「今年の日本映画屈指の力作だと思う。然し重い。『空白』も力作だったが、もっと重い…」由宇子の天秤 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
今年の日本映画屈指の力作だと思う。然し重い。『空白』も力作だったが、もっと重い…
①先ずは非常に堅実でブレない演出に感心した。真面目であるが硬くなく一定のリズムで流れて行く様で確かな手応えがある。中盤まではほぼ完璧と言って良いのではないか。②ただ中盤までは映画の題材としてはさして珍しくない保身に走る組織(今回も学校)、無責任な報道、単に噂や容疑だけで関係者を追い詰める酷薄な世間(余程暇なのね)を糾弾する映画かと客観的に観ていられたが、中盤思いがけない出来事がヒロインに襲ってからは、登場人物達と同じくこの話にどう落とし前をつけるか一緒に模索することで、自分も映画の中に巻き込まれていく。(中略)この映画が提起する問題の中で最も根深くて深刻な問題は、自分の目や耳で確かめた情報ではなく、適当で浅薄な報道や噂を基に、犯罪者・容疑者(犯罪によっては犯罪者本人にも同情する余地がある場合もあるが、この映画に出てくる犯罪はどちらも性犯罪なので同情の余地なし)本人だけではなく、何の関係もない家族・関係者にまでも姑息で憎むべきやり方で追い込んでいく顔の見えない愚かな大衆とその問題である。余程暇なのか世間を恨んでいたり拗ねているのか(大概は自分に原因があるのに直視できない)自分が正しいと真から信じ込んでいるのか(これが一番面倒)、こういう輩はその人間性に根差しているので根絶・駆除するのは無理だと思うが、真に映画を愛する人の中にはそんな人間のクズはいないと信じています。
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