パリの調香師 しあわせの香りを探してのレビュー・感想・評価
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タバコのニオイが気になりますか?ニオイの問題ではない。
工場の煙のニオイが気になりますか?だからニオイの問題ではない。
フランスの映画。
偏屈な調香師と娘思いパパ運転手の取り合わせがよい。幸せを探す彼らは真剣。
クスっとした笑い所を自然にいれており、無駄なシーンの少ない手堅い作品。
強いパンチこそ無いが見る価値あり。
良い点
・題材
・ED曲
悪い点
・カメラワークが撮ってる感が所々
フランスの香りが感じられ、後味のよい映画
香水が好きなので、パリ、香水、調香師の仕事など、魅力的なテーマ設定に惹かれて鑑賞しました。
ちょい倍賞美津子似の主人公と、若い頃のカルロス・ゴーンのような運転手。
2人の自然な演技で無理なく見られました。
何より、映画で匂いは伝えられないはずなのに、何かが匂いたってくるような、鼻の奥を刺激されるような不思議な感覚がしました。
人間も動物ですから、嗅覚を使って生活してきたはずなのですが、自分で確かめなくても安全な食べ物が手に入り、天気の予測は天気予報に任せ、嗅ぐという行為をしなくなって久しい。
もっと自分の五感や嗅覚を意識して生活してみようと思いました。
2人が恋愛関係にならず、友情と尊敬で結ばれたところがよかったです。
ディオール
自販機は正しく使いましょう☝️
旅をしないロードムービー
調香師のところに派遣された運転手の男。車の運転以外のことを頼まれながらも、特殊なこだわりを持っている調香師と交流していく物語。
周りとの関係がうまく行っていない調香師と、別れて暮らす娘との関係がうまく行っていない運転手。2人で過ごす時間が長くなるにつれお互いが影響をうけあい変わっていくという流れ。話の内容は全然違うが、「グリーンブック」を思い出した。
一緒に過ごす時間が長くなって、お互いのことを知っていって、トラブルが起きて…。そう、実際旅をしているわけではないのだがロードムービーっぽいのだ。また香水を作りたいと思う調香師と、職をキチンとして子どもとの関係を改善しようとする男、2人の再生ストーリーとして面白かった。
ただし、マネージャーとの関係、持ち込んだ香水の結果あたりはもう少しはっきりさせてほしかった気持ちはある。
笑顔で映画館を後にできます。
この作品はランチ前、または夕食前に、それか嫌なことがあった1日の締めくくりに見ていただきたいですね。きっと笑顔になってご飯食べられますし、笑顔できるはずです。
ホンワカしますよ。
悪い人が出てこないっていいですね。
同日、この作品の前にハードな作品を鑑賞したたからかもしれませんけど(笑)
全体的に楽天的展開なので安心して観られるんですね。
人間関係の描写も家庭環境の描写もシビアではないです。あっても良さそうですが。
本作はあまり掘り下げません。
それはきっとアンヌとギョームという2つの香りのエッセンスを明確にして、その二つの香りがどう出会って、どのような香りを放つ関係になっていくのか?を集中して描きたかったのかな?と思います。ラスト、ギョームが生徒たちに説明している内容はまさにアンヌとギョームのお話です。
出会いを大切に、自身を知り認め、相手を理解し認め、その上で奏でるハーモニー。
人間関係の成り立ちを香りにうまく置き換え、おしゃれな物語に昇華させたなぁと思います。
そんな良い香りを発する二人が紡いだ結果・・・ラストですよね。
絵に描いたようなラストですが・・・大好きですよ、僕は!
色々と「もうちょっと」と思う部分はありましたが、それをいうのは野暮かなぁ?って。
こんなにハッピーになったんだから。
ハッピーになりたければ本作を。良作です。
五感すべてで会話しよう
若い頃どーにも苦手だった、おフレンチな映画達。歳を重ねると角が取れるのか、視る角度が増えるのか、平気というか好ましくなっていたりする。映画達は相も変わらず、おフレンチの香りバリバリなのに面白いものだ。
そんな、おフレンチの芳香ムンムンなバディものが今作品。とにかく面倒くさい女性と何かとしょんぼりな男性の、無くした何かを見つけるロードムービー。ふわっと広げてスッと消えるが余韻の長い残り香。そんな映画でございました。きっと女性は彼の素の香りが好ましく、男性は彼女の怯えた瞳がほっとけなかったんだろうなぁ。そういう奇跡の出会い、良いと思います。
本来ならラストシークエンスこそが本番なんだろうけれど、素晴らしい肩透かしでのエンドロール、お見事でした!
