キャリー(1976)のレビュー・感想・評価
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いじめ問題
冒頭のバスケットシーンからシャワーシーンへ。かなりエロチックな映像で始まるのが印象的だが、ちょうど初潮を迎えたキャリーはいきなり超能力を発揮してしまうのだ。 今でこそイジメ問題が深刻だったりするけど、この映画公開当時はイジメも激減していたような気もする・・・なんとなく。 クラスメートのクリス(ナンシー・アレン)、トミー(ウィリアム・カット)など、70年代の輝かしい若手俳優たち。そしてジョン・トラヴォルタの存在という豪華な顔ぶれだった映画だ。ナンシー・アレンはデ・パルマ監督と一時は結婚していた・・・もちろん、シシー・スペイセクはオスカー女優としていつ見ても名女優ぶり。 キング&クイーンとして舞台に上ったキャリーとトミー。改めて感じるデ・パルマ映像のスローモーション。なぜだかしつこいくらいに長いスローだ。それでも先生に裏切られたという感情を表現するのには効果があった。そして、『サイコ』と同じバイオリンの効果音。プロムのカタストロフと家に帰ってからの心中のような結末。それにすべてが終わってもスー(エイミー・アーヴィング)の夢の中で襲われる恐ろしさ。ホラー映画は最後の最後まで目を離せないパターンを作ってくれたことにも感動だ。 トミーまでが死んでしまったのに、スーが生きていることにもキャリーの怨みが感じられる。
シシー・スペイセクの怪演に尽きる。
デパルマ。シシー・スペイセクの怪演に尽きる。誰がいい人で誰が悪い人なのか多少混乱するところもあったけれど、70年代のある種喉の渇きを覚えるような陽気なガールたちの中に渦巻く薄暗い世界に生きるキャリーの表情には惹き込まれた。最後のびっくりシーンは文字通り飛び上がりました
シシーの存在に尽きる
カメラワーク、サイコを思わす音楽もいい が何より主演女優シシーだ 彼女の持つ、彼女ならではの雰囲気が正にキャリーの迫真さを生んでいる キャリーの母親役の女優も素晴らしい クラスメート達や先生の演技も良い ブレイク前のトラボルタも頑張っている しかし、やはりシシーだ 彼女の存在無くしては本作の成功は無かっただろう。名作たりえなかったはずだ 身近にいそうな、そして同じように同性から苛められていそうなそんな女の子をシシーがそのものズバリで演技してみせる、というかそこに居るだけで彼女そのものなのだ 小柄で痩せ過ぎ、美人とはいかない、がほんの少し可愛い、運動音痴だから色も青白い、引っ込み思案で内省的。でも芸術を好む美しいものを感じる感受性は豊か きっと思い浮かぶ女性があなたの周囲にもいるはず だからこそ物語が嘘臭くなくなり迫真さが違って来ている トミーも悪巧みと知りながら頼まれたからプロムに誘ったものの、ちゃんとドレスアップして化粧もすれば割と可愛いなこいつとキチンと紳士的に応対する演技が説得力を持って成立するのだ シシーの持つ容姿と雰囲気が絶妙のバランスなのだ それだからこそクライマックスに至る彼女の尻込みと陶酔するような幸福感、そして驚愕、屈辱の怒りの爆発、悲しみ、絶望、を単に共感するだけでなく、観る側が自分自身のものとして感じる事ができるのだ そしてクライマックスの惨劇がある種のカタルシスになる力を持つに至るのだ 中盤、アメリカングラフィティを思わせる、車で街を流すシーンがあります 監督はルーカス監督と仲が良いようで、メイキング映像で本作のオーディションはスターウォーズの第一作と共同でやったと話してます
学園モノ青春映画
オープニングが最高にヤバくてデ・パルマのエロと変態性がハマりセンスも良い。 キャリーが可哀想で顔はともかく身振り素振りが可愛く感情移入してしまいプロムのシーンからは応援の眼差しで鑑賞。 キャリーは自分の家庭環境がズレていることを解っているし変わろうと努力する初々しくて優しい気持ちの女の子であの母親でも愛する気持ちを忘れずに健気だ。 ホラーのインパクト大だが劇中での中心は基本的に学園での出来事で青春映画として楽しめる。 プロム会場での惨劇は怖すぎだが自業自得な連中と犠牲になった彼氏は可哀想。
思った程ではない
ホラー系はあまり得意ではないが、ホラーの名作として評判なので、いざ鑑賞。 もっとスリリングな展開と、じわじわっとくる恐怖を期待していたのだか、それ程ではなかった。また、狂信的な母親がもっともっと予期せぬ動きをするのを待ってたんだけど、予想の範囲内だったかな。 ただ、最後の夢のシーンは驚いたし印象的。みんな死んじゃったのね。 リメイク版があるようなので、現代版の『キャリー』も体験してみようかな。
逆に・・・
