シカゴ7裁判のレビュー・感想・評価
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世界が見てる
スピルバーグが監督の名に挙がったり、キャストも二転三転。脚本家組合のストライキで製作ストップも。
完成まで紆余曲折あったハリウッド長年のプロジェクト。
コロナ渦で残念ながら劇場公開は見送られたが、Netflixによる配信でようやく!
作品は、待った甲斐があった!
1968年、ベトナム戦争下。それに対する抗議デモ。平和的に行われる筈だったデモが暴動に。煽動したとして、7人の男が逮捕される。裁判が開かれるが…。
ハリウッド映画と言えば、ド派手な予算とCGを駆使したアクションやSFが十八番だが、こういうヒューマニズム溢れる作品も…いや、こういう作品こそハリウッド作品の王道。
社会派、メッセージ性、裁判モノが好きな自分にとって、ドストライク!
とにかく見応えあった!
別国のひと昔前の戦争下の事だし、政治と司法絡みだし、実話だし、登場人物も皆実在。アメリカ近代史や背景を知らなきゃ絶対に退屈…
全く以てそんな事ナシ!
『ソーシャル・ネットワーク』など脚本家の印象強かったアーロン・ソーキンだが(『モリーズ・ゲーム』など監督も手掛けているが)、本作で監督として一気にキャリアアップしたと言えよう。
まず、開幕~7人の紹介~裁判の始まり。ノリのいい音楽と共にテンポ良く、本作が社会派映画という事を忘れ早々に引き込まれた。
勿論、社会派映画としてのずっしりとした見応え。
裁判はあまりにも不当で理不尽。“シカゴ・セブン”に勝訴の見込みなど微塵もない。
しかし、己の正義や信念を貫く。
思わぬこれ以上ない証人。
が、再び不当と理不尽の司法の壁…。
さらに、仲間内である人物の衝撃の真実。
果たして、彼らは裁かれる身なのか、それとも…?
希望の光が当たったかと思えば、その直後窮地に。見せ場の連続。面白さ、エンタメ性も抜群。
演出、脚本、編集など素晴らしいスタッフワーク。
でも一番の醍醐味は、スーパー・アンサンブル!
キャスト全員が最高の名演を魅せる。
エディ・レッドメイン。“シカゴ・セブン”の中で最も複雑な内面。クライマックス、ある窮地に…。
ヤーヤ・アブドゥル・マティーン2世。弁護士も付かず、裁判長からの明らかな人種差別や不当さにも屈せず、闘う。
ジェレミー・ストロング。ヒッピー風だが、暴動の際暴行を受けた女性を助けたシーンに心打たれた。
ジョン・キャロル・リンチ。虫も殺さぬ穏やかな男だったが、あまりにも理不尽な裁判に遂に怒りが爆発し、声を荒げるシーンは胸熱くなった。
ジョゼフ・ゴードン=レヴィット。若き検事。裁判に不本意を感じながらも任命され、7人を追い詰めていく…。
フランク・ランジェラ。裁判長。この裁判の不当、理不尽の塊。憎々しさはこの名優が全て請け負ってくれたからこそ!
マーク・ライランス。尽力し、頼りになる弁護士。さすがの名演!
中でも特に個性光っていたのが…、
サシャ・バロン・コーエン。
まるで本人そのもののような過激で挑発的な言動を繰り返す。故に、裁判長からは目の敵。
作品に毒のあるユーモアももたらすが、シリアスな演技も。
クライマックス近くでの証人席。
個人的に印象的だったのは…、TVなどのメディアに露出。記者からギャラは?…と聞かれ、それに対しての返答。
「俺の命だ」
コーエンは本作でオスカー助演男優ノミネートは確実視されているそうだが、混戦の今回、個人的には受賞に一票!
