天外者(てんがらもん)のレビュー・感想・評価
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五代さんの信念が春馬さんに重なる
五代友厚の功績を知りたい人には、確かに物足りないと感じてしまうかもしれません。でも、監督が描きたかったのは、五代友厚が何をしたかよりも、何のために、どんな志を持って生きたかだと思います。そして、同じように未来の日本のために生きた同世代の若者たちとの友情と恋物語だと。私も初めて見た時は、正直予想していた内容と少し違ったなと感じましたが、前記のように思ったら2回目はスッと物語に入っていけました。
それに、丁寧に見ていると、五代さんの功績を本人以外の人物がセリフでかなり説明しているのですよね。でもやっぱり、三浦春馬さんの渾身の演技によって、五代さんの生きざまや志が、胸の奥まで響いてきました。というか、その利他主義と義を重んじる信念は、春馬さんそのものだなと思いました。
たまたま先日の大河ドラマで、ディーン・フジオカさんが演じた五代友厚が、「金も名誉も要らない。大切なのは目的だ」というあの名言を渋沢栄一に語っているのを見て、春馬さんの熱い演説シーンが蘇り、涙が出てしまいました。本当に、あの魂の熱弁は素晴らしかったです。あのシーンだけでも、見る価値があると思います。
もし、1回見て映画の良さがよく分からなかったという人は、ぜひ違う目線で、2回目を見てみてください。
新鮮!
五代友厚の映画化。映画、ドラマ等取り上げられる歴史上の人物はほぼ同じような人物が多く、今回のようにあまり取り扱われない人物(私が見ていないだけかも)のことを知ることが出来てとても面白かった。こういう映画はどんどん制作してほしい。
ただ、豊子さんとは出会ってもう次の場面では娘がいて、遊女との場面が多い割に奥さんとの場面が端折りすぎでは?と感じた。
三浦春馬さんの出演作を観るたびに、今後もっと活躍できたのに、、、と残念に思ってしまう。
物語のボリュームに時間が追いつけていない
おそらく、大河ドラマとして描くくらいの内容。
それを2時間にまとめているから、どうしても薄くなってしまう。
過去の偉人に、俳優がオーラで追いつけていない感じもあった。
歴史が好きだから、ハイライト版を観る感覚で楽しめた。
良かった!
見るまで名も知らなかった五代友厚の生き様に、惹きつけられた。
生き様
を映した作品だと思った。
生き様とは
誰と出会い、
何を考え、
どう動き、
何をつらぬき
どんな感情で
何を体験したか
そして周りがどう反応したか
良い作品だなと思った。
何をしたか、だけを書いてある情報の羅列とは違う
生き様。
特に万華鏡の小道具で、彼の才能、
分解して、再構築し、さらに良いシステムに作り上げる
その描写がうまかった。
すきやきのシーンや、龍馬との交流もおもしろかった。
やや、聞き取りづらいところもあったが、
今は亡き三浦春馬さんの魅力を最大限に表現しているな、とも思う。
特に捕虜になったところのシーンは、むちゃくちゃカッコいい!
時代劇って熱量すごくていつもシラけるけど天外門は感情移入した
とても良かったです。
描かれている時代は大昔ですが、自由がなく生きづらさを感じている所がコロナ禍の現在とリンクしていているなぁと思いました。似たような境遇だから、五代の感情に共感でき、映画を見やすく面白くさせてくれました。
今見ることで価値を存分に見出せる映画ではないでしょうか。正直この映画をコロナ前に見ていたら、私にはそこまで刺さらなかったかもしれません。大変失礼ですが三浦さんがお亡くなりにならなかったら、そもそも見ようとも思わなかったでしょう。
けれど縁あっていざ鑑賞すると、レビューを書かずにいられないくらい感動しました。もがいている人、気力を奪われている人は天外門を見てパワーを吸い取ってほしいです。
この作品に触れるきっかけをくださった三浦春馬さんに感謝します。心打たれる映画です。
万華鏡のマルチカラー映像は何を表すのか。
物語は、幕末から明治維新の激動の時代に生きた武士であり、実業家でもあった五代友厚の生きざまであった。今では、自己主張や自己評価を高く持ち、自己アピールできる日本人も多くいるが、明治時代の五代友厚は自惚れ屋として周囲から浮いてしまいます。愛する人の苦悩と何もできない不甲斐ない自分に、置き屋の女将の言葉でハッとする。「あなたは生きる為に何が売れるのか」(さすがの凄み女優のかたせ梨乃さん)と…
五代友厚はがむしゃらに日本の未来の為、愛する人の為に動き出す。
五代友厚は、万華鏡の中にみたキラキラした日本を思い浮かべ、ラストの夜景に浮かぶ、五代友厚を偲ぶ灯りが優しく未来を照らしている。天外者=ずば抜けて才能のある者である人の苦悩は計り知れないのだろう。五代友厚役である三浦春馬さんもそうだったのか、誰にもわからない。しかしながら、映画館でラスト自然に拍手がおこった。本当に素晴らしい天外者の三浦春馬さんでした。
二人の天外者
幕末~維新後の偉人と言えば…
坂本龍馬、勝海舟、西郷隆盛、政治家なら大久保利通、伊藤博文…。
恥ずかしながら、この人物の名は初めて知った。
五代友厚。
しかしその生涯や才能はまさしく、“天外者”!