なんか見ててお母さんやっぱ怖いな、と思った しかも、学校もいじめの域を越えてるし もう犯罪でしょ いじめっこがとにかくむかつく すっごい面白かったけど、展開が早かったのとラストが原作と違ってたのがちょっと残念 でも、ホラーなんだけど女子が見たら(男子もかもしれないけど)私も変われるんじゃないかって思えるような作品
一番怖いのは人の恐怖。
なんだかホラーって言うよりキャリーが可哀想に見えてくる。偏った宗教感の母親と人間の憎しみの方が悪魔かなと思えてくる。 最後のプロムのシーンで女教師が嫌がらせセットを発見した生徒を引きずり出したのはセットを知っていたのかな?知っていたのならばこれが1番の恐怖かな~。ちなみにジョントラボルタとナンシーアレンが出演してるとはかなりテンション上がりました。特にナンシーアレンめちゃ可愛い~。
シシースペイセクが秀逸
元来ホラー映画は苦手だが、薄幸の少女を見事に演じたシシースペイセクの演技に思わず引き込まれたのを覚えている。 あまりに薄幸役がはまっていたので、シシースペイセクがJFKで子沢山の奥さん役で出てきた時、「幸せになってよかったなあ」って。。 アホか、俺は(;_;)
主人公の不気味さ
原作、リメイクは観ていません。 リメイク版キャリーの予告を見たとき、違和感があったんですよね。こんなかわいい子が何でいじめ?って。 今回オリジナルを観て主人公のキャリーの幸薄そうな、少し不気味な感じが怖かったです。超能力使うときの眼がぎょろってするとことか。古い映画特有の画面が少し曇っているような映像も恐さを引き立たせる気がします。 ただスーが本当に罪悪感からトミーにキャリーを誘うように言ったのかが分かりづらくて、ずっと疑っていました。ごめんね(笑) 最後のシーンも若干後味悪い感じが不気味で、なんとなく話の結末を知ってる人でも楽しめる(ホラー映画として)のではないかと思います。
なかなかな
もう~、主人公の女の子がかわいそうで(泣) 最後、あのようになってしまい、巻き添えくらった皆さんには悪いけど、「やったれーーー!」と思ってしまいました。 今年クロエちゃんの再演はどうなるかな?
ラストのおぞましさは秀逸
スティーブン・キング原作の映画らしいのだけど、そっちの方は未読。それでも顛末だけは知られていて、ほとんどの人にとってはネタバレ状態の作品。 それだけ有名どころの作品ということだが、しかし実際に鑑賞した人は1976年公開作品ということもあって、最近では意外と少ないのではと思う。 それだけにクロエ・モレッツ主演によるリメイクが、強烈なインパクトを残すだろうことは容易に想像がつく。 さて1976年版『キャリー』だが、さすがはスティーブン・キング原作の映画だとうなってしまう。 思春期の少女が中心ということでは青春映画だし、少女キャリーが念動(サイコキネシス)を使うということではサイキック・ホラーだし、デリケートな扱いながら宗教問題を取り入れた作品でもある。 また教育問題に関心の高い人からすれば、いじめを扱った社会派ドラマとして観るのかもしれない。 これだけの要素てんこ盛りとなると映画として破綻しそうなものだが、それぞれの観点から満足できる作品として成立している。 まず感心したのは、オープニングの段階で少女キャリーがいじめられっ子であること、卒業年次の高校生なのに生理の知識を持っていない性的に未熟な少女であり、かつサイキッカーであることを伝えきってしまった点。 これだけ鮮やかに表現されてしまったら、世の冗長な映画全ての教本的作品として監督業をやる人全員に観てもらいたいと思うほどだ。 原作を読んでいる人からすれば、たぶん相当に不足しているという印象を持つのだろうが、しかし狂信的な母親と抑圧された娘という関係も、ほどなく理解できる。 淫行を罪とする信仰は、一見するともっともらしく聞こえるものの、煎じ詰めれば子孫繁栄はどうすんだ?的欺瞞に満ちているわけで、その辺は子を持つ母親なら避けては通れないところだ。 若い頃によほど性的につらい目を見たのかと観客は想像するものの、娘たるキャリーとしてはオロオロして泣くほかない。観ている側もやるせない。 冒頭でさっくり舞台説明が済んでしまっているので、それ以降はキャリーの心情が手に取るように伝わってくる。 抑圧されっぱなしの娘が、おそらく初めて母親に反抗して卒業パーティーにオシャレして参加、イケメン男子にエスコートされていく姿は幸せそうで、そのラストを知っている人間からすると耐え難いものがある。 それはジェットコースターでじりじりと傾斜を上っていく感覚に近い。恐怖が差し迫っているのに逃げるすべを持たず、少しずつクライマックスに向かっていく、あの感覚だ。 ただ、ラストは少女らしい内にこもった結末で、やや尻すぼまりな感はある。 と思いきや、エンディングでギョッとするシーンを挿し込んだりと、とっても後味の悪い終わり方をする。 