「MARVEL製作の“香港映画”。後半にもちゃんと元ネタがある。」シャン・チー テン・リングスの伝説 コパさんの映画レビュー(感想・評価)
MARVEL製作の“香港映画”。後半にもちゃんと元ネタがある。
MCU作品にはいくつかの方程式がある。その最重要の一つが、作品毎に異なった過去の特定のジャンル映画や名作をベースにした作品造りである。今作では90年代以降の香港娯楽映画の大盤振る舞いだ。どうもわかっていない人が多そうなので、そのへんを簡単に。
オープニングはウォン・カーウァイやチェン・カイコーらの武侠映画風。自然の中でのワイヤーアクション、流れるような攻防といった様式美の再現。戦うのが男女で女の方が上手、というのもお約束。
前半と中盤の見せ場であるバスやビル外壁での格闘は、言うまでもないだろうがジャッキーやジェット・リーらに代表される香港映画の王道、カンフーアクション。少林寺もののようなお約束の修行シーンも忘れない。
そして後半は完全にツイ・ハークやチャウ・シンチーらの豪華絢爛な伝奇ファンタジー映画に変身する。『西遊記』などを題材にしたこのジャンルの作品群は(日本では公開規模が毎回極めて小さいため)おそらく一般の日本人客にはほとんど馴染みが無いだろうが、世界的にはとんでもない興収を叩き出すドル箱路線だ。今や世界一の映画市場である中国でのヒットを狙うためにも欠かせない。龍や巨大なモンスターが出てきて大バトルでなんだこりゃ、というのは引用元がそういう映画なんだもん、しょうがないじゃん(笑)!!
長くなり過ぎるので割愛するが監督の人選やテーマなど、今作もしっかりとMCUの方程式で作られている。「なんかマーベルっぽくない」とかいうのはハッキリ言って物を知らないだけですよ!
ヒーロー映画の主演は無名の若手、というのはこれもスーパーマンから続く一つの方程式だが、シム・リウがモサッとしてどーにも華がないのがちと残念。次回登場するときはもうちょっと垢抜けてることを祈る!