「色々と少し残念」天外者(てんがらもん) まめ太さんの映画レビュー(感想・評価)
色々と少し残念
まず、重厚な歴史ドラマと思って鑑賞すると安っぽく感じてしまうと思います。
また伝記ではなく群像劇です。
ノンフィクションではなくてフィクションです。
その上で、感想としては、
配役★★★★★
演技★★★★★
題材★★★★★
役者も五代友厚という題材も良かったと思います。
特に三浦春馬と蓮佛美沙子の、五代友厚と豊子はとても良かったし、もっと観たかったです。
ただ、全てのシーンが短くて感情移入しずらかったです。
また音響がイマイチ…。映画館で鑑賞するならBGMはもっと抑えた方が良かったと思います。あとナレーションの英語の声が安っぽく、うるさく感じました。
映画の予告は音楽もナレーションも良かったので、あの感じにして欲しかった…。
あと視聴者が「察する」べきシーンが多すぎたようにも思いました。一つだけでも、五代友厚の尽力とそれによる成果(市民の喜び)を、ナレーションでも良いのでもっと具体的にわかりやすく伝えた方が良かったと思います。
また豊子の貢献と、豊子への五代の想いをもっと映像にして欲しかったです。
役者も演技も良かったと思うし、創作されたストーリーも良かったと思いますが、もう少し場面を絞って、「間」や「静けさ」みたいなもので、集中させて欲しかったです。
2時間ドラマならありかな…という感じの仕上がり。
本当に演技は素晴らしく、ストーリーも悪くないのですが、編集がなぁ…もったいないなぁ…と感じてしまいました。
【追記】
低予算、短期間で作られた映画だと聞いていたので、足りないものがあっても仕方ないと思いましたが、むしろ要らないものが多かったように思います。
音楽が過剰で、山を走っているシーンや最後の演説では音楽は要らなかった。特に最後の演説は五代友厚の声をしっかりと聞きたかった。
無くても良かったと思えるシーンもたくさんありました。色々しがらみでもあるのかな…。
逆にパンフレットで、脚本家がカットされたセリフについてコメントされていましたが、そのセリフ、そのシーンを入れて欲しかった。
亡くなった三浦春馬さんの遺作で代表作として、もっと五代友厚のシーンを大切に丁寧に編集して欲しかったと、本当に残念に思います。
五代友厚の人望や功績が伝わるように、また歴史的な背景が分かりやすいように、字幕やナレーションなど文字の力も使って欲しかった。
できることなら、大ヒットした収益でディレクターズカット版として編集し直して欲しいです。
三浦春馬さんのファンの方々が高評価を付けていますが、この映画で本当に良いの?って正直思います。
編集が違ったら、もっと五代友厚の人柄や功績、ひいては三浦春馬さんの役者としての実力がもっとしっかりと伝わるのに…と思います。
田中監督は役者さんの良い演技を引き出していると思います。でも、おそらく沢山のしがらみや制約の中、この編集になってしまったのでしょう。
日本映画は派手なシーンが無くても、伝える力を持っているはずです。そういう編集を望みます。