劇場公開日 2020年12月18日

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「体温と肉感~~」この世界に残されて 星のナターシャnovaさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5体温と肉感~~

2021年10月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

ホロコーストによって家族を奪われ心に大きな穴が空いた2人が
心を寄せ合い、悲しみを癒し、やがて新しい生き方を始めようと
動き出すまでを描いた映画!

そう書くと良い話っぽいのだけど、どうも私は気持ち悪い。

何故なら主人公が42歳のおじさんと
16歳のちょっと大柄な女子校生だから~~

最初の方、無理に大人びた口を利いて背伸びしている少女が
アルド(その問題のおじさん)に幼子の様にまとわりつき、
1人になる事を極度に恐れる様子は可愛くもあり、哀しくもある。
アルドがシェービングフォームで髭を剃っているのを
狭い洗面スペースの端っこに座り込みじっと見つめるクララ。
二コリと笑って頬のシェービングフォームを
指でクララの鼻先にチョンと乗せるアルド。
そんなシーンは親子の様で心和む。

アルドもかつて妻と子供を奪われ生きる気力を無くしかけていた。
人目も気にせず纏わりついてくるクララの存在に
戸惑いながらも狭いベッドで背中合わせに眠るクララの体温を
守り育てる事で生きる意欲を見出す。

体温と肉感~~
実は数年前に精神的に落ち込んだ時に
誰でも良いからハグして欲しい~~みたいな
そんな時期があったので、体温と肉感~~
その癒しの力は解るんだけど

どうしてもちょっと気持ち悪い!

16歳の少女と42歳のおじさんとの暮らしは
どうしたって世間は誤解するし
ナチスドイツの圧政を逃れたものの
迫りくる旧ソ連の圧力と
大人になって次世代を生きてゆくクララを
自分に縛り付けては行けないという大人の判断で
徐々に関係を解消していこうとするアルド。

観ていてこのあたりで私はホッとしたわ~~

ホロコーストや旧ソ連の圧力など大きな悲劇を描きながら
人間の体温や肉感がいかに人を癒すのか
人間の根源的な映画でもある気がするわ。

星のナターシャnova