「安定の空気感。」夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者 Tonkiさんの映画レビュー(感想・評価)
安定の空気感。
人は普通、人間以外の未知なるもの、幽霊、宇宙人、UMA、妖怪などは恐れや敵対する対象としてしまうのではないだろうか?
この作品は主人公とあやかし達との「交流」を描いたものである。
同じような作品でゲゲゲの鬼太郎が思い浮かぶが、ゲゲゲの鬼太郎は「交流」ではなく「共存」であるため、相容れない相手とは戦い、あくまでも人間社会ベースである。
同じ地球という世界のなかで、あやかしは人間社会に迷惑をかけないように、自分たちの領域で自分たちの生活を営む。現代の人間達はその先輩達の存在に気づく者はほとんどなく、地球は人類のもの当然と日々を過ごす。
もっと相手を理解できたら。
共存できなくてもいい、分かりあえなくてもいい、でも、交流できれば、同じ地球上で生きていくことは出来る。お互いの流儀はあるがそれを強要はしない。適度な距離感(ここ大事!)で深入りしないのである。
なのに人間同士が争うなんてバカバカしい。
同じ地球上で同じ人間同士が。
人間以外の未知なるものは確かに脅威と感じて当然だろう。しかし、だからこそ、この作品のような未知なるものとの「交流」が尊く思えてしまうのである。
作品はその「交流」を通して、じんわりと私達に優しさや暖かみを感じさせてくれる。
感動して泣くほどの話でもはなく、大袈裟でもない。だって日常なんてそんなものでしょう。
これが夏目友人帳の空気感であり、魅力なのだと思う。
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