に酷かった。アニメだからまだソフトに見えていたけど。彼らがなぜ収容所生活を強いられたのかが実はハッキリしない。義理の息子が韓国のラジオ聞いたという理由だったおばさんがいたくらいなんだから、相当にひどい。で、収容所の色々なエピソードが積み重なって、さぁいよいよ脱出ということになるのだが、その展開になるほどと唸ってしまった。エスケイプものとしてかなりレベルの高い脚本だ。
それにしてもこの話が20年も経っていないことに驚く。いや、今も続いている話でもある。韓国の光州事件を扱った映画でも似たようなことを言っていたが、この現状を世界に知らさないといけない。こんな自分でも本当にそう思う。
今なお続く...
あまりのショッキングな内容に見終わった直後はなかなか気持ちの整理がつかなかった。昔話ではなく今もまだ続いているという恐ろしさ。しかも日本に無関係な話でもない。映画にしてくださった清水ハン栄治監督、インタビューに答えてくださった勇気ある人達、その思いが一人でも多くの人に届いて欲しいと思う。
私は「誰」になったのだろう?
希望という単語は、安易に用いるべきではないようです。それでも…。
生きることは、罪ですか?。
服にいっぱい勲章ぶら下げたおじさん達に、誰か問い合わせて!。
ヒトは、暮らしやすいように、クニをつくりました、みんなでルールをつくって、みんなでルールを守る。クニが最大数のヒトを、幸せにするはずでした。でも、現実は…。
既得権を守りたいおじさん達に守られた将軍様と、ポピュリズムの権化みたいなおじさんが、会談したぐらいで世界が変わると思っていた私こそ、浅はかだったのですが、何も変わらない世界と、変わることを希求する人の想いは、どうしたらいいの?。
私は「誰」になったのだろう?。私の希望は、誰に届くのだろう?。
何もできなくて、ごめんね。
あくまで物語を
「政治の話はしません、物語をお話します」
この言葉通り少年の視点から見た北朝鮮の強制収容所の話になっています。
虫のように死んでゴミのように捨てられる環境の中で少年は密告や物乞いをしてでも生きようとします。
そこまでしてやっと得られる生存権。
収容所の非常さと少年の生きる力強い姿。
その2つからくる感動が心をエグります。
あえて監督があそこまで不自然にデフォルメしたのも納得のエグさです。
以上、レビューせざるを得ない作品でした。
生きたからには
希望が持てなければ
明日を信じられなければ
周りの人とわかり合えなければ
自分を越えて、他者のために生きられねば。
決して幸せとは言えない。
食べて、寝て、排泄して、その繰り返しを味わうために生きているのではない。
喜び合い、悲しみ合い、助け合い、支え合い、合い、、、愛。
愛が生命に彩をもたらすのだ!
洒落ではない、所詮1人では、単なる生存者。
真に生きていきたいなら、他者を愛し、自己を愛し、この世の全てを愛する努力を続けていかねばならない。
日本で生活していても、資本主義の下では何でも損得で測られてしまう。
ただ差し伸べる手に、理由なんてなくていいじゃないか。
自分のために、人のために、社会のために、ために、ためにが過ぎる、、
もっとシンプルで、誠実で、正直でありたい。
そして最後に、この物語が今でも現実なのだとしたら、日本に生まれて当たり前に平和を享受させていただける境遇への深い感謝と共に、一刻も早い解放、解決を強く望みます。
尊厳と開眼
苦難の行軍と呼ばれる飢餓が始まるきっかけとなった水害のあった1995年、平壌で暮らしてた小学生の少年と母親及び妹が、ある日突然強制収容所に連行されて巻き起こる話。
カクカクポリゴンのアニメーションで、冒頭ほんの少しだけ朝鮮語はあるけれど、ほぼ全編英語のセリフに日本語字幕。
脱北した青年が、トークショーで当時を語る体で始まり、翻訳家をしていた父親がある日帰って来ず、訳も判らないまま強制収容所に送られる家族をみせていく。
テレビやネット等で脱北者が語る話をいくつも見たり聞いたりしたことはあったけれど、アニメでマイルドではあっても再現としてみせられと、やはりショッキング。
国の為、国民の為?これのどこが共産主義ですか?
腐敗した傍若無人な軍人と収容者の暮らしっぷりは、ほぼ知識無しで観たらにわかには信じられないし、衝撃的過ぎるんじゃないかと思われる程。
実際隣席のご婦人は何度かぼろ泣きしてたし。
機微の部分とかは少しキレイに書かれ過ぎている印象もあったし、拉致されてきた日本人が出てきたり、エピソードはどこまでリアルか判らないけど、とても良かったし知るべき観るべき作品と感じた。
特殊な世界だけど普遍さを感じる不気味
もしかして北朝鮮では今も恐ろしいことが起こっているのかも、、、という潜在的な危惧が衝撃を持って現実なのだという確信に変わるアニメ映画。吹替のように北朝鮮人が英語を喋っていることで、世界への発信という映画の使命感が体で感じられる。しかもそれはアウシュビッツ収容所とか、シベリア抑留とかと違って、地理的にも時代的にも決して遠いものではないのだ。
一方で、どんな状況にあっても人に対する思いやりと音楽を忘れない人の気高さにホッとさせられる。(何れにしても「愛の不時着」がいかに優れたファンタジーだったかを認識させてくれる。まあシリアスに比べるのは野暮である)
生殺与奪の権利を奪われてしまった主人公が、自分と家族が生き延びるために良かれと思ってとる悲しい選択、歪んでいく行為、、、おっと、これは人ごとではなく同じような構造の事件は多かれ少なかれこの国でも起きているのではないかと途中背筋が寒くなった。(蛇足ですが、保身のための余分な忖度とかのこと、です。6/7追:いわゆるパワハラや、いじめる側・いじめられる側が入れ替わるいじめ問題なども含め)
事実にインスパイアされたフィクションとしてのプロット、いいと思う。ラストがまたまたズキュン!である。
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