「安定のほっこり感!でも、次作は長編を!」夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
安定のほっこり感!でも、次作は長編を!
前作から2年余り、待望の劇場版第2作。「夏目友人帳」は大好きなので、もちろん公開初日に鑑賞してきました。開幕早々、いつものやわらかな絵と神谷浩史さんの穏やかな声が、劇場を優しく包み込み、一気に友人帳ワールドに誘われます。久しく遠ざかっていたこの雰囲気がとにかく心地よく、懐かしさを覚えました。
予備情報なしでの鑑賞だったので知らなかったのですが、本作の内容は「石起こし」と「怪しき来訪者」の短編2本。前作のように長編作品だと思い込んでいたので、そこはちょっとがっかり。それでも2本とも、友人帳らしいあたたかなエピソードで、ほっこりした気持ちになれました。コロナによる緊急事態宣言で心が落ち着かない中、こういう作品は本当にホッとします。特に今回は、石起こしのミツミがお気に入り。見ためもさることながら、金元寿子さんの声が実にかわいらしく、癒されます。
映像としては、もともとテレビアニメでもきれいなので文句はなく、本作も安定の作画でいつもどおりのクオリティ。しかし、テレビと同程度のクオリティで、テレビと同程度の短編エピソード2話分を連続で上映しただけなので、やはり物足りなさは否めません。次作は、映像もストーリーも劇場版ならではの付加価値のある、長編を期待したいところです。
ファンにはいつもどおりの夏目友人帳で、「おかえり夏目、おかえりニャンコ先生!」という感じでしたが、一見さんにはちょっとつらかったかもしれません。なぜなら、テレビアニメの続編のごとくしれっと始まり、夏目の思い、ニャンコ先生との関係、友人帳の存在など、作品背景の説明が一切ないからです。そのため、ストーリーは理解できても、作品のよさが伝わりにくいのではないかと思います。
というわけで、テレビアニメ2話分を劇場で観るという感じの作品で、いささか物足りなさは感じるものの、劇場ならではの没入感で久しぶりの友人帳ワールドを堪能できたので、満足度は高めです。