「なんの人なのだろう?」天外者(てんがらもん) コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
なんの人なのだろう?
三浦春馬くんの熱演は好感度が高かったが…
この映画最大の問題は、「で、この主人公の五代友厚ってなにした人なの?」ってのが全く分からない。
偉人伝って本来、「何をやった人なのか?」じゃないですか。
なのに、それがわからない。
描いているのは坂本竜馬、岩崎弥太郎(三菱創始者)、伊藤博文、グラバーとの交流。
惚れた2人の女とのなれそめ。
故郷薩摩藩の昔ながらの価値観な侍や、勤皇攘夷派の侍から命を狙われていたこと。
イギリスに留学したこと。
「大阪商法(商工)会議所」設立にあたり、初代会頭立候補の為に演説したこと。
はいはい、それは分かったよ。
で?
何を成し遂げたの?
邦画によくある「情動」「理想」「恋愛」部分しか描いてないもんで、結果が全然見えてこなかった。
ワイドショーと同じ手法で作られているんですね。
新首相でも、賞を取った科学者でも、優勝したスポーツ選手でも、経歴紹介で重要なのは、「これまでどんな事案に関わったか」「どんな実績か」のはず。
なのに、「どんな食べ物が好みか」とか「地元での人柄の評判」とかしか伝えないアレですね。
映画監督や俳優の訃報で、代表作に触れず、恋愛や醜聞だけ報じ、最後に「人気がありました」とナレーションをとってつけたような、そんな違和感にも似て。
情に訴えかける方が日本人には受けやすいのと、設立当時の諸施設をCGなどで作る予算がなかったという判断と推測されますが、「大阪経済の基盤を作った」ってナレーションひとつで終わらせてよかったのか、疑問が残りました。
(まぁ、「松島新地」を作ったとは言いにくいのでしょうけれども<他にいっぱいあるって)
亡くなった春馬くんの芝居が良かっただけに、個人的にはがっかりでした。