余談:彼とコリン・ファレルがずーっと被って見えてたのだけれど、ラストに突然メル・ギブソンになったから、ビックリして笑っちゃった(笑)
香りと脳の繋がり
執着してしまう香りがある。
春先の沈丁花の香りが待ち遠しいとか、トワイニングのバニラティーとグレープフルーツとジュニパーメインのバスオイルは常にストックしておきたいとか、レモングラスは生の香りが好き、などなど。
鼻の奥の方でたまらなく欲していて、芯からリラックス出来るのだ。
アンヌが懐かしくなった手洗い場の石鹸の香りも同じだった。
香りを擦り込む様に泡立て手を洗い、香りを吸い込む。見てる私の目にも幼い彼女が浮かび、あゝ香りが鼻の奥の方かすめてるそう思ったと同時に私の何かがパカっと開いてしまった。
深いリラックスと過去の記憶と過去の空気が、頭からぶわーって放たれる。
店員の香水、草刈りの草の香り、この作品にはプルースト効果を思わせるシーンがたびたび出てくるが、そのたびにスイッチの入った私の脳はアンヌやギヨームと記憶を共有し、見えない思いに涙を流してしまった。
まったく接点のないアンヌとギヨームの歩調が次第に合ってくる。
共通点は、惜しげもなく脳を解放し香りを受け止められる所と感じる。
久しぶりに、はじめてピンと来た香水を引っ張り出してワンプッシュ。1990年代前半の時代の空気がぶわーっと溢れ出して来た。
普段思い出さない記憶と空気を引き出す香り達、香りと脳の繋がりを体感する素敵な作品だった。
鼻は利くが、ほかはいろいろ利かない女性 うだつのあがらない男性 ふ...
優しい香り
この映画は、ほとんど男女二人しか出ず、偏屈なアンヌが、運転手として雇ったギョームに次第に心を開いていくのだが、二人は、フランス映画にそぐわず、恋人にはならない。
ベッタリしていない、ほんのり香りが漂っているぐらいの関係性って所が、香りをテーマにしているからなのかなと、勝手に邪推。でもそこが良い。
劇中、週一で娘と会うギョームが、今度の娘の誕生日は何をしようと、アンヌに相談した時、いつもはどうしてるの? 相手の望む通りにしてるのね。じゃ、今度は、あなたがしたい事を一緒にすればいいじゃないと助言。
そして、助言を受け入れ、ギョームと娘との海辺のシーンは二人がとても楽しそうだし、幸福そうで良いシーンだった。
このシーンは、今後のギョームのあり方の伏線になっていたような気がする。
鼻が利くと言う言葉は、わずかな兆候から
役に立つ事を見つけ出す能力だ、という。
正にその通り、アンヌは、最終的にギョームの潜在的な鼻の能力を見出し、アンヌは、再び調香師として羽ばたこうとしていた。
中年男女のある意味、再生の物語だと思った。
そして、映画だから、流石に香りは漂って来ないけれど、あたたかな優しい香りが漂ってくるような映画だった。
ギヨームの世界観がどんどん深まっていく
洋画の邦題は大抵センスが悪い。本作品の邦題はまさにその典型である。原題の「Les Parfums」(「香水」)に対して「パリの調香師 しあわせの香りを探して」は、いくらなんでもやり過ぎだ。そのまま「香水」でよかったではないか。本作品の登場人物は「しあわせの香り」など探していない。
嗅覚は健康を守るためになくてはならないものである。猫や犬を見ていると、初めて与える餌は必ず臭いを嗅ぐ。猫の場合はその前に前足で恐る恐る触る。餌かどうかよりも危険がないかをまず確かめるのだ。自分に危害が及ばないことをまず確かめて、それからその餌が食べられるものかどうかを臭いを嗅いで確かめる。人間は猫犬よりもはるかに嗅覚が劣るとはいえ、嫌な臭いのする物を食べたくないと感じるところは同じである。嗅覚は身を守るための原始的な感覚のひとつだと考えていいと思う。
多くの人は自分に自信がないのか、自分の感覚よりも他人からの情報を優先する人が多い。食べ物で言えば、まだ食べられるかどうかを自分で臭いを嗅いだり味見したりする前に、容器の消費期限や賞味期限を見る。食品の期限などは厚生省の役人がテキトーに決めた便宜的なものでしかないことを知らないのだろうか。信じるべきは自分の嗅覚であり、自分の味覚であり、自分の勘だ。自分が大丈夫だと思ったらその食品は食べられるのだ。期限などクソくらえなのである。
香水と言えば、銀座でランチを食べているときに、急に物凄い濃い匂いがして思わず振り返ったことがある。イケメン風の男性が数人、入店したところだった。匂いというよりも臭いという漢字が相応しく、クサイと言ってもいいかもしれない臭いだった。これでは食事ができない。仲良くしていた店員に「あれ何?」と聞くと、困った顔で「最近できたアパレルの店の方です」と教えてくれた。昨年末に瑛人という人が歌った歌に出てくる店だ。なるほど、こんなにドギツい臭いの香水もあるのだなと思った。
