息子の面影のレビュー・感想・評価
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監督は女性のようだが、息子を思う母親としての愛を描きたかったのだろ...
監督は女性のようだが、息子を思う母親としての愛を描きたかったのだろうが、それ以前の葛藤がものの見事に消えているので、息子を追いかける50歳前の初老の女性のロードムービーでしか無い。結局、何一つ救われるものはないが、それでよいのだろうか。まぁ、それが現実なのだから仕方ないが、それならば、きちんと実話に基づく、フィクションにしてもらいたかった。まさかの展開はあったが、まさかそこか!?って展開だった。もう一人の話を全てカットして、母親に重点をおけば、45分位の短編で充分と感じた。余計な逸話を入れ過ぎ。
メキシコの寒村からふたりの青年が旅立った。 向かった先は隣国米国。...
メキシコの寒村からふたりの青年が旅立った。
向かった先は隣国米国。
しかし、一向に音沙汰がないことから青年の母マグダレーナ(メルセデス・エルナンデス)は心配になってしまう。
ともに旅立った青年の母親とともに警察に行くと、最近2週間のうちに発見された身元不明死体の写真をみせられる。
その中には、ともに旅立った青年の特徴の額の白痣のある死体の写真があった。
マグダレーナは、矢も楯もたまらず、青年ふたりが消息を絶った国境の町へ単身赴くことにした・・・
といったところからはじまる物語で、特徴ある語り口で映画がすすんで行きます。
どのような特徴かというと、マグダレーナを追うだけでなく、脇の人物のエピソードがかなり長めに挿入されており、巻頭は白痣のある青年の母親の方が長く映し出されており、てっきりこちらが主人公かと思った次第。
マグダレーナが国境の町に向かってからも、米国から強制送還される青年の姿が延々と映し出され、「この人物は誰?」ということになります。
が、彼(ミゲルという名(ダビド・イジェスカス))が米国の入管を出、メキシコの入管へ到着、さらに国境の町へ出るまでをワンショットと撮っており、ここが映画前半の見どころでもあります。
米国から強制送還されたミゲルは数年ぶりに故郷の村に帰りつくのですが、生家は崩壊、村に住人は残っていない。
国境の町周辺では暴力は日常茶飯事、強奪殺人も頻出している。
こんな辺鄙な村でマグダレーナとミゲルが出逢うのですが、息子が乗ったバスは襲撃され、その生き残りの老人がこの近くにいるという。
老人は、湖沼の反対側に住んでおり、その襲撃の様を聞きに行くとマグダレーナは言うわけです。
本編の白眉は、その老人の語りに重ねてのバス襲撃事件。
老人はスペイン語は話せず、当地の方言しか話せない。
台詞は当地方言で、日本語字幕も出ません。
そこへ重ねられる悪行の様は、まさに「悪魔をみた」といっても過言ではないでしょう。
息子は死んだもの、と観念したマグダレーナでしたが・・・・
となればある種のハッピーエンドを予想するところですが、そうはいかない。
もうひとつ、恐ろしい事件が起き、ミゲルが死んでしまう。
この終盤も衝撃です。
引き取り手のいないミゲルの遺体をマグダレーナが引き取るところで映画は終わるのですが、とにかくこれほどまでに暴力に満ち溢れた世界が(戦争でもないというのに)あるということがいちばんの衝撃です。
いや、ウクライナのみならず、世界は戦争状態なのかもしれません。
そう思わずにはいられない衝撃作でした。
私が母親だったら?!
メキシコの映画ということで飛びついたが、み終わって、大きな衝撃を受けて
しまった。不法移民の米国侵入問題をよそに、母親マグダレーナ(メキシコの俳優メルセデス・エルナンデス)の心理状態を察すると、気分が重くなった。この映画で初めのへんで息子、リゴの行方がわからなくなってから、最後の最後のシーンの母親の険しい顔つきのところまで、母親の心の中を描き出し、結論は我々の判断に任せるという形をとっていると思う。
1)不法侵入して戻されたーミゲルのケース
2)国境まで行かないうちに殺されたーリゴの友達や目医者の息子のケース
3)国境にいかず戻ったー母親、マグダレーナのケース
上記の3点を何らかの形で国境を越えて米国入国を希望する人が一時宿泊する場所で母親があった女性に言われたが、
そこに、4点目、ギャング(金品巻き上げたり、レイプしたり、虐殺したりしたりする)の若者リクルートの餌食になった息子。『自分の道を探したい』と言って母の元を去った息子だが。
4点目は闇の動きで、バス会社も営利追及が目的なので、公にしないが、『知る人ぞ知る』なので、中南米からビザなしで米国侵入存在をより、不可解で、闇に葬られている。それに、バスの運転手とギャングも営利関係でつながっているのかも??