裁判映画のラストは、勝訴か、敗訴か。
しかし本作は、ただのそれじゃない。
そもそも、誰の裁判か。
…いや、何の為の抗議デモだったか。
忘れてはならない。4700人以上の戦役者たちを。
アメリカ側だけではない。何の罪も無く犠牲になったベトナム一般人たちへも。
忘れてはならない。
世界が見てる。
今でも。ずっと。
なかなかの見応え
久々に見応えのある法廷劇だった。 60年代、暴動を扇動した容疑で捕まったシカゴセブンと言われる被告が裁かれるさまを描いた作品。
数ヶ月にも及ぶ裁判の合間に回想シーンなどが織り込まれる。とにかく編集がうまくて飽きさせない! バラバラ個性の7人の被告たちや、ちょっと頼りなさそうな弁護士クンスラーも良いが、判事の憎たらしさも際立っている。陪審員不在で審理を続けるなんてことが通るのかと驚いた。
他の人も書いているが8人目の被告ボビー・シールに至っては完全に無関係・デッチ上げの冤罪。弁護士も付けられずに裁判が進行する恐ろしさ。途中で審理無効にはなったが、国は彼に謝罪が必要ではないのか。
よくある「最後は正義が勝つ」わけではなく、結局有罪の判決。 しかしこんなにも理不尽な裁判があった、それを知るだけでも大きな収穫。
民主主義国であってもいつでもこんなことが起こりうる、それは日本にとっても他人事ではない。
ヘイデンが戦死者名を延々と読み上げるのはあまりにも映画的なエンディングだが、これも史実なのだろうか?
ものすごく見やすい
ほとんど画変わりのない
法廷劇だが、悪役がきっちり描き分けられているおかげで
ものすごく見やすいものとなっている。
悪役がいるかと言えば、正義は曖昧で
そこは見ている側に委ねてくれる。
今風の作りだと感じた。
何をもって正義とするかの線引きは各個人でしたうえで
議論し、夢想する。
映画という文化が立派に機能しているといえる。
感じた事は、今の日本もこんな感じなんだろな
と、個人的には感じた。
法が全てではない。
それは政治的意図だったのか、スチューデント・パワーへの憎悪だったのか。
司法は法により違法を正す。個人的な価値観やイデオロギーを持ち込む判事も、「力を持つもの」におもねる判事も、あれですが。アメリカは、正に大統領選に関して、全開で誰かにおもねってるみたいです。シャレにならんよねぇ。
感動した。今のご時世、色んな事が頭に浮かんでしまうけど。
今日の政治と司法の問題は、一旦は、全て忘れて感想文。
◆時代背景 - 混沌の時代
1968年の民主党大会は、次期大統領の候補者指名のための大会。「大義無き戦争」として歴史に名を刻むベトナム戦争への反対派の旗手は、ロバート・ケネディでしたが暗殺されてしまいます。戦争反対派は、ベトナム戦争を始めたジョンソン政権の副大統領であったヒューバート・ハンフリー指名への抗議活動のために、シカゴに集まって来ます。
当時のアメリカ国内情勢は、混沌としていました。皆徴兵制に反対する学生を中心とした反戦運動の高まり。イッピーと呼ばれる、政治的思想を持つヒッピーの一部は、共産主義を基本とした思想を持ち共同体を理想とする若者たちで構成されていました。そして、黒人解放運動。
1968年頃と言うと、おそらくスチューデント・パワーの運動が、次第に暴力的にエスカレートし始めた頃。1968年5月の「5月危機」がきっかけとなり、騒乱はパリから全世界へ伝搬して行きます。
その前年、1967年にはデトロイトで黒人と警官隊が衝突。州兵のみならず、ジョンソン大統領令により連邦軍までが出動する事態となった暴動では、43人が死亡していました。
イッピーのアビー・ホフマンとジェリー・ルービンは有名人でした。映画の中でも、ユーモアとウィットと風刺的な態度が描かれていましたが、彼らの活動は非暴力ですが辛辣でした。2000人が手をつないで輪を作ってペンタゴンを取り囲み、「空中浮揚させるぞ!」なんて言う、ふざけた抗議活動を行った事は有名です。1968年の民主党全国大会時は、「本物のブタ」を自分たちの候補者として担ぎ出し、民主党をおちょくっています。
◆政治裁判
時の大統領は、共和党のニクソン。彼は、戦争を終結させるためにキッシンジャーを和平交渉に派遣する等の努力は、した人ですが、その交渉を有利にするために一時停止していた北爆を再開し、非難も浴びました。
「反戦」への理解はしつつも、 スチューデント・パワーやイッピーの抗議活動が広がって行く事も、ブラックパンサー党の様な「黒人自治」も許容は出来ない。と言う事なのでしょう。
「見せしめ」としての政治裁判は、民主党のジョンソンから大統領を引き継いだ、共和党のニクソンの元で始まりました。
◆明らかな演出(史実との不一致部分)
裁判で量刑が言い渡される前、トム・ヘイデンには発言が許されます。「手短に」と念をおした上で、ヘイデンは5000人余りの戦没者の名前を読み上げて行きます。
事実は、彼が判事の制止を無視してリストを読み上げたのは、公判中であった1969年10月の「ベトナム反戦デー」での事。彼の「主張」は強制的に終了させられています。
映画の中では、このラストが、本当に最高でポロリーンでしたけど。
物語を盛り上げるための、演出ですw
◆製作陣とキャストが最高過ぎ
脚本・監督は、「モリーズゲーム」に続いての法廷劇となったアーロン・ソーキン。製作の中で目立つのは、「ラ・ラ・ランド」等のマーク・プラット。音楽は「ハーレイクイン」等のダニエル・ペンバートン。撮影は「フォード vs フェラーリ」等のフェドン・パパマイケル。もうね、最高です。
役者さんも渋い実力派が集まってます!
