劇場公開日 2020年12月11日

「私も三浦春馬ファンとして、この評価は間違ってると言いたい」天外者(てんがらもん) といぼさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5私も三浦春馬ファンとして、この評価は間違ってると言いたい

2020年12月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

【12/17 23:00追記】

一部の三浦春馬さんのファンの方々が三浦さん追悼の意を込めて「天外者の評価を一位にしよう」ということをやっているらしいとTwitterなどのSNSで話題になっています。中には複数のアカウントを作成してまで高評価レビューを投稿する方もいらっしゃるみたいですが、これは荒らし行為に該当しますし非常に迷惑なのでやめてください。

レビューサイトをよく利用する映画好きの人たちは「三浦春馬さんのファンは私の好きなサイトを荒らすような民度の人たちばかりなんだ」と感じると思います。少なくとも私はそう感じました。この期に及んで故人の評判を下げるような人達をファンとは言えません。

迷惑です。やめてください。

レビューに入ります。

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先日若くして亡くなった俳優、三浦春馬さんの主演作。
各映画レビューサイトでの評価が☆4を越えるほどの高評価だったので、鑑賞してきました。
私が映画を観た15日時点で、映画ドットコムの評価は4.4、フィルマークスの評価は4.3でした。
レビュー書いている時点ではどちらのサイトも☆4.3ですね。
これは(幸福の科学映画とかを除けば)今年最高レベルの高評価です。

結論。これほんとに評価☆4.3??私の観る目がないんでしょうか。レビューサイトの評価の高さを見てハードルが上がっていたせいかもしれません。
正直私には「亡くなった三浦春馬さんの作品」というバイアスと、「三浦さんの作品を話題にしたい」というファンの☆5集団投票のせいで発生した☆4.3なんじゃないかと勘繰ってしまいます。実際、☆5評価している方のレビュー一覧を確認すると、ほとんどの方がレビュー数1(今作のレビューだけ)です。

ストーリー構成に違和感があったり、心理描写などの表現がイマイチだったように感じます。ストーリーも飛び飛びで、さっきまで喧嘩していたはずの人物が次のシーンでは仲良くなってたり、「いつの間にそんな展開になったの??」と、展開についていけない場面がいくつかありました。

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時代はペリー来航により衝撃を受ける日本。新たな時代への移り変わりをいち早く察知した若き武士・五代才助(三浦春馬)は、世界へと目を向けるようになる。たまたま遊女のはる(森川葵)と出会い、不幸な身の上から勉学も自由にできないはるの「誰もが自由な夢見れる国を」という言葉を受け、志を共にする坂本龍馬(三浦翔平)や伊藤博文(森永悠希)らと共に、社会変革のために動くのであった。
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序盤から気になるのは、物語の展開が跳躍していくということ。異常なテンポの早さでストーリーが進み、説明不足感が否めません。

例えば、五代と豊子との出会いからの展開。五代と豊子が出会ったシーンではあれだけ険悪な感じだったのに、次に豊子が登場したシーンでは五代が営む事務所で働いているし、その次の登場シーンでは五代と結婚して子供もいます。仲良くなった経緯とか結婚した経緯とか全く描かれないので唐突な展開に見えてしまいます。しかも調べてみたら実際のところ豊子は五代と親交が深かった知人の妹らしいので、あんな街中で出会って言い争いをする展開は映画の創作なんですよ。創作なのに分かりにくいというのは意味が分かりません。

豊子のシーン以外でも「何でそうなったの!?」「説明しろよ」となるシーンが多くて理解できない部分が多く、個人的には「難解」と話題になったTENETよりもよっぽど難しかったと思います。

中盤のシーンで「倫理的にどうなんだ」って気になるシーンもありました。具体的に言えば、病気になったはるを海まで連れて行くシーンです。「病気になった人を海まで連れて行く」という展開は、奇しくも先日鑑賞して非常に感動した「ミッドナイトスワン」と同じです。
「今にも死にそうな病人を連れ出す」なんて、現実的に考えればあまりに非常識な行動です。なので、それなりの理由がなければいけません。
「ミッドナイトスワン」では、病気である凪沙が「海が見たい」と親戚の女の子である一果に何度も懇願し、最初は嫌がっていた一果も最終的にしぶしぶ海に連れて行くことを了承するというシーンがあります。
しかし今作ではそのような描写は無いどころか、五代のわがままで病人を連れ出し、死なせてしまったようにも見えるんです。病気で意識も朦朧、息も絶え絶えになっているはるを、「そういえば昔一緒に海に行く約束をしたね」と連れ出して、結局はるが死ぬんです。
これ、感動げなBGMやカメラワークを使ってますけどやってることはかなり酷いですからね。せめてはるの口から「海が見たい」という台詞を言わせるべきでした。それがあると無いとでは海を見に行く意味合いが大きく変わります。

そして物語全体を通じて、「何をするために何をしているのか」という、目標達成のプロセスが説明されないんです。
「誰もが自由に夢を見れる国にする」という大きな目標が劇中何度も提示されますが、そのために具体的に何をするのかというのがほとんど描かれないんですよね。なので、五代が今何しているのか、何をしたいのかがよく分からず、ストーリーについていけなかった部分があります。
最後まで観た後でも、具体的に五代が何してたか正直分かりません。実在の人物の功績を描く映画としては、具体的な描写が不十分なように感じました。

私も大好きな俳優さんである三浦春馬さんの最後の作品ということであまり批判的な意見は言いたくないんですが、レビュー荒らしと言ってもいいレベルで、昨日今日作られたばかりの新規アカウントからの高評価が目立ちます。好きな俳優さんの作品の評価を上げたいというファン心理は理解できますが、「ファンだからこそレビューサイトを荒らすな」と私は映画好きとして思います。

といぼ:レビューが長い人