臭いと言えば、銀座のママたちにどんな匂いの男が好きかというアンケートを取った記事を見たことがある。結果は、銀座のママたちが一番好きなのは無臭の男だった。無臭の男とは、つまり若い男だ。新陳代謝が盛んで免疫力の強い若い男は雑菌を殺菌してしまうから、雑菌が増殖して発する臭いがしない。香水で誤魔化す男よりも健康な無臭の男を好む女性は銀座のママたちだけではないと思う。
なんだか香水について否定的な話になってしまったが、日本では香水は人口に膾炙していないということだ。日本の飲食店に香水をつけている店員はいないし、寿司屋では香水をつけた客は予約客であっても断られることがある。しかし日本人も肉食が多くなってきたから、今後は香水文化が広がるのかもしれない。
さて本作品は香水文化全盛のフランスが舞台である。調香師という職業が尊敬されるほど匂いに敏感、いや匂いにうるさいお国柄なのだ。主役は我儘で独善的な天才調香師のアンヌだが、本当の主役は運転手のギヨームである。ストーリーはこの二人の掛け合いで進んでいき、アンヌはギヨームに心を開いていくが、それは映画サイトに載っている話で、実際はギヨームの才能に気づいたアンヌがその才能をテコにして自分も再び輝きたいという熱意を燃やす話だ。そしてギヨームはそのおかげで人生を取り戻していく。
アンヌを演じたエマニュエル・ドゥボスは脇役でよく見かける女優で、演技は抜群に上手い。そしてそれ以上に上手だったのがギヨームを演じたグレゴリー・モンテルである。我儘なアンヌに腹を立てるが、やがてアンヌに悪意のないことと、単なる独善的なおばさんで、たまたま才能があったから高飛車になってしまったことに気づいて、それから後はやんちゃな子供の相手をするように、ときには呆れながら、ときには指導者のように、ときには励ますようにして接していく。その微妙な変化を見事に演じ分けていくところがいい。特に、この世界は匂いだけではない、五感をすべて使うべきなのだとアンナを諭す場面がとてもよかった。
人は才能のある人に接すると成長するものなのかもしれない。料理を作るためにはとびきり美味しい料理を数多く食べる必要があるし、絵の才能を伸ばすためにはいい絵をたくさん見なければならないし、いい小説を書くためには本を山のように読まなければならない。
人生をよりよく生きるためには優れた人と話をするのがいい。一芸に秀でた人の話には、必ず人生の真実がある。その人の人格はどうあれ、ひとつのことを深く追及するには、それなりの深い世界観が必要なのだ。人間を知らずに香水は作れないのである。アンヌと接することでギヨームの世界観がどんどん深まっていくのが手にとるようにわかる。そこが観ていて気持ちがよかった。
『ドライビング Miss デイジー』ミーツ『トランスポーター』?何気ない仕草で物語を誘なう繊細で軽快な再生の物語
離婚した元妻と娘の親権を巡って争っている臨時雇いの運転手ギヨームが元締めのアルセーヌから請け負ったのはアンヌという女性の送迎ドライバーの仕事。傍若無人に振る舞うアンヌにうんざりしたギヨームは一日でギブアップしたが、何故かアンヌは再度ギヨームをドライバーに指名。娘の親権のために仕事を選んでいる場合ではないギヨームは嫌々ながらアンヌとの仕事を請けたギヨームはアンヌがかつての天才調香師で、一時的な嗅覚障害が引き金となって業界から干されてしまい今は高級カバンの消臭やレプリカ洞窟に匂いをつけたりといった地味な仕事に甘んじていることを知る。
何となく『ドライビング Miss デイジー』や『グリーンブック』に似た感じのプロットですが、映像でも音声でも表現することの出来ない香りが物語の軸となっている点がユニーク。
ギヨームが吸っていたタバコの銘柄だけでなく使われている葉の原産地までも言い当ててしまうほどの鋭い嗅覚を持つ天才アンヌの孤独と、不安定な職業ゆえに娘と暮らすことが出来ないギヨームの焦燥がぶつかり合う中で二人の人生が新たな軌道に乗るまでを皮肉とユーモアたっぷりに描いた温かいドラマ。ナラティブな台詞ではなく何気ない仕草で物語を誘導する展開とちょっとした端役にもきっちり見せ場を持たせる丁寧な演出は監督が脚本も兼ねているからこそ出来る繊細なもの。いかにもフレンチな洒落た終幕もエレガント、地味ながら胸がすっとする爽やかな作品でした。
プロフェッショナルの格好良さ!
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