パリの調香師 しあわせの香りを探してのレビュー・感想・評価
全53件中、1~20件目を表示
しあわせの香りとは
調香師というと日本での企業に属して芳香剤などを作るイメージだったが、さすが香りの大国フランス、フリーランスの調香師という仕事があって、香水作り以外にもあらゆる匂いに関わる仕事をすることをこの映画で知って、お仕事ドラマとしても面白かった。
主人公のアンヌがHSP体質というか、鋭い嗅覚を持つ一方、感覚が繊細過ぎるために社交も苦手で仕事の営業はエージェント任せで来てしまっており、嗅覚が衰えてしまってからは特に嫌な仕事ばかりでさらにストレスを溜める毎日を過ごしているという設定がリアル。
ギョームとアンヌが結ばれるのかなと思ったら違うハッピーエンドが用意されていて、アンヌにとってはギョームは恋人というよりもバディになったのかな、はっきりとは提示されないところがフランス映画も今時の雰囲気。
ともあれ、分かりやすい邦題。
みんな幸せの香りが見つかって良かった^ ^
遠くを見るんだ。すぐそばを見るんじゃないぞ。
トータルで見ると王道のストーリーとも言えるかもしれないが、自分は、ろくでなしの中年男性と人間関係不得意な中年女性のダメダメなところを双方キチンと描きつつ、それでも互いにほんの僅かずつ、プラスの影響を与え合っていくささやかなエピソードの積み重ねに好感を持った。
人が1人生きていくには、常に公明正大になんて言ってられない時もある。元を正せば、確かに因果応報かもしれない。けど、どんなにダメダメな人でも、これだけは譲りたくないもの、すがり続けたいものはあるし、それを大切にしてもらえなければ生きてはいけない。その部分の圧倒的な肯定が、フランスっぽいなぁと感じたし、この映画の大好きな部分。
「遠くを見るんだ。すぐそばを見るんじゃないぞ。」
さりげないセリフだが、何て含蓄のある言葉だろうか。
とにかく、展開がとても自然なので、2人の不器用さや、ちょっとしたツイてなさにクスッとしつつ、観ているうちに、主人公たちの行く末を案じたくなってくる。
ラストに向けての後半の畳みかけが、自分は特に気に入った。
そんなに香りには詳しくない自分にも、教室の場面は、まさに画面から香りが漂ってくるようでワクワクした。
観た後に爽やかな気持ちになれる良作。
鼻炎の多い日本人
アロマ関係の資格を持つ私としては、憧れの仕事調香師。
そのほかにも、絶対音感や唎酒師のような才能に恵まれた人は素敵だと思う。その反面ストレスや体調管理に大きく影響されることを考えると、苦労や不安は並ではないだろう。
4人に1人はアレルギー性鼻炎の日本人(私もその1人)には、なかなか調香師や唎酒師になるのは難しいと思うからこそ、より、憧れてしまう。
才能があればある程、その人自身をお金に換算して考える人は周りに多くなるだろう。だから、彼女の悩みは深まり、女王様気質で気難しくなってしまう。そんな彼女にギヨームは彼女自身の問題点に目を向けてくる辺りに彼の人柄や優しさをほのかに感じる。
Dior協力の元に創られたこの静かな温かみのある作品の品の良さをジャドールの香りを嗅ぎながら味わいたい作品。
飾らず 気取らず
のギョームが素敵だった。
そういう性格が、何かと人間関係に壁を作ってきた、天才調香師の心を開いた…
授業参観の、父親の仕事
運転手じゃなくて…憎いラスト
父親の仕事にうっとりする娘の姿に、ほろっときた。
キャラの調合もお見事
香水作りの一線から退いて畑違いの匂い対策で糧を得ている調香師のアンヌと、家庭問題を抱えるハイヤー運転手のギヨームとの出会いと心の融和、再起への道程を描いた人間ドラマ。
香水作りも芸術的分野、嗅覚障害なんてベートーベンの苦悩を彷彿とさせますね。
それにしても、しっくりくる納得の邦題は久々の脱帽です。
香水なんておじさんには縁遠いが、遺跡の匂いの再現、ハンドバッグのなめし皮の匂い消しや、工場の排煙対策など事例のユニークさもあって興味をそそられる。ディオールやエルメスの実際の調香師さんが監修したとあって説得力も流石です。
調合の妙と言えばキャラ設定もしかり、ただの善良なオヤジでなく必然性のない自販機やスーパーでのちょろまかしシーン、高圧的で冷淡な主人公が次第に懐柔する様は北風と太陽のお伽噺にも似た流れ、特に華々しい内容も無く淡々とした日常を描いた映画ですが魅了されました。
まったく違う人生の二人が出会い…影響され合っていく物語
