「カンフーとファンタジー風味をプラス」シャン・チー テン・リングスの伝説 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
カンフーとファンタジー風味をプラス
マーベルの新作ということで、かなり期待ていた本作。当然のことながら公開初日に鑑賞してきました。率直な感想としては、おもしろかったのですが、期待していたほどではなかったというか、期待していたものとは違ったかなという印象です。
原作の有無は知らないのでなんともいえませんが、とにかく全編にわたってこれまでのマーベルシリーズとは大きく異なるテイストで描かれています。感覚的に言えば、カンフーとファンタジーの融合といった感じです。
ストーリーは、絶大な力を得られる腕輪「テン・リングス」を手に入れた父から、後継者として育てられたシャン・チーが、父の命に背いて一度は逃げ出すものの、父の暴走の秘密を知り、それを阻止するために父とその背後にいる者と戦うというもの。伏線回収的な要素がほぼないのは寂しいですが、比較的シンプルなストーリーでわかりやすく、新ヒーロー誕生話としては悪くないと思います。
序盤は、新ヒーロー爆誕を思わせる、アメリカンなダイナミックバトルでテンションが上がります。連結バス内のカンフーを駆使したトリッキーな動き、ビルの足場を縦横無尽に飛び回る立体的なバトルなど、キレッキレのアクションにメチャメチャ期待値が上がりました。
しかし、その後、舞台がテン・リングス本部に移ってからは、シャン・チーやシャーリンの背景がしだいに明らかになってくるとはいえ、ややテンポが落ちてちょっと退屈でした。クライマックスも、映像的には迫力もスピード感もあるのですが、ファンタジー色が強すぎて、コレジャナイ感が拭えなかったです。
また、キャストに今ひとつ魅力がないのも残念でした。シャン・チー役のシム・リウは、ストーリー進行に合わせてしだいにかっこよく見えるかと思ったのですが、最後まで印象は変わりませんでした。ケイティ役のオークワフィナも、シャーリン役のメンガー・チャンも、いい味を出しているとは思うのですが、もう少し華のある女優さんのほうがよかったような気がします。今後の作品で、このキャスティングで間違いなかったと思わせてくれることを期待します。
というわけで、これまでのマーベル作品とは異なるテイストの本作ですが、エンドロール後のオマケはいつもどおりありますので、最後まで席を立たないようにご注意ください。