パリの調香師 しあわせの香りを探してのレビュー・感想・評価
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しあわせの香りとは
調香師というと日本での企業に属して芳香剤などを作るイメージだったが、さすが香りの大国フランス、フリーランスの調香師という仕事があって、香水作り以外にもあらゆる匂いに関わる仕事をすることをこの映画で知って、お仕事ドラマとしても面白かった。
主人公のアンヌがHSP体質というか、鋭い嗅覚を持つ一方、感覚が繊細過ぎるために社交も苦手で仕事の営業はエージェント任せで来てしまっており、嗅覚が衰えてしまってからは特に嫌な仕事ばかりでさらにストレスを溜める毎日を過ごしているという設定がリアル。
ギョームとアンヌが結ばれるのかなと思ったら違うハッピーエンドが用意されていて、アンヌにとってはギョームは恋人というよりもバディになったのかな、はっきりとは提示されないところがフランス映画も今時の雰囲気。
ともあれ、分かりやすい邦題。
みんな幸せの香りが見つかって良かった^ ^
遠くを見るんだ。すぐそばを見るんじゃないぞ。
トータルで見ると王道のストーリーとも言えるかもしれないが、自分は、ろくでなしの中年男性と人間関係不得意な中年女性のダメダメなところを双方キチンと描きつつ、それでも互いにほんの僅かずつ、プラスの影響を与え合っていくささやかなエピソードの積み重ねに好感を持った。
人が1人生きていくには、常に公明正大になんて言ってられない時もある。元を正せば、確かに因果応報かもしれない。けど、どんなにダメダメな人でも、これだけは譲りたくないもの、すがり続けたいものはあるし、それを大切にしてもらえなければ生きてはいけない。その部分の圧倒的な肯定が、フランスっぽいなぁと感じたし、この映画の大好きな部分。
「遠くを見るんだ。すぐそばを見るんじゃないぞ。」
さりげないセリフだが、何て含蓄のある言葉だろうか。
とにかく、展開がとても自然なので、2人の不器用さや、ちょっとしたツイてなさにクスッとしつつ、観ているうちに、主人公たちの行く末を案じたくなってくる。
ラストに向けての後半の畳みかけが、自分は特に気に入った。
そんなに香りには詳しくない自分にも、教室の場面は、まさに画面から香りが漂ってくるようでワクワクした。
観た後に爽やかな気持ちになれる良作。
鼻炎の多い日本人
アロマ関係の資格を持つ私としては、憧れの仕事調香師。
そのほかにも、絶対音感や唎酒師のような才能に恵まれた人は素敵だと思う。その反面ストレスや体調管理に大きく影響されることを考えると、苦労や不安は並ではないだろう。
4人に1人はアレルギー性鼻炎の日本人(私もその1人)には、なかなか調香師や唎酒師になるのは難しいと思うからこそ、より、憧れてしまう。
才能があればある程、その人自身をお金に換算して考える人は周りに多くなるだろう。だから、彼女の悩みは深まり、女王様気質で気難しくなってしまう。そんな彼女にギヨームは彼女自身の問題点に目を向けてくる辺りに彼の人柄や優しさをほのかに感じる。
Dior協力の元に創られたこの静かな温かみのある作品の品の良さをジャドールの香りを嗅ぎながら味わいたい作品。
キャラの調合もお見事
香水作りの一線から退いて畑違いの匂い対策で糧を得ている調香師のアンヌと、家庭問題を抱えるハイヤー運転手のギヨームとの出会いと心の融和、再起への道程を描いた人間ドラマ。
香水作りも芸術的分野、嗅覚障害なんてベートーベンの苦悩を彷彿とさせますね。
それにしても、しっくりくる納得の邦題は久々の脱帽です。
香水なんておじさんには縁遠いが、遺跡の匂いの再現、ハンドバッグのなめし皮の匂い消しや、工場の排煙対策など事例のユニークさもあって興味をそそられる。ディオールやエルメスの実際の調香師さんが監修したとあって説得力も流石です。
調合の妙と言えばキャラ設定もしかり、ただの善良なオヤジでなく必然性のない自販機やスーパーでのちょろまかしシーン、高圧的で冷淡な主人公が次第に懐柔する様は北風と太陽のお伽噺にも似た流れ、特に華々しい内容も無く淡々とした日常を描いた映画ですが魅了されました。
やさしすぎる運転手
ラスト15分で完結
香りも人もマリアージュマジック
変なタイトルつけたけど、「結婚」というより「別の2つのものが調和して予想外の効果をもたらす」という意味でマリアージュマジックな映画でした。
フランス映画は淡々としていて眠くなるんだけど、ほっこりな気持ちになる。
運転手の男性と、有名調香師の女性。
最初は相性の悪い組み合わせだったけど、段々と心を開いて頼れる仕事のパートナーになる。
運転手から無職になり、調香師になるなんて、人生ってわからないもの。
この映画で調香師の仕事がどんなものか知れて面白かった。
華やかな世界に見えるけど、地味でやりたくない仕事ももちろんある。スランプもある。
でも、香りが本当に好きだからできるんだなと思った。
懐かしい黄色い石鹸の香り、芝生を刈ったときの香り、
目で見た物や景色だけでなく、香りも記憶として残る。
そんな繊細な思い出を呼び起こせるって幸せ。
最後の学校のシーンはじんわりきた。
クボタだ
誰かと何かを分かち合うこと
『パリの〜』『しあわせの〜』という邦題ダメダメ要素が二つも入っているタイトル、生れながらに嗅覚の鋭さは持っていたにせよまったく素養なしの人間が“匂い”を仕事に出来るだろうかという疑問はあるにせよ、この作品を評価したいのは、この二人の出会いを安易に恋愛に持って行かなかったことにある。
運転手としての能力にも疑いのある(嵩む減点、料金所でのスマートさに欠けるetc.)ギョームではあるが、娘と過ごす時間を大事にしているという一点に関しては間違いないし、どこか人好きのする人柄は、人付き合いが苦手で親しい友人もいないアンナの心を開いていく。
アンナの助言はギョームに自信をもたらし、ギョームの素直な心はアンナに誰かと何かを分かち合うことの心強さ、充実感をもたらす。
男女が(二人の人間が)出会ったからといって、必ずしも恋愛に至るわけでもなし、そうでなくとも充実した人間関係を作ることが出来る、今作はそういうことを改めて教えてくれた。
“香り”、“匂い”に関する仕事がこれほど多岐にわたるというのも興味深かった。
天才的な嗅覚を持った女性調香師とかなりいい加減な性格のドライバーが...
どんな分野でも究めるとすごいよね
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