一度挫折を味わった調香師と不器用に生きている運転手。
その二人の出会いが、お互いに良い影響を与え合っていく。
静かだけど良い映画観たなぁ~って感じ。
フランス映画の良さがある。
やさしすぎる運転手
愛想のない女性の調香師
イヤと断れない優しい運転手
まあ
出来ないと言っても最後は
やるはめになるけど
そういうやり取りがオモシロイ
彼女は人と話すのは得意じゃないから
彼に本音をぶつける
彼の思いやりとやさしさに
拍手~
ラスト15分で完結
エマニュエルドゥボス扮する鼻が効かなくなった調合師とグレゴリーモンテル扮する運転手ギョームファーブルが助け合う物語。
そりゃあ香りを仕事にしているのに鼻が効かなくなったら一大事でどうなる?と言う事だが、乱暴に運転手を扱っていたから最初はケンカ別れだったのが何故か馬が合うふたり。せっかく麗しい展開だったのにラスト15分で完結してしまうのは趣に欠ける気がしたな。
香りも人もマリアージュマジック
変なタイトルつけたけど、「結婚」というより「別の2つのものが調和して予想外の効果をもたらす」という意味でマリアージュマジックな映画でした。
フランス映画は淡々としていて眠くなるんだけど、ほっこりな気持ちになる。
運転手の男性と、有名調香師の女性。
最初は相性の悪い組み合わせだったけど、段々と心を開いて頼れる仕事のパートナーになる。
運転手から無職になり、調香師になるなんて、人生ってわからないもの。
この映画で調香師の仕事がどんなものか知れて面白かった。
華やかな世界に見えるけど、地味でやりたくない仕事ももちろんある。スランプもある。
でも、香りが本当に好きだからできるんだなと思った。
懐かしい黄色い石鹸の香り、芝生を刈ったときの香り、
目で見た物や景色だけでなく、香りも記憶として残る。
そんな繊細な思い出を呼び起こせるって幸せ。
最後の学校のシーンはじんわりきた。
良いお話。 日常の中で、視覚、聴覚、味覚は、日本ではそこそこ市民権...
良いお話。
日常の中で、視覚、聴覚、味覚は、日本ではそこそこ市民権を得ているが、嗅覚は、まだまだかも・・・。香りは、無意識の内に、人に大きな影響を与えてるんだよね。
クボタだ
冒頭の親子のシーンで、この父親どうやっても好きになれそうに無い!から始まりやはり段々と応援してしまうのです。洞窟からなかなか鼻が利きそうだど思う所から調香師に、煙草をパコパコ吸いながら。まぁ可愛い10歳の娘の為ならえんやこらで良かったんじゃないでしょうか。予定調和ながらもいい気分で終われました。
誰かと何かを分かち合うこと
『パリの〜』『しあわせの〜』という邦題ダメダメ要素が二つも入っているタイトル、生れながらに嗅覚の鋭さは持っていたにせよまったく素養なしの人間が“匂い”を仕事に出来るだろうかという疑問はあるにせよ、この作品を評価したいのは、この二人の出会いを安易に恋愛に持って行かなかったことにある。
運転手としての能力にも疑いのある(嵩む減点、料金所でのスマートさに欠けるetc.)ギョームではあるが、娘と過ごす時間を大事にしているという一点に関しては間違いないし、どこか人好きのする人柄は、人付き合いが苦手で親しい友人もいないアンナの心を開いていく。
アンナの助言はギョームに自信をもたらし、ギョームの素直な心はアンナに誰かと何かを分かち合うことの心強さ、充実感をもたらす。
男女が(二人の人間が)出会ったからといって、必ずしも恋愛に至るわけでもなし、そうでなくとも充実した人間関係を作ることが出来る、今作はそういうことを改めて教えてくれた。
“香り”、“匂い”に関する仕事がこれほど多岐にわたるというのも興味深かった。
天才的な嗅覚を持った女性調香師とかなりいい加減な性格のドライバーが...
天才的な嗅覚を持った女性調香師とかなりいい加減な性格のドライバーが織りなす人間模様がいい。
女性調香師は鼻は効くが、人付き合いが苦手でぶっきらぼう。
それが男性ドライバーのいい加減な性格で次第に緩和されていく。
男性と10歳の娘との関係も段々良くなっていくのもよかった。
どんな分野でも究めるとすごいよね
この香りを嗅ぐとあの頃を思い出す。
香りって大事なんだと気付かされる。
どんな仕事や分野にも『世界』があるんだよね。
その世界を深く掘り下げていく。人と比べることじゃない。そんなことを教えてくれた映画でした!
フランス映画、最高!ブラボー!