現在、米国はバイデン政権なので、トランプ政権と違って、ビザがあってもなくても。米国入国しやすくなったと人々は思っているらしいと聞いた。だから、以前はメキシコ、グアテマラ、エクワドル、などの国から、米国入国したが、現在はブラジルや南米アメリカ以外の国から、米国に入国したく国境でで待ち構えていると。ウクライナの男性が、メキシコ、アカプルコに飛行機で到着して、その後無事に米国入国を果たしたという話をどこかで読んだ記憶がある。 以前は『キャラバン』と言って、主に地元のギャングにリクルートされたくないから、身の危険を考え、親が子供たちのため大金をコヨーテに払って、米国に送ったり、列を作って米国入国の機会を待っている記事を読んだことがある。 それに、この映画でもわかるように、貧困家庭でなくても(目医者の息子、土地と家を持っているマグダレーナの息子)希望や夢や一攫千金を狙って、国境を越えたい人もいるだろう。また、家族に会いたくて行く人もいるだろう。
この映画で、法律、社会、外交問題を論じる気になれない。母親の気持ちに寄り添うことも苦痛になって、もし、私がこの母親ならアリゾナに行こうとしてギャングになった息子、リゴとの関係をピッタリ切って、死んだものとみなすとも言い切れない。
しかし、この結末が、グアナフアトのサン・フェリーぺで暮らそうとミゲルに話すところや、生き残った老人、アルバート・マテオとあってから、『あなたのために帰ってきた』とミゲルのところに戻ってきたシーンを考えると、もう、息子、リゴを完全に諦めていたと思う。それに、生き残った老人の言葉『悪魔にとられた』という言葉も、母親マグダレーナにとってみると、息子リゴは悪魔に取られたと諦めたと思う。しかし、息子が悪魔だとは。
オーカンポでミゲルを息子として扱い、自分の息子がミゲルで、死んだが、、、でも、まだやりきれない複雑な怒りが、ギャングになった前の息子リゴにあるように思われる。
蛇足、
撮影場所はグアナフアト州であると。この映画はそこの四季の移り変わりを待ってとっていると。四季が違うことで、地域感を出していると。あと、主なクルーでは一人だけが男性で、あとは女性らしい。
ミゲル(メキシコの俳優、ダビ・イジェスカス)とマグダレーナ(メキシコの俳優メルセデス・エルナンデス)が俳優のみらしい。後の人々は素人を訓練したらしい。
衝撃的で悲しい
BGMがほぼないだけでなく、字幕などの説明も全くなく、フイルムを繋げ合わせているだけみたいにも思える映像。なのでいつのことなのかも明確ではない。場所はメキシコで、多くの10代の若者や子供がアメリカに入って稼ぎ家族を助けることを夢見ている。ただ、不法入国者に対してアメリカも厳しい。
まだ中学生くらいの息子がある日友達とアメリカに発って行ったが、今からバスに乗ると電話があって以降2ヶ月も連絡がない。一緒に行った友達の母親と共に捜査を依頼すると、友達の方は殺害された写真が見つかったが自分の息子は結局行方不明で、一人捜査に向かう。国境に行けば移民の受け入れ先に行け、そこに行けばあそこに誰がいる、その人に会えばまた何処を訪ねろ、と、途中、途中で眼科医など色んな人に会って、ロードムービーというには厳しいが息子をたずねて三千里という感じ。
一方で国境を超えてアメリカで働いていた青年が国外退去になり、5年ぶりに母の住む実家に戻る。公共交通機関はなくヒッチハイクしか手段がない場所で、自分が不在の間にすっかり治安が悪化し物騒になっていた。荒れ野を歩いている時に主人公の女性を見つけ、声をかける。彼女に自分の母親の面影を感じたのか、親切にも家に招く。2人で自宅に着くと母親はおらず、そこには襲われた様子があった。
悲嘆にくれる彼に、自分の街に来るように言う主人公。2人の間に親子のような信頼が生まれていた時、自動車が。2人は藪の中に隠れるが、逃げきれないと判断した青年が投降した途端に射殺される。逃走した主人公も襲撃団の一人に捕まるが、それは紛れもなく息子だった。
実は国境に向かうバスが襲われ乗客が殺される中、そこで友達を殺すことによって息子は生き延び、襲撃団に捕まって一員となったのだった。
帰宅したら友達の母親に捜査の結果を聞かれ、見つからなかったと言えば慰れられるだろう。息子が生きているのは希望になるのか、絶望なのか。
また、貧困からくるメキシコの治安の悪さが怖過ぎる。何とか彼らに平和が来てほしい。
