「ある意味、ハッピーエンドでは?」息子の面影 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
ある意味、ハッピーエンドでは?
被写体を、ほぼ、主要な二人だけに絞り込んだ、ドキュメンタリーのような映像からは、ただならぬ臨場感と閉塞感が感じられて、息苦しくなる。その一方で、美しく撮影された自然の描写からは、寓話的な要素を感じ取ることもできる。
特に、理解のできない言葉で語られるバスの襲撃シーンと悪魔の描写は、残酷でありながらも幻想的な美しさがあり、思わず観いってしまった。
語り口は淡々としているが、それだけに、被害者と加害者が入れ替わるラストの展開は衝撃的である。ただ、観客としては後味の悪いバッドエンドに思えるが、母親としてはどうなのだろうとも考えさせられた。
どんな苦難もいとわず、真実を求め、息子の無事を信じ続けた母親にとっては、たとえ悪魔に姿を変えていようとも、息子が生きてさえいれば、「良かった」と思えるのではないだろうか?
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