「やっぱりカンフーは最高!」シャン・チー テン・リングスの伝説 デッカー丼さんの映画レビュー(感想・評価)
やっぱりカンフーは最高!
アジア人をメインにするのは興収的に割と挑戦的だったと思いますがかなりよくまとめられていたと思います。プロットとしては輪をテーマに、家族の輪、人の一生で成し遂げること、輪廻(おそらく母が龍)、精神の輪などが描かれてました。
中国と言ったらやはりジャンル映画としてはカンフー!なのでカンフーアクションがほとんどです。ベテランのトニーレオンがリードしながら若手にバトンタッチして行く感じです。このカンフーアクションが今までのマーベル作品の中でも群を抜いて素晴らしい。とにかくスピーディでパワフル、そして偽りなくリアル。
ノーランも言ってましたがリアルってのは大事ですよね。
割と映画観てる人はこれCGだなってのが分かるようになってきてると思うのですが、カンフーアクションはまやかしが効かないのでかなり大変だと思います。
まあとはいえCGも割とあるのですが神話のクリーチャー達を出すのはちょっとやりすぎかなと思ってました(龍を出すためには仕方ないですが…)。
ストーリーを追った感想です。
バークレー卒なのにサンフランシスコで駐車係をやらされてる描写が良いですね。アメリカだけでなく世界的に、良い大学を出ても低所得の仕事しかない事がよく描かれます。高級車を運転しようとするオークワフィナがNASCARの運転手並よと言いますがNASCARとはアメリカで人気の自動車レースの事です。
バスのシーン。サンフランシスコは坂が多くて有名ですが上手く戦闘シーンにいかせてると思いました。長いバスをぶった切って乗客を助けるのはMIBの電車のシーンに似てましたね。腕先が鋭利な敵のキャラは燃えよドラゴンのラスボスを彷彿とさせました。
飛行機のシーン。シリアスな過去の話をしてる時にビーフか野菜か聞かれます。ここは少し冗長な気はしました。
マカオのシーン。違法闘技場のアイディアはとても良かったですね。ドクター・ストレンジの仲間ワンが登場したのも同じアジア勢として良かった。飛行機内でシャンチーがアメリカネームをショーンにしていたことが安直だという会話の後、闘技場の司会者がジョンジョンという自己紹介をしますがあれは笑うところです。ビル側面の戦いもスリリングで良い。香港は竹で足場を組むことが基本なのでよく活用できてました。電光掲示板を背に自分を殺人マシーンにしたトレーナー(最後までこれが誰なのかは特に描かれませんでした)と戦うシーンは007のスペクターっぽかったですね。
トニーレオンに家に連れて行かれてから母が生きてる説の説明、からの過去のシャンチーの記憶。この辺りまで少し個人的にはだれてしまった印象です。
マンダリンが再び出てきます。アイアンマン2以来です。マンダリンチキンとトニーレオンが言いますがアメリカンチャイニーズで有名なファーストフード店パンダエクスプレスで売っているチキンの事です。オレンジチキンともいいます。
マンダリンが演じて好評だというマクベス、リア王はいずれも説明不要なシェイクスピア作の悲劇です。いずれも君主の話です。首がないモフモフの生き物が出てきます。おそらくグッズ用でしょう。
ターローの村へ行きます。竹林が押し寄せなんとか間一髪で到達します。オークワフィナの運転スキルが活かされます。
ターローの村に受け入れられます。オークワフィナは特に人生でやりたい事がありませんでしたが(フェアウェルに似てましたね)狙いを定めてやったことはないだろうという事で弓矢を始めます。一方シャンチーは父を殺す事を誓います。
トニーレオンが村を攻めてきます。トニーレオンがテンリングスを使って魔界の門を叩きます。クトゥルフ神話の化け物みたいなコウモリとタコが混ざったような生き物が新たな敵になります。ただの武器では倒せないという点でこれは欲望を表しているのかなと思いました(引っ付いて離れない、何度も魂を吸いにくる)。一方で龍は中国では神聖な生き物ですから、涅槃、悟りを開いた境地を表しているのでしょう。
海に沈んだシャンチーを龍が救います。これはおそらく母でしょう。
トニーレオンが化け物に魂を抜かれます。シャンチーの今から過去までがフラッシュバックし、あとは任せた的な微笑みを残して死にます。テンリングスがシャンチーに委ねられます。ここは鳥肌シーンでした。
龍が彼らを助けますがクトゥルフ神話の化け物に魂を抜かれそうになります。ここでオークワフィナが見事喉を射抜きます。これがないとオークワフィナが来た意味ある?となってしまいますからね。見事戦いに勝ちましたがたくさんの犠牲がありました。これはアジアンヘイトなどで犠牲になった人々の事を表しているかもしれません。考えすぎかもしれません。
冒頭に戻りバーで幼馴染と飲んでいるとワンから呼び出され今後の作品に重要な役割を示す事を示唆されます。そして冒頭同様休まずにカラオケに行き、お馴染みのイーグルスの名曲ホテルカリフォルニアを歌って終わります。締めはとてもよかったですね。
総評として続編や他の作品とのクロスオーバーが非常に楽しみです。マーベル好きでなくても楽しめますので是非ご覧ください。