2022年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️⭐️✨
なんとも悲劇的で、ショッキングなラストでした。
中南米はカトリックの国が多く、皆んな信心深いという印象なんですが、何とも後味の悪い、縁起の悪さを感じさせる作品でした。
このラストの顛末は、正に"悪魔に魂を売り渡した"を地で行くようで…もうどんなホラー映画よりもそら恐ろしく、寒々しいとしか形容が出来ない、救いようのない最後でした。
『息子の面影』という邦題…何ともアンニュイです(笑)
そして、国境の治安の悪さや、ギャング(=麻薬マフィアか?)が蔓延るその恐ろしさがよく伝わって来るストーリーでした。冗談では笑えないぐらいの悲しい展開…ミゲル君が可哀想過ぎる…。
オカンポというのが、どういった地方の土地なのかは分かりませんが(現地の言葉も残る、かなり不便な場所でした)、もしかしたら麻薬地帯なのかも知れませんね…ギャングが通行を規制していたりするぐらいですから…(ニセパトカーも映ってました)。優しいミゲルも、土地の人間だと暗闇の中でギャングに命乞いしたところで、そりゃ、撃ち殺されてしまいます…怖い国です。
個人的な話ですが、昔、南米のとある国で生活していた時、私も夜中の長距離バスに乗っていて、途中で降ろされた経験があります…。警察の検問だったんですが、その国の警察は軍警察なので、迷彩服を着用して、まるでゴルゴ13のような長身のライフル銃を携帯してたりします。そして、ニセ警官も多く、金品を奪われたり、運が悪ければ殺されることも…。そして、本物の警官といっても、中には見た目が20歳にも満たない容姿の者もいるので、それが逆に怖いんですよね。ほんとあの時は、一瞬でしたが、覚悟を決めました。バッグパッカーなんかで旅行を計画している方は、その国の治安情報とかを外務省のHPで事前に調べておくことをオススメします。邦人はお金を持っていると思われているので、襲撃されやすいです。
横道に逸れましたが、アメリカとメキシコの国境を舞台にした映像作品は、米国側だとハードなアクションものが多いとの印象ですが、メキシコ側から描くと貧困だの治安だのと、より現実味が増してリアルな世界が描かれていました。
例えば…
息子を探す母親が、バス・ステーションで受付係の女性に、その消息情報を得ようとあれこれ聞く場面があります。そっけなくあしらわれた後、トイレの中で「誰が聞いているかわからないから、人がいるところでは、あんなことを聞かないで」とこっそり窘(たしな)められます。マフィアやギャング関係の人間にでももし聞かれたら、自分の身までが、もちろん危ういからです。
これって、危険な事が多い中南米あるあるやなと思いました(現地語しか話せない老人は、彼女の息子は見なかったと答えたが、本当にそうだったのか?「触らぬ神に祟りなし」です…)。
上映館が少ないのが残念ですが、気になる方は、とりあえず『トップガン マーヴェリック』は後回しにして、こちらの作品からどうぞ!笑
オススメです!笑
*田舎へと場面が移り変わる中、昼間の荒涼とした土地の場面と、一転夜中になると、寒々しく、物音ひとつしない、一点の明かりも無い場面の対比が、その凍りついたラストへの絶妙な演出になっていて良かったです。
メキシコ辺境の地から 自分の人生を見つけにアメリカへ向かった 未成...
メキシコ辺境の地から
自分の人生を見つけにアメリカへ向かった
未成年の息子が消息不明に
2ヶ月後母は息子を探し始めた
この作品の予告編を観て
何が起こったのか?どうなったのか?
結末が知りたかった
荒涼とした風景に
雨や湖
水が心に沁み入るような美しい映像
出会いや苦悩を描くロードムービーは
メキシコの現況を世に知らしめる
衝撃的な作品でした
この10年メキシコ国境付近では
10万人が行方不明になっているそうです
突然2…300の遺体が見つかることも
その場に簡易ラボが出来
家族を探す人々がそこに集まる
助けを求めた相手が当事者の場合もある
誰に助けを求め信用したらよいのか…
国境付近では組織から抜けられず
犠牲者から加害者になってしまう
この作品は
メキシコ国境付近での現実を
母親の視点から描かいた作品です
辛くとても怖かった
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