「26歳差は今では全然ありかと でも70年前だからね~」この世界に残されて カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
26歳差は今では全然ありかと でも70年前だからね~
クララの成長に合わせた容姿の変化が秀逸で、本当に16歳から22歳になるまで待って撮ったのでは?と思ってしまいました。最後のほうは、とても美しかったです。最初のほうは体重を減らして、だんだん増やしたりしたのではと思います。
産婦人科医のアルドはふたりの息子と妻をホロコーストで失い、本当に無表情。ちょっと小日向文世をくそ真面目にした感じで、やらしさは全くなしでした。
クララは生理がこないのを心配した大叔母のオルギに連れて来られます。アルドが「お母さんも生理不順だったかな」というと、クララは「だった」に過剰反応し、「だった?お母さんは死んでない」と。クララは引きとった叔母や学校に馴染めない。というより、孤児であることを受け入れられないので、現実の生活にも自分から馴染もうとしない。頭がいいのですが、わざと反抗的な言動をとるので、おばさんは手をやき、学校では札付き扱い。読書が好きで、語学堪能。アルドにドイツ語の医学雑誌を翻訳してあげるほど。突っ張っているかとおもえば、人懐こいクララをもて余すアルドですが、寂しいもの同士、引き合ってゆきます。
16歳のクララと42歳のアルドは叔母の許可のもと、同居生活をはじめます。
ある日、熱を出したクララの往診をアルドは知り合いの小児科医に頼むのですが、年頃のお嬢さんに気を使う小児科医が背中から聴診器を当てる際にも、「アルドはあっち向いてて」というクララ。子供っぽいセリフですが、完全にアルドだけ別扱いなのが、かわいい。
そんなこんなで、少女と独身医師は周りから怪しまれ、誤解されます。
ソビエトの支配下にあるハンガリー🇭🇺では当局に突然連れ去られる者もいて、事あるごとに、電話線を抜いたり、机の引き出しに電話を隠してして、当局が盗聴するのを警戒する場面が何回かあります。隣人や学校からの通報でアルドが捕まらないか?ヒヤヒヤします。アルドには再婚のお世話をする人もいたり、未亡人の患者と急接近したりするかと思わされたりして、クララもアルドは私がいるから再婚しないのとアイロンがけをしながら聞いたりします。もう立派な奥さん気取り。お年頃になったクララは度々、ダンスホールに入り浸り、若い恋人が出来ます。でも、アルドが未亡人の患者が今夜家に来ると言うと、すごく動揺し、ショックを受けて、今夜は叔母さんのいえに泊まると言い、支度して出て行きます。未亡人はアルドに相談があるだけなのに。アルドは心を打ち明けません。しかし、スターリンが死んだ日に、クララの叔母やクララの恋人、病院の看護師たちとクララの叔母の家でささやかなパーティーをするのですが、アルドがバスルームに行ってしばらく戻ってこない場面があります。クララと恋人のペペ?はアメリカに渡り、事業を起こして一山当てようと話したりしたあとです。
映画を見る前は26歳違いね。ちょうどいいかもなんて思っていたので、こちらもアルドと同じ気持ちになってしまいました。優しい、ゆったりした、繊細な映画で、とても良かったですよ。
カール III 世さん
コメントへの返信有難うございます。
クララ( 父性的なものや大人の男性に対する憧れ、でしょうか )とアルド( 時代背景や立場的な配慮もありそうですね 🤔 )のいやらしくない「 好き 」の感情の揺れが、美しく切なく描かれていました。
娘を送り出す父親よりも切ない感情、頬を伝わる涙の理由、ですね。
細やかな解釈、有難うございます。
柔らかな色彩がなんとも言えず素敵な作品でした。
カール III 世さん
アルド、確かにいやらしさは皆無でした 👀
二人の秘めたときめく想いは伝わってきましたが。純粋な「 好き 」だからでしょうか 🤔
レビューを読んで映像が脳内で再現され、繊細で魅力的なクララの表情が浮かんできました。
仰る通り、優しい空気に包まれた作品でした。