さらにおぞましいと感じるのは、キャリーがこうなった遠因を作ったのは母親ながら、最終的な段階を防ごうとしたのも母親だということ。思春期の反抗という至極当たり前の成長過程が、まさかこんな結末に至るとは。 また裏話的なことを付け加えると、キャリーを演じたシシー・スペイセクは当時26才。ハイティーンをとっくに卒業した女性が、思春期の繊細な女子高校生役であったなど、これ自体もちょっとしたホラーだ。 では評価。 キャスティング:4(当時無名のジョン・トラボルタやナンシー・アレンも参加。でも全体的に地味) ストーリー:9(やや中だるみ感はあるものの、冒頭で背景を説明しきってキャリーの情緒に集中できるのは好ポイント) 映像・演出:7(安っぽいのにギョッとする。ありきたりなのに後味悪い) サイキック:5(サイコキネシス自体、ビジュアル向きじゃないのを割り引いても、もうちょっと頑張って欲しいと思ったりはする) ハラスメント描写:8(いじめ問題や児童虐待、陰湿な暴力が満載) というわけで総合評価は50点満点中33点。 30年以上前の作品ということもあり、映像それ自体は古臭さをぬぐいようがない。 しかし多感な思春期の少女が織り成すサイキック・ホラーは、その種の趣味をお持ちの方にはご馳走だろう。オススメ。
抑圧された感情の暴発が招く悲劇
スティーブン・キング原作のホラーの傑作。 内向的な高校生の少女キャリーは、 その性格と複雑な家庭環境が故に同級生の激しいイジメに合います。 そのキャリーの中で目覚める「能力」 そして、その「能力」によってもたらされる、 恐ろしくも悲しい結末。 映像の見せ方、ストーリー、演技、 どれも素晴らしく、普通のホラーよりもワンランク上の作品です。 いじめる人間は必ず相応の罰を受ける。 抑圧された心は逃げ場が無ければ暴発してしまう。 いろいろと考えさせられる、ホラーの枠を超えた作品だと思います。
デ・パルマを知る作品
デ・パルマの個性が最大限にはっきされた作品。 凝縮してみれば30分の短編でも収まる物語だが、あの異常なまでの長回しやスローモーションが"キャリー"の名作たる由縁である。 キャリーも然り、M:Iも然り、再現したくなるような強烈なインパクトのあるシーン作りが出来るのは彼の天性だ。
圧巻の映像演出。憎悪の炎はしぶとくくすぶる。
TOHOシネマズで開催の『午前十時の映画祭』にて鑑賞。 原作S・キング、監督B・デ・パルマという魅惑の組合せ。 自分は昔からキング氏の著作が大好きでして、 『キャリー』の原作も映画も何度も観ております。 そういやここ数年観直してないなぁと思い、 この機会にと劇場へ向かった次第。 狂信的な母親に育てられた内気な高校生キャリーは クラスメイトにとって格好のいじめの対象。だが彼女には、 強い怒りを感じると発現する隠された力が備わっていた…… と、あらすじだけ聞くとどうにも陳腐かもだが、 実際に観ればそんな考えは跡形もなく吹っ飛ぶ。 いやはや、スゴイ映画ですよ、何度観ても。 強烈なオープニングで引き込み、 結末に向けて徐々に上がってゆく温度。その巧みさ! 終盤のプロムパーティのシーンはデ・パルマ監督の真骨頂。 スローの多用、縦横無尽のカメラ、フェティッシュな視線…… 忘れ難いのは、キャリーとトニーのダンスシーン。 カメラが延々とふたりの周囲を回り続ける中、 この上なく幸せそうな表情を浮かべるキャリー。 あのシーンに思わず涙を流してしまった。 どうしてこの無垢な少女が、あんなに 惨い仕打ちを受けなければならないのか? 観客はこの物語の避けられない悲惨な結末を 知っている。あるいは薄々勘づいている。 恐ろしい物語だったはずという記憶には 少しの狂いも無かったが、こんなにも 哀しく美しい物語だった事は久しく忘れていた。 そして迎えるクライマックス。 主人公の感情と同調するかのごとく、 堰を切ったように炸裂する映像演出。 血染めのようなどぎつい赤のライティング、 キャリーの異様な表情と逃げ惑う 人々とを同時に捉える画面分割、 一瞬で網膜に焼き付く鮮烈なショット…… 恐ろしい。 歯を食い縛っていないと、歯がカチカチ 鳴ってしまいそうなほどの恐ろしさだ。 映像と感情とがここまで完璧にシンクロ した映画には滅多にお目にかかれない。 初見の方なら飛び上がるだろうあのラストも見事。 昨今のホラー映画ではラストで観客を驚かせる 演出が必ずと言っていいほど盛り込まれているが、 その手の演出は本作がハシリだとか。 だがこの映画のラストは、単なる こけおどし以上の苦い余韻を残す。 死してなお消えない深い深い憎悪、 そしてくすぶり続ける自責の念……。 みぞおち辺りにズシリと響く傑作ホラーだ。 <2011/12/4鑑賞> ※2011.12初投稿
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