劇場公開日 2021年9月17日

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「主体性がないが故に成り立つ社会」由宇子の天秤 shantiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0主体性がないが故に成り立つ社会

2021年9月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

主軸が無くても何となく、出鱈目でも確実に動いている社会。誰も責任は取らないし、また取れない。正義を振りかざした側から、足元がぐらつく。自分に関して関心は