「静止しない天秤」由宇子の天秤 はなもさんの映画レビュー(感想・評価)
静止しない天秤
家族の誰かが重大な事件・事故を起こした場合、その家族は、否応無しに非難中傷に巻き込まれ 日常生活が出来なくなり、同じように、被害者家族も普段の日常が静かにおくれなくなってしまう現実を現していた。
主人公の由宇子は、ドキュメンタリーのディレクターとして、真相をキチンと描きたいと 隠れて暮らす加害者家族に『ちゃんと目を見て話を聞きたいんです』と取材を申し込む。その加害者の母親役丘みつ子、息を潜めて目立たぬよう、音を立てないように生活している有様。苦しそうな息遣いの声の演技が素晴らしかった。
由宇子役の滝内さんは実年齢が32歳だという。
えー😵あまりにも落ち着いていて、光石さんとの二人のショットは、年の離れた夫婦かと思ってしまったので、親子だと分かってびっくり。
そして、その父親が絡む出来事が明かされ 父親役の光石氏が娘に審判を迫られた時の表情。目は焦点あわず口は鯉のように少しパクパクしそうなのに表情筋が固まった感じで見応えがあり、上手いなぁと思った。
その後の展開は、ディレクターとして真実を露わにする側だった由宇子が 自分の身内が起こした事件には、蓋しようとする側になる。自身や自身の家族が事件・事故に関わった場合、正義よりも保身に走る姿が描かれる。
その為の保身は、頭なでなででの てなづけで現してたのか?と思った。で、撫で撫でされる女子高生役、その手を払いのけ鬱陶しそうな上目遣いがリアルで上手かった。
この映画は、ちょっとテンポが遅い画面運び、聞き取れないセリフの二、三、お供えしないパン、塾長なのに生徒との関わりを逸脱する父親の描き方などは気になったが、 被害者家族、加害者家族に対して、社会的死、制裁はどうなのか?と考えさせられ 自分ならどうする?と答えが揺れて天秤が静止しない。
今晩は
「彼女の人生は間違いじゃない」で、親子役で共演していますが、余り関係性は無いかと‥。只、上記作品でも光石さんはダラシナイ父親を演じていたので、監督が起用した可能性はありますね。では。