その後、政治の世界に進み、ジェーン・フォンダとの結婚・離婚歴のあるトム・ヘイデンにエディ・レッドメイン。
アビー・ホフマンのサシャ・バロン・コーエンは、「レ・ミゼラブル」でテナルディエ役(コゼットを養っていた宿屋の主人)を演じてたんですね。レッドメインとは、そこで共演してるんだ。
ボビー・シール役のヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世は、「ザ・グレーテスト・ショー・マン」で、ゼンデイヤのお兄さん役の空中ブランコ乗り役だった人。
デリンジャー役で監督作もあるジョン・キャロル・リンチは、先日「宇宙人ポール」を見たばかりw
若き敏腕検察官リチャード・シュルツ役は、「インセプション」のジョセフ・ゴードン=レヴィット。
フレッド・ハンプトン役のケルヴィン・ハリソン・Jrは、「イット・カムズ・アット・ナイト」「ルース・エドガー」「WAVE」「J・Tリロイ」「ネクスト・ドリーム」と、もう乗りに乗ってます。
弁護士クンスラー役、マーク・ライランスは「ダンケルク」「レディ・プレイヤー1」にも出演していた演出家・劇作家。
良かった。とっても!
いやぁ、本当に見ごたえありました。
一国の善悪は世界にとっての善悪と同じなのか
法廷知識が乏しいにも関わらず最初から最後まで面白く見れてその上理解までできてしまった…。導入部分のオーシャンズばりにテンポのよい登場人物の紹介、情報量が多くてかつ史実に基づいた作品はかたっ苦しいことも多いが、この作品のテンポの良さはとっても気持ちが良くてあっちゅーまに惹きこまれる。
史実とかけ離れている点が多々あると批判されてはいるが、そうやって鵜呑みにするなよ!と教えてくれる人がいるからぼくらは脚色された作品を楽しんで学ぶことが安心してできる。
自分もレビューを読んで、事件の順番など史実と異なる点があるんだと初めて知ったひとりである。ありがてえこと。
公開が延期になったりネトフリに権利を渡したりというハプニングで「言論と自由」「差別」について世界が考えなければいけないタイミングで観れることになったこの作品。
脚色によって忘れてはならないことを魅力的に学べる映画があってもいいんじゃないかとぼくは思う。
レッテルや立場ではなく、きちんと自分で信じられることを貫き通すことが大切。
政治に興味を持てる若年層は少ないだろうけど、この作品を見てどんな形でもいいから未来に危機感を持てたらいいな。少なくともぼくは危機感をもてた。
自分たちの未来のことをきちんと考えて行動していかないといけない。過去に色んな出来事や犠牲があったおかげでぼくらはいま十分に選択ができる時代になっているんですね。
不公平な裁判
シカゴセブンと呼ばれる裁判のドキュメンタリー。
1968年8月の民主党大会に合わせてベトナム戦争反対を訴えようとした7人が暴動を扇動したという罪で起訴され、その裁判の様子を描いたドキュメンタリー作品。
当時は、アメリカでもあんな偏った裁判が行われていた事に驚いた。
日本や韓国なら拷問による自白の強要などが行われてた事も容易に推測出来る時代だと思うが、アメリカでは流石に拷問は無いが、偏った考えの判事による不公平な裁判は観ていて腹がたった。
それと黒人差別も描かれていたように思う。
フランク・ランジェラが憎らしい判事役を素晴らしく演じてた。
裁判の映画って、なるほど、って言う事例は作品にならないだろうから、こんな事件を取り上げるようになるのはわかる気がする。そして、そんなおかしな事が有ったという歴史を少しでも知ることがドキュメンタリーを観る価値なんだろうと思った。
