「【”ロスト・ホーム” そして、登場人物各々の究極の選択を描いた作品。”N・・” は、”ここまでの映像を作り上げる力があるのか・・”と、驚愕した作品でもある。】」ミッドナイト・スカイ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”ロスト・ホーム” そして、登場人物各々の究極の選択を描いた作品。”N・・” は、”ここまでの映像を作り上げる力があるのか・・”と、驚愕した作品でもある。】
ー 映画では、物語の詳細は語られない。
・観客の前で展開する映像は、極北の地にある天文台の食堂で、雪原を見ながら独り、食事をする白髭の疲労感漂う初老の男(ジョージ・クルーニー)。
そして、画面に出る”事故の三週間前”と言うテロップ。
飛行機らしきものに乗り込む人々の慌てる姿を見送った後、独り天文台に戻る男の背中。
・場面は一転、宇宙船の中。どこかの星に飛行していて、地球を戻る途中だという事が、徐々に分かる。
◆この映画は、この極北の地球上の”二人”の姿と、宇宙船内のクルーの姿を交互して映しながら、静かに進む・・。-
・独りだった筈の男の傍に、ある日、女の子が現れる。女の子は最初は喋らないが、花の絵を描いている時に”アイリス”という名が・・。
・場面は、急転、宇宙船へ。
地球に帰還する途中という事もあり、穏やかな雰囲気。
パイロットであるミッチェル(カイル・チャンドラー)は、長い間会っていない家族の姿がホログラムで映される中に溶け込んで、穏やかな表情で妻の手の上に自らの手を乗せながら、朝食を摂る。
マヤも同じく、友人達が映るホログラムの中で、のんびり時を過ごす。
・が、突如、微細な宇宙塵が船体に次々に衝突し、サリー(フェリシティ・ジョーンズ)始め、クルーは船外にて、補修作業を行う・・、が再び宇宙塵が襲い来る・・。
- この2度の宇宙空間での出来事の映像が、「ゼロ・グラビティ」を容易に想起させる。次々と襲い来る宇宙塵の”無音の迫力”。
そして、宇宙塵により負傷したマヤが船内に入り、ヘルメットを取った時に、漂い出す球体の大量の血液。
圧巻の映像である。
今まで観たことのない、その映像表現に驚く・・。-
・漸く繋がった地球との交信。地球側で交信を続けていた初老の男。
ー白髭の疲労感漂う初老の男の名前が、初めてオーガスティン博士と分かるー
初老の男が言う言葉
”すまない、地球を守れなかった・・。君たちは地球には戻れない・・”
そして、地球に漸く辿り着いた宇宙船から見える”変わり果てた”赤茶けた地球の姿・・。
・クルーの言葉を聞いていると、オーガスティン博士は、高名な、そして多分彼らの宇宙の旅のきっかけや、原因は不明だが、地球が壊滅的な状態になってしまった原因になってしまった発明をした人間であるらしいという事が分かる。
ー そして、若き日のオーガスティン博士と恋人らしき女性の別れの姿が時折、映し出される。
”アイリス”は博士の子供ではないか・・。そして、”アイリス”に対する複雑なオーガスティン博士の想いが、あのような形で、”アイリス”を出現させたのではないか・・、と推測しながら鑑賞。ー
◆様々な究極の選択
1.サリーは恋人であるクルーと共にお腹の子供と宇宙船に残る選択をし、
【それは、地球には二度と戻れないという事・・】
2.ミッチェルとサンチェスはポッドで地球に帰還する選択をする・・。
【大変な危険を冒してでも、家族に会うために・・、そして、亡くなったマヤを故郷である地球に戻すために・・】
3.そして、オーガスティン博士は極北の地で、”アイリス”と手を繋ぎ、美しい夕景を眺め・・。そして、次のシーンでは”アイリス”は・・。
【オーガスティン博士の、
ー”アイリス”の愛する人と宇宙で生きる、と言う選択を見届けた後で・・ー
”地球で、独りで生きる”という、選択。】
<序盤は、脳内フル回転で鑑賞。
そして、宇宙塵の飛来のシーンから物語は、一気に面白さを増す。
鑑賞側に、イロイロと自由に(様々な愛のカタチなど)考えさせる”滋味深い作品”である。
又、宇宙空間の映像のレベルには、心底驚いた作品でもある。>
なかなか渋い良いSFでしたね。
展開はゆっくりで多分意識的にリアリティの曖昧化を狙ったストーリー(つまり矛盾あり)だけど、細かい表情や描写が繊細でしみじみしました。
ただ若いころの回想では明らかに別人だったので、ちょっと混乱しかけましたが。
本来ハードSF好きですが、たまには抒情SFもいいですね。
NOBUさんへ
少なくともこの1年間、新刊の小説は一冊も読んでないBloodです。ちょうど今、SETIプロジェクトの牽引役をつとめた伝説の研究者フランク・ドレイク博士等を描いた「五十億年の孤独」って言う本(理系脳向け)を読んでたところと言うのもあって、映画の中のオーガスティン博士の姿が、フランク・ドレイク博士と重なってしまいました。原作のモデルもドレイク博士だったりしてw
NOBUさん
コメント有難うございます。
「 ー永遠に美しい地球を・・ー 」本当にそうですよね 🌎
来年もNOBUさんや皆さんの映画愛溢れるレビューをふむふむと読ませて頂きます。いつも温かなコメントを有難うございます。
良いお年をお迎えください。