Malu 夢路のレビュー・感想・評価
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ぼんやり
"叙情的で美しい"と謳われる(特にアジア)映画の楽しみ方が未だにわからない…。個人的な嗜好としては、ファンタジーよりも人間の機微に触れられるような作品が好きですが、なんかそういうのとも違う。テーマの割にヒリヒリしてないんだよなぁ。
慚愧と悔悟
幼い頃に母親の心の病が切っ掛けで、離れて暮らすことになった姉ホンが、20年後母親が死んだことで妹ランのもとに戻ってきて、一緒に暮らし始めたら、今度は妹が家を出て行ってしまい、更に数年後、日本から妹の訃報が届くという話。
過去を振り返ったのか夢にみたのか、桟橋らしき所で縄を持つ母に嫌がる姉妹。
そしてテレビからは2014年に実際に発生したマレーシア航空機の行方不明事案を告げるアナウンス。
記憶か夢か幻想かというものをみせていく流れは、まったりとしたテンポと空気感でそれ程までには重さを感じないけれど、母親の様子はかなりしんどく、呻く声が耳に残る。
そして日本へ。
ランと関わりのあった人物と会ってランのことを聞き、考え想う様子と、話しを聞いた相手の目線でのドラマをみせていく流れ。
どんな思いで出身地を偽り、名を偽り、自分を語らずにいたのか、そしてそれを聞いたホンが思うことは………。
えっ!?なにその結末は???確かに感じは悪いけどだ。
そしてまた景色が一変。う~ん…お国柄の違いか、性別の違いか、こういうことなのかなと、想像が及ぶところもあるけれど、内容的にも感情的にもいまいちハマらなかった。
字幕の文字が小さい上に、背景と被って読みに難いところだったり、字幕が消えるのが早過ぎて、油断すると読むのがしんどいところが結構あったのも残念。
【静寂な空間】
この映画には静寂に包まれてるような感覚を覚える。
しかし、その奥底には、押し潰されそうになる苦しみや悲しみ、つらさ、痛々しいまでの心の叫びが閉じ込められている。
静けさが貫かれている世界は、人間の生きる世界ではないようにも感じる。
日本では至る所にお墓があり、人の住む場所と隣接していることが珍しくない。
そんなことも、後半の舞台設定が日本だった理由なのだろうか。
ホンとラン。
姉妹でありながら、異なる道を歩んだことで、わだかまりを抱えたままだった。
再び、わだかまりを抱えたまま、別の道を生きる。
もう、赦しはないのか。
だから、生と死のはざまで、赦し合おうとしたのではないのか。
そして、赦すことが出来たのではないのか。
今、生きている僕達の間でも、赦し合うことが出来るのではないかと思わせる作品だと思う。
ストーリーだけに依らず観てほしい気がする。
また、心の叫びを抱えながらも独特の静けさとマッチした細野晴臣さんの音楽が印象的だし、永瀬正敏さんはもとより、水原希子さんも注目だと思う。
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