一見の価値が有る作品です。
【”警官達は名札を外して、警棒を振りかざしてベトナム戦争に抗議する僕たちに向かって来た・・。” 果たして、アメリカの行政府、司法の根本的な思想は当時から”改正”されているのだろうか・・。】
■この作品、映画館で観たかったなあ・・。(嘆息)
◆1968年、ベトナム戦争が泥沼化する中、ジョンソン政権が倒れ、(と言うか、ジョンソン自身が世論を受け、2期目を断念。)ニクソン政権が誕生した端境期に起こった、
第35回民主党大会に、”反ベトナム戦争”をアピールするために立ち上がった若者達3団体と、シカゴ警察との衝突事件の首謀者とされた7人の若者に対する裁判を描いた法廷劇。
当時の映像も織り込みながら、物語は進む。
<Caution ! 以下、内容に触れています。>
■感想
・裁判の主任検事に任命されたシュルツ(ジョセフ・ゴードン=レヴィッド)が、裁判が進行するにつれ、自らが裁こうとしているトム・ヘイデン(エディ・レッドメイン)を始めとする若者たちと、”腐った行政府”との狭間で”淡々と”職責をこなす姿。
ー が、ラスト、彼の取った行動で、彼の心情が分かるシーンが染みる。ー
・愚かしきホフマン判事(フランク・ランジェラ:流石の演技である。彼の愚かしき判事を演じる姿が、この作品を見応えあるものにしている。)の姿。
- 明らかに行政府に与した裁判を展開。反発する被告、クンスラー(マーク・ライランス)、ワイングラス等、弁護団に対し、”法廷侮辱罪”を連発する。
エンドロールで流れる、彼の裁判進行に対する世間の厳しき評価のテロップに、留飲を下げる。-
・ブラック・パンサー党首、ボビー・シール。代理人を付けず法廷に立つ。反抗的な態度を取るボビーに対してホフマン判事が行った事。
- もはや、民主主義国家の裁判ではないな。流石に驚いたシュルツは審理無効を求める・・。-
・クンスラー、ワイングラス、トム・ヘイデンはジョンソン大統領時代、司法長官だったクラークに証言台に立つことを求める。そして、彼は【調査の結果、暴動の原因はシカゴ警察にあった】と勇気を出して、悠然と述べる。
- 狼狽えるホフマン判事。予備審問だから・・、と彼の証言を陪審員に伝えることを拒む。重ねて、民主主義国家の裁判ではないな・・。-
◆後半151日目 <白眉のシーンである。>
被告者代表として最後の意見を述べる、トム・ヘイデンに対し、ホフマン判事の
”君は、公判中、真摯に対応してきた・・云云かんぬん。証言次第では、君の刑期も云々・・”
という傲然とした言葉に対し、トム・ヘイデンは、4752人の、この愚かしき裁判が進行している中、ベトナム戦争で殉死した兵士たちの名前を淡々と読み上げる。
シュルツ主任検事はその言葉に対し、”戦没者たちへの敬意を示し”起立する・・。
<今作を鑑賞するまで、この裁判自体を知らなかった・・。
そして、今作品を観て思う事は、1968年と2020年のアメリカの行政府の愚かさは、全く変わっておらず(と言うか、明らかに悪化している・・。)
司法機関の機能も、RBGさんが亡くなり、愚かしき男の指名により最高裁判事の比率がリベラル派より、保守派が上回る状況になってしまった事は周知の事実である。
バイデン新政権が、どこまで現在のアメリカの軌道修正が出来るのか・・。
何よりも、情けないのが、私の住む居住区の大都会で、年末になって繰り広げられている ”Qアノン日本版” と呼ばれている連中の主張である・・。
新年が来るのに、暗澹たる気持ちである・・。
”世界が見ているんだぞ! 恥ずかしい振る舞いをするな!”>
これぞ才能のアンサンブル!
