「薄ぼんやりの反戦映画」きまじめ楽隊のぼんやり戦争 はなもさんの映画レビュー(感想・評価)
薄ぼんやりの反戦映画
「オカシイ」と言う言葉は、
面白い、滑稽、変、不合理、怪しい、不審、妙、馬鹿らしい、バカバカしいと言う意味合いを現す。その意味全てを含む「おかしい」実験映画であると同時に薄ぼんやりとした反戦映画だと思った。
見始めは、一体何を現したいんだろうと思った。
まるで「粗忽長屋」を思わせるズレの可笑しさ、ルソーの絵の様な噛み合わない違和感、そして以前見たヴァロットンの絵画のような抑制の効いた妙な静けさと怪しさ、更に、昔のパタパタ漫画のような人の動きは緩慢でシュール。
ひとつひとつの画面を切り取ると独立した絵画になってて、画集を広げた面白さがある。
映画は、「動き」があるものなのに、登場人物の動作や台詞は、最小の動きと、漫才師のような繰り返しと噛み合わないズレの言葉のやり取りがオカシサを増し、また、その口調も歌うように抑揚があったり、感情を排した返しや質問の異様な可笑しみがワタシのツボにハマった。
この映画の時代設定は不明だが、七輪での煮売屋の看板、店前の干し大根、外に置かれた木箱型のゴミ箱、部屋の電球、ガラスの窓枠、レトロな大砲など、細かな美術が好ましい。
そして、訳が分からずいわれるがままに、対岸の町と戦争をしている人たちを描いてるのだが、役所の受付のお姉さん、煮売屋の妻、足で人のお尻を蹴る隊長、片桐はいりなどの絶妙な役者配置の上、奇妙な間合いと、狭ーい所で顔を突き合わせて合奏する絵面も、そのおかしさに笑えた。
と、笑っていたが、アレ⁉️これって、もしかして、ワタシ⁉️と我にかえる。
ひとりでボンヤリしているのは有りだけど、大事なコトガラに皆がぼんやりしていると、知らぬ間に事態は大変な事になってしまうんだぞ!という警告にも思えて、映画の最後は、微妙におそろしくて、深ーい主題があるのかなとも思った。
この映画は、実験的だし、シュールでちょっと想像力が必要だ。
こういう映画は初体験だが、私は好きだなぁ。
監督の今後にすごく期待してしまう。
はなもさん
私もこの作品を観たかったのですが近くで公開している映画館がなくて観ることが出来ませんでした。
はなもさんのレビューでおもしろさが何となく分かったのでよかったです。
kossyさん🙁
そうなんです、映画館で始めから私一人笑ってたんですよ。アレ?これって可笑しいはずなのに、どうして⁈って思いました、同じです。
私ももう一度、二度と見たい作品です。
はなもさん、コメントありがとうございます。
自宅で見る機会があればもう一回、二回と観たいところです。映画館では俺一人だけ笑ってたみたいで、細かいところをチェックし忘れてるかもです。
技術者で心を持っていかれました…