武士から政府の役人、そして民間実業家へ。
立ち止まるという事を知らぬようなその生きざま!
元は薩摩藩士。
ペリー来航で揺れる日本。
しかし五代はこれを、日本が大きく変わる時!
「誰もが夢見れる国にする」
「俺なら出来る」
「俺に一日早く学ばせるという事は、この日本が一日早く進歩するという事」
何ちゅー異端児。大言壮語。自惚れ屋。
それ故、旧幕府側からは目の敵。毎日のように追われ、時には命を狙われる。
が、改革派からは目を掛けられる。勝から“日本を変えるかもしれない男”と言わしめ、大久保から信頼厚く、伊藤や後の三菱財閥の岩崎弥太郎とは旧知の仲。イギリス人貿易商トーマス・ブレーク・グラバーの支援で海外留学にも。
特に龍馬とは厚い友情育み、志共にし、この国の未来を語り合った。
留学中、あの事件が起きた時…。
明治。新しい時代。
でもそれは言葉だけで、国や民の生活は何も変わらない。
政府の役人であったが、この“縛られた”立場を退官し、本当の意味で日本を変える為、実業家に転身。
それからが凄い!
鉱山、造幣局、製造工場、証券取引所、商工会議所設立、大学設立、金属工業、貿易商、運輸会社、商船、銀行…。
誰もが自由に働く。誰もが自由に働ける職を作った。
それが日本を動かし、本当の意味で夢の実現に突き進んだ。
産業革命で近代日本の礎を築いた大実業家。
言わば、もう一人の渋沢栄一。
龍馬役の三浦翔平がなかなかハマっている。
弥太郎役の西川貴教も好助演。
幕末~近代日本に生きた男たちを熱く演じる。
森川葵は哀しい遊女を、蓮佛美沙子は支える妻を健気に。
でもやはり、この人の存在感無くして本作の魅力は無かっただろう。
三浦春馬。
単に最後の主演映画だからって捉える人もいるだろう。じゃあ、『ダークナイト』のヒース・レジャーは…? 間違いなく、本作は彼の最後の主演映画で彼の代表作になった。
それで魅せた全身全霊の熱演。体現。確かにちとオーバーリアクション気味かもしれない。が、それほど熱く演じたのだ。それほど熱く五代友厚を生きたのだ。
だからこそ、未だ信じられないあの急逝が…。
“天外者”とは鹿児島県の方言で、凄まじい才能の持ち主の意味。
確かに五代は“天外者”な才で、誰にも真似出来ぬ凄まじい事をやってのけた。
何もそれは私腹を肥やす為ではない。
この国…さらに言えば、この国の未来。
子供、孫、100年先ーーー。
人はどうしても自分や目先の安定を重視する。
別にそれが悪い訳ではない。一個人、生活するなら当然だ。
しかし、この国全体の未来を思うなら…。
今、我々が堪え忍ぶ必要がある。歯を食い縛る必要がある。踏ん張る必要がある。
そうすれば、きっと。いや、必ず。
クライマックスの五代の熱弁は最大のハイライトで、胸打つ。
冷静に“映画”として見て、多少難あり。
演出はステレオタイプ。重厚さに欠け、TVSPドラマっぽくも。かと言って青春群像時代劇なので、あまり重厚過ぎるのも…。
病に伏せた遊女はるを勝手に外に連れ出すなどツッコミ所もあり、一番の難点は時間経過。海外留学行ったと思ったらいつの間にか帰って来たり、妻と出会ったと思ったらすぐ子供産まれてたり。
2時間弱の尺に収めるのは幾ら何でも無理。
何故なら、天外者!
大言壮語で自惚れ屋でもいいじゃないか。それを有言実行したのだから。
才ある無いがあるかもしれない。でも、最終的にはそれじゃない。
目的を持って、突き進む事。
知られざる偉人で、我々と同じ夢見人、五代友厚の姿をこの目に焼き付けた。
そして同時に、
爽やか好青年から味のある役者へ。
三浦春馬さん。
どんな“天外者”になっていっただろう。
もうすぐ、突然の死から1年が経とうとしている…。
改めて突然の死を惜しみつつ、このタイミングで見れた事に胸が熱くなった。
脚本家・粗末先生の真骨頂
春馬君は悪くない。いや、俳優、監督、他の誰も悪くない。この人の脚本は誰がどう足掻いても面白くすることは不可能なんだ。
坂本竜馬や伊藤博文、他の名のある歴史上の人物との絡みや面白い史実、実在した人物を題材にするに当たって他の脚本家ならどんなクズでも書くだろうネタを物の見事に全削除。代わりに入ってるのは臭い恋愛描写と男版メアリースーさながらに無双する主人公。あまりのつまらなさに観てる途中で帰りたくなった。どんな題材もゴミに変える手腕はまさに粗末先生。映画を見逃してDVDで観ようと思ってる人は止めとけ。旧作100円でも損する駄作がこの世にはある。
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