ベトナム戦争中に反戦を訴えデモをし、捕まった人々を巡る裁判を映画化した作品。
当時は産まれてないし予備知識は「いい映画らしい」とだけであらすじすら知らない状態で鑑賞。
当時の背景を知っていたらもっと深くなるのかもしれないが、知識は全くなくても編集が冴えてるので自然な形で当時のことが分かるようになっていた。
ドキュメンタリー調でありリアリティ溢れる編集は本当に上手だなーと感心した。アカデミー賞にもノミネートは確実だろう。
そして脇を固める役者もすっごいいい!
画面の何処を観ても味がある。「脇を固める」とはまさにこのことを指すんだろうな。
正直主演が誰なのかよく分からないけど、主演だけじゃなくて全員の演技が素晴らしいのでエンドロールで必死に文字を読んでいた。
その中でも特筆すべきは裁判長役のフランク・ランジェラとエディ・レッドメイン。
裁判長はテレビ画面を殴りたくなるくらいめっちゃウザくて憎たらしい。
しかし、怒りを抑え冷静に考えると、ここまで観客をイラつかせるのはすげえなと実感。もう顔つきがウザイし。あの存在無くしてこの映画は成立しなかった。
それとエディ・レッドメイン。
後で調べたらどうやら彼が主演らしいが、憑依にも似た演技をしている役者陣の中でも圧倒的な存在感を放っていた。
なんというか、いるだけで熱が伝わってくるという感じ。
これといった怪演がある訳では無いがスターオーラがすごかった。なのに周りに溶け込めていたので「さすが!」としか言えない。
と製作側ばかり褒めてるがもちろんストーリーも一級品。
なんかデビット・フィンチャー作品に作風が似てる。後で知ったけどどうやら監督は『ソーシャルネットワーク』の脚本をした人らしい。
渋いフィンチャー感とアメリカ的な熱が上手くマッチした作品でした。
暴動を起こしたのは警官隊
1968年にシカゴで起きた暴動の裁判を描く。
ジョンソン政権は、暴動を起こしたのは警官隊だったので、立件する気はなかったが、ニクソン政権は見せしめに立件し、政治裁判にしてしまう。
裁判官は最初から有罪と決めてかかり、検事局は司法省の意向から証言を作り上げる。
こんな映画を作ることができるスタッフ、俳優、出資者に敬意を表す。
権力に逆らう危険分子たちを有罪にする裁判
激動の1968年。マーティン・ルーサー・キングが4月に、ロバート・F・ケネディが6月に暗殺された。大統領選挙を控えた8月、民主党の全国大会が開かれたシカゴに全国から反ベトナム戦争派が集結し、集会やデモを繰り広げた。デモ隊と警官が衝突し負傷者を出す事件に。
今作はデモを扇動したとして起訴された各グループのリーダー7名、そしてデモとは無関係だったブラックパンサー党リーダーのボビー・シールを含む計8名を裁く法廷を描いた。
これは共和党のニクソン政権成立後の69年の出来事。彼等を有罪にするための裁判だった。保守的な裁判長は彼等に自由な発言を許さなかった。彼等に有利な証言を切り捨てた。
重苦しく悶々とする展開が続いた。
う〜〜ん、これは傑作だった。アメリカ民主主義の中に存在する権力の横暴、差別主義を浮き彫りにする傑作でありました。映画人としての気概とプライドをしっかりと受け止めました。
The Chicago Seven (originally Chicago Eight):
・Students for a Democratic Society (SDS): Tom Hayden, Rennie Davis
・Youth International Party (YIP): Abbie Hoffman, Jerry Rubin
・The Mobilization Committee to End the War in Vietnam (MOBE): David Dellinger
・John Froines, Lee Weiner
・Black Panther Party (BPP): Bobby Seale
法廷もの。
アメリカ人が大好きな法廷物の作品です。しかも事実に基づいているとなれば、なお興味が湧く作品となってる事でしょう。
舞台はベトナム戦争真っ最中。その中において抗議運動から逮捕・起訴された7人の男の裁判の行方を描いた実録ドラマです。
内容としては非常に骨太の濃い内容となってます。当時の若者なら、誰しも抱いていたであろう反戦、反権力に立ち向かう姿勢がありありと描かれており、観ている者も、そういった若者たちに共感を覚えずにはいられない事、必至です。ラストは、とても印象深いシーンで終幕を迎えています。また随所随所にアメリカの良心が反映されてるなぁとも感じました。
