劇場公開日 2021年11月5日

「その意気やよし。ただ…」エターナルズ キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0その意気やよし。ただ…

2021年11月7日
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正直、世界屈指のメジャーレーベルがこれだけ「多様性重視」にハンドルを切るとは思っていなかった分、その覚悟たるや凄まじさすら感じてしまう。

考えてみれば、クロエ・ジャオを監督に迎えたこと自体が「そういうこと」だと気付く訳だけど。

メインキャストから白人男性の要素を可能な限り排除して、人種や肌の色どころか、LGBTQやハンディキャップを持つ人々にまで。
ただ、10名に及ぶキャラクター全員にその視点を届かせるのはやはり難しいし、今作も結果としてずっと設定を説明されてる気分だった。

キャラクター・設定・思想までいろいろ盛り込み過ぎた結果、おそらく今後しばらく続く物語の導入部としては、ゴチャゴチャした印象が強く残ってしまった。

あと、話がすんなり飲み込みにくいのは、彼らの葛藤に関して「これ、普遍的な正解なんて…無いよね?」ってことも大きい。
だってそもそもエターナルズは地球の人ではないんだから。もちろん我々地球人としてはご厚意で守って頂いて、ありがたい限りなんですけど。

また、アベンジャーズが直接的な攻撃力や破壊力の高さで戦ったのに対して、今回のキャラクターでは超能力を駆使しての戦いが中心なのも、結局その力が(どんなことがどの程度までできるのか)あまり明確でない分、「他に方法があるのでは?」というシーンも多いし、かつて『フォース』がそうなってしまった様に、今後「なんでもアリ」になってしまわないかという危惧もある。

スケールの大きさはアベンジャーズを遥かに凌駕するし、自然光の中で始まる壮大な「ゴワァァァァ!」「ズオァァァ…」は見応えがあるので、スクリーンで浴びる様に堪能するのがオススメ。

58

キレンジャー