「寄り添い、慰め合い、明日へ。」この世界に残されて バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
寄り添い、慰め合い、明日へ。
戦争や虐殺などの悲しい出来事の生き残ってる方々のお話。
スターリンの圧政が続く中、生きた心地もしない上に、大事な家族を
奪われているという事実を抱えて生きていかねばならない。
経験はもちろんないですが、心を平穏にするためにはどれだけの苦労が
あったのか?と思います。
アルド然りですが、なんらかの経験を経て、平静(を装っている?)な日々を
過ごせるようになったのでしょう。
そして、里親の描写も出てきます。さらに子供を守るために自らの大切な物を
奪ったであろう「党側」に入るという選択をするという描写も。
当時の方々は毎日毎日心が千切れるような思いをしていたんだろうなぁと想像します。
その中、主人公2人アルドとクララが出会うわけです。
子供の成長には親は必要なんだなぁ、血の繋がり云々ではなく。。。と痛感。
アルドと時間をともにしていく中、クララに人間味・・・年相応の多感な女の子になっていく様
その彼女を心配だけど包み込むような眼差しで見守るアルド。
癒し、癒されお互いが失った時間を取り戻していくかのような描写を優しく優しく描いていきます。
どんどん、自分じゃない誰かを想う、案ずる、愛おしむ・・・そんな人間味を取り戻していく描写が
心にじぃぃぃんときます。
そして、あぁ、そうなるよな。致し方ないよな。
きっかけがあれば、そーなっちゃうよな。
この展開はみる人によって感想は変わると思います。
しかし僕はこれでよかったと思ってます。
外力でどーのこーのではなく、当人同士の判断でこうなったことががよかったと。
ラストは、3年後が描かれます。
皆幸せそう。よかったよかった。・・・・しかし。アルドの視線はなぜか寂しそうなんだよな。
心配とは違う、自身の選択を後悔しているかのような、未練のような。
そしてクララに「僕は嘘をつく」と言う。
なぜ?言ったのか?彼なりの知っておいてほしいと言う気持ちの表れか?
もしくは自分の気持ちに今更気づいたか????
クララの世代はスターリン後の新世代を生きる。
後悔、未練のように見えるスターリン時代のアルドの眼差しに対し
ラストのクララの眼差し、は未来を見る世代の象徴なのかもしれない。
忘れてはいけないのはクララの笑顔もこの眼差しも、アルドとの生活の上にあるもの。
あぁ・・・辛い涙。