J'ADORE ジャドール=大好き。
塩尻市の東座。
久しぶりに近所の小屋へ行きました。
「男」とか「女」だとか言うのはあまり好きじゃないけれど、素敵な女支配人が切り盛りしている、とても小さな映画館です。
彼女がいる日は当たり。
いない日は・・ハズレです。
(おじさんご免なさい)。
雨の夜です、今夜はお目当ての彼女はいるでしょうか?
・・笑笑・・《😉♪》 でした
雨の夜にバイクで行った甲斐があったというものです。
本日の出し物は「パリの調香師」。
受付でその美しい彼女がチケットにディオールの「ジャドール」を吹いてくれます。
そして細い手をスッと伸ばして、白く長いムエット(紙片)にもう一種類の香りを、僕に手渡しながら
「映画の最後にこの香りの答えがわかりますよ」とニッコリ。
たった4人の観客ですが、明かりの落ちた館内には ほのかにジャドールが漂います。
🎵
で、
映画が終わりまして、(えっ!もう終わりかよ)
出口の受付前で、くだんのヴィーナスが微笑みながらお客をひとりひとり見送ってくれます。
とうとう今夜も渡せませんでしたよ、ポケットの中の小さなDiorのイヤリング。
たいして何も語れずじまい。 ― 僕のお気に入りはパルファムDior Hommeだってことも。
もしおしゃべりが弾めば昼間の愛車でのドライブはGUCCIのENVYの香りだってことも ― 。
この映画館は、
町内のレストランとコラボして「映画に登場したお料理を鑑賞後に食べにいける♪」なんていう粋な企画もやるんですよね、
映画って、そうなんですよ、“五感”で楽しみたいし、今回の“香り”ももちろんそう。
映画館の前に立ったときからきょうの物語は始まっています。切符売り場から映画は始まっているんです。
・・・・・・・・・・・・
抱きたる汝が細き手を夏ツバメ
ほどき飛びたちジャドールと叫び
・・・・・・・・・・・・
追記:
おっと!
映画の中身には何も触れていませんでしたねー(笑)
嗅覚を失って入院してからのアンヌの眼差しが、ホント穏やかで良かったなぁ。失意の度合いに反比例して、人間の匂いに目を覚ましていくあたりです。
新型コロナウイルスが収まりません。「嗅覚の危機」です。
僕がワイン工場を辞めたのも、薬石効なく、花粉症のせいでした。年間3ヶ月は鼻がバカになります。それではどうにも仕事にならないのです。
本作品の主人公=香水の調香師や、ワイン、ウイスキーの醸造家たち、そして料理人やソムリエ等。彼ら「鼻」が生命線である練達者にとっては、コロナ・ウイルスはまったく恐怖そのものだと思います。
エール大学の教授がラジオでレポートしていました ―
「味覚や嗅覚の低下、そして引き起こる体のだるさ。これらコロナの典型的な症状を研究して判ったことは、定説に反してこのウイルスは首から上、つまり脳の内部にまで侵入して神経系をおかしている」
と。
・
夏草の香り
刈り取ったばかりの青草を渡る風
降り始めた夕立の気配
泣きながら顔を埋めたぬいぐるみ
乳臭い生まれたばかりの弟
おばあちゃんの家の夏休みの匂い
中学校の図書館
あと何分で炊き上がる~御飯釜
お線香、蚊取り線香、網戸を抜けてくる夜風
やわらかい晩秋の腐葉土
カビてゆく根雪
そしてもちろんあれね、
お母さんがお布団干しをしてくれた日の幸せ
etc. etc. etc.
「嗅覚を失うこと」がどれほど僕らにとって残念なことか気づけば、コロナの恐ろしさは、それはそれは気を失なうほどです。
人間同士の化学反応が生み出すもの
自らの才能に気づき頂点を極めた女と自らの才能に気づかず埋もれていた男が織り成す物語。
調香師という職業ゆえに香りの殻に閉じ籠り、そこに人間臭さを失ってしまったアンヌ。
また彼女を取り巻く周囲の人間もビジネス至上主義で彼女の才能はお金を生み出す手段でしかない。
偏屈で頑固で変り者のイヤな女だと思ったけど本音は苦しくてしんどかったんだろうな。
調香師という職業の過酷さも垣間見た気がした。
「匂いだけが人間じゃない」、核心を衝く言葉に自分の殻を一寸だけ破ってみようとするアンヌが意地らしかった。
互いに余り多くを語らないが、二人の化学反応により、互いの人生が再生されていく、味わい深い話だった。
香水は人間を幸せにする香りなのだから、人間をしっかり見なきゃね、っていうメッセージはしっかり受け取れた。
全53件中、1~20件目を表示