「主人公のセルヒオが探偵事務所の面接を受ける以前から先行して撮影はし...」83歳のやさしいスパイ collectibleさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公のセルヒオが探偵事務所の面接を受ける以前から先行して撮影はし...
主人公のセルヒオが探偵事務所の面接を受ける以前から先行して撮影はしていて「映画の撮影です」というのは施設にも入所者にも知れわたっている。【潜入調査をする目的でセルヒオが入所】する事は、映画を観ている人と製作スタッフしか知らないというのが外枠のドキュメンタリー。
入所してすぐのランチタイムで私のデザートあげるわとセルヒオに近づくベルタ。そのあと身の上話しをして妻が亡くなったのを知る→花占いをするシーンという仕込みかと疑うほどの流れ。日本だと好き・嫌い・好き・嫌いと恋の行方を占うアレなのだけれど、ここはチリ国なので、スキ..チョットスキ..キライというポジティブ版。花びらのラスト1枚に隣に座っていた親友の婆様が食い気味に「イケる!」とか言う。これがまるで女学生みたい。
そこにセルヒオはいないのだが、恋に落ちるのをまざまざと見せつけられては記録するしかなかったのだろう。ベルタは外出許可をとって二人で出掛けようとするのだけど、明るく可愛くなってる。髪型も最初モッサリしてたのに、髪をとかして留めてオシャレになってる。それでも花占いは当たらずで、セルヒオは死んだ妻がまだ私の心のココにもココにもいるとジェスチャーを交えてベルタに伝えるのだけれど。これもますます惚れてまうやろポイント。本当にいい男だ。
内偵する対象者のソニア・ペレスを探すも、似てる婆様4人いてわからんとか初日に報告したんだけど、全然違う顔しててはっきり言って似てない。これも妻一筋で生きてきたので他の女性が全てカボチャに見えるとかいうやつなのでは。タイトルに「83歳」と「スパイ」と入っていてコメディ的な要素を想像しちゃうけど、セルヒオが優秀過ぎてその部分では殆ど何もおこっていない。「はじめてのおつかい」で、そつなく買物して帰ってきたのを見せられた感覚に近い。任務遂行能力、コミニュケーションスキルが異様に高く、真面目さ、所作どれをとっても兎に角素晴らしかった。
虐待はないし、盗難は自分のものと他人のものな区別つかないような婆様のやった事で、調査結果はあって、ないようなものだった。
かわりに老人の孤独に焦点をあて、そこを映画の落とし所にしているようだった。依頼者に対して、直接母親に会いにくるべきなのではないかというセルヒオ。家族から大事にされ、会う人会う人皆から愛され、亡き妻のことを想い続けているから、そうすべきだという結論を導き出す。何が必要なことなのかわかる。
ロムロは複数いた応募者の中からよくセルヒオを選んだものだと思う。見る目あるわ。