「復讐のカタルシス」キャリー(1976) Garuさんの映画レビュー(感想・評価)
復讐のカタルシス
ラスト20分。 キャリーが恐るべき念動力を使い、自分をイジメた者たちを片っ端からブチ殺していく。 この壮絶な復讐シーンこそが、この映画の最大の見どころだろう。
このシーンの演出にはいくつかの斬新な撮影テクニックが使われており、 それが修羅場と化したパーティ会場のパニック感をこれでもかというほどに盛り上げている。 デパルマ監督は、逃げ場のないところまで追い込まれたキャリーの悲痛な心を表現しようと、絞り出すようにしてこの撮影方法を創り出したのではないだろうか。 観ている者は、キャリーと同じ絶望感を抱くと同時に、復讐のカタルシスにも酔うことになる。
勧善懲悪ものの映画やドラマで多くの復讐シーンを観てきたが、 キャリーほど留飲を下げた作品はなかった。 ハッピーエンドではない映画で(少々屈折した)爽快感を自覚したのも、おそらくこの作品だけだと思う。
もう一つの見どころは、主役と助演の見事な演技。 親子役が両方とも女優賞にノミネートされた、シシースペイセクとパイパーローリーの迫真の演技が、怒涛のクライマックスへの導火線になっていることは間違いない。
スティーブンキング原作の映画には出来の良いものが多いが、 キャリーは、ホラー映画史に残る傑作であると言っていいだろう。
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