劇場公開日 2020年12月11日

「【選択、勇気、愛情、祈り】」ミッドナイト・スカイ ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0【選択、勇気、愛情、祈り】

2020年12月13日
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オーガスティンは、知っていたのだ。

だから、北極の天文台に残ったのだ。
アイリスと共に闘ったのだ。

この作品は、ふたつのストーリーがおおよそ交互に語られ、エンディングで交錯する。

そして、いろいろな事実が明らかになって行く。

僕は、オーガスティンを想い、胸が熱くなった。

作品に、詳細を事細かに説明するような展開はありません。
非常に示唆的です。

以下は、僕の感じた事や解釈をそのまま記しているので、ネタバレもあります。

この作品に興味のある人は、是非、オーガスティンの気持ちを探りながら観てもらって、その後、必要であれば、僕のレビューをご覧いただいた方が良いように思います。

僕は、12月13日日曜日、明け方、早起きしてこれを書いていますが、昼ぐらいに紀伊國屋に、この原作を買いに行くつもりです。
(以下ネタバレあります)



オーガスティンは知っていたのだ。
娘が瀕死の地球に帰還しようとしている事を。

ただ、娘は地球の惨状も、オーガスティンが、それを知らせようとしてることはおろか、オーガスティンが父であることも知らないのだ。

オーガスティンは、前から、地球がこうなる事を予想していたのだ。
だから、家族と疎遠になろうと、自身の半生をかけて、この事態を食い止めようとしていたのだ。

アイリスは昔見た娘の幻影だ。

オーガスティンは孤独なまま闘っていたのだ。
しかし、改めて孤独では闘えないことを知り、自らアイリスの幻影を自らの中に生み出したのではないのか。

そして、コロニーから地球に向かう娘が乗るスペースシップの帰還を止め、助けたいと心の底から思ったのだ。
昔、別れ別れになった娘を。

家族を理由に、地球にポッドで帰還しようとするクルーのいる事を知り、絞り出すように、
I understand.
と応えるオーガスティン。

この言葉は、娘の安全を心から願うオーガスティンの偽らざる言葉だろう。

自分が父である事を名乗らず、コロニーに引き返させるオーガスティン。

なぜ名乗らなかったのか。
この葛藤は切なく、目頭が熱くなる。

娘には新たな命が宿っている。

エンドロールのスペースシップにも静寂が訪れる。

オーガスティンが息を引き取ったことを示唆するようでもあり、多くが無に帰ったことを暗示しているようでもあり、これからは静かで安らかな時が流れる事を示しているようでもある。

示唆が多く、地球の惨状の理由なども語られないため、評価は分かれるかもしれない。

僕は、壮大な地球や宇宙を舞台に、ヒトの愛情や勇気とは何かをテーマにした素晴らしい作品だと思う。

ワンコ
NOBUさんのコメント
2020年12月13日

こんにちは
 変わらぬ、ハイレベルなレビューですね。
 恥ずかしながら、2度目のお願いです。
 ワンコさんのレビューに触発されたので、当方のレビューの極一部を、改編させていただきます。
 ご寛恕願います。
 私は今から、「三浦春馬さん」著作の「日本製」の”一部”を再読します・・。「天外者」を観たので・・・。
 では、又。

NOBU