にしても演者の1人、トム・ヘイデン役を演じたエディ・レッドメインは今時ではなく60~70年代の映画が似合う風貌だったのが印象的でした。
※映画館にて鑑賞。
人々の対立を描いた社会派エンタメ
ベトナム戦争反対の抗議デモで逮捕された人達の理不尽な裁判を描いたノンフィクション映画。
黒人に弁護を与えられなかったり、デモのリーダーや弁護士に裁判官が理不尽な罰則を付けられたりかなり理不尽な裁判が展開されますが、それも当時の事実なのかと。
その理不尽な司法と被告達の攻防が面白く、人間の二面性や発言、人々の対立について問う要素もあったり、かなり見応えがあります。
個人的にデモ隊と警察の衝突シーンは香港のデモを彷彿とさせられて怖かったです。
ただ、序盤の裁判までのストーリーが長いのと、最後が字幕の解説のみで語られてる部分が多くて少しガッカリしました。
世界は揺れる
法廷劇としては普通に面白かった。
ただ実話という筋書きなので、非常に評価が難しい。実話を元にした映画は制作者の意図を読み取れないといけないからだ。
確かに7人に対しての結果が最初から決まっているような形式だけの裁判は横暴だが、これを「民主主義が奪われた!」なんて安易に批判するのは少し違う。このようなケースを野放しにしておくとそもそも国自体が崩壊していく。民衆がその時々の風潮に翻弄され好き勝手し出す。そんなことになったら◯◯主義が~なんて言ってられない。待ち受けるのは混沌だ。
こういう映画を観て安っぽい正義感を感化され安易に行動しないようにしなくてはならない。
しかしかつての日本の学生運動などがアメリカのこういった状況の影響を受けて起こっていたり、歴史的には大事なことなので観れてよかった。
政治裁判
マイケルキートン、おいしい役。きめてくる。個人的にはここがピーク。俳優陣は多彩でキャラが個々にたって、抗する側の行動の正しさを深掘りしてくる。どこか哀愁も帯びる。判事が悪すぎて、裁判の論点は少しぼやける。
ゆるぎなきものひとつ抱きしめたいよ
アカデミー賞にも絡んでくるのではないかと名高い作品。「ソーシャルネットワーク」も大好きなので喜んでNetflixで観ました。最高でしたね。
本作が特に優れていると思ったのは、体制側だけでなく反体制側についても良い面と悪い面の両方を見せたり、優勢劣勢を行ったり来たりすることで、史実をもとにしているとは思えないスリリングで予測以上の物語性を帯びているということです。判事がかなりデフォルメした権力行使を見せるので、感情移入は自然と反体制側に行きつつも、「このやり方は果たして良かったのか?」と随所に思わさせられます。いわゆる『能動的に作品を見ることができる』条件を満たしています。そりゃあ面白いに決まってます。
洋画には特に疎いので、豪華キャストなのかどうかは正直わかりませんが、一人ひとりの役者がイキイキと演技をしている。特に、理論・戦争に対する考え方はありつつも、それにどうしても感情が追い越してしまって急いた行動をとってしまう様を、セリフではもちろん、演技で表現しているのがとてもいい。 でも、最終的にはゆるぎなき信念一つで突っ走るのも良い。その信念がちゃんと伝播していくさまもいい。最高でした。
エンディングの着地のさせ方と、それに重ねるテロップも素晴らしい。本当に素敵な作品でした。
法の危うさを再確認させてくれる良作
ベトナム戦争が激化する中、反戦運動を行った活動家たちが暴動を扇動した罪で逮捕された事件の裁判を描いた、実話ベースの法廷劇。
NETFLIXオリジナル映画は初めて観たことになるのかも。
実話ベースの法廷ものって、警察や検察、そして政府が悪どいことを仕掛けてくることが多い。本作もまさにそんな話だった。
逮捕・起訴された者たちも主張は同じではないし、組織も違う。いがみ合っている関係がどう変わっていくのか、そして検察・警察がどんな方法で被告を追い詰めようとするのか、そしてどんな判決が待っているのか。
多少納得のいかない部分もあるが、弁護士たちの熱い思いや、まともな感覚を持った市民たちの熱さが伝わるいい話だった。
それにしてもこういう映画を観ると、政府や警察・検察・判事ってやつらは本当に信用ならない(もちろんまともな人がいることも知っているが)。法とは絶対的なものではなく、時の政権の都合や、勝手な解釈でどうにでも濫用されてしまう恐ろしさを感じた。
全108件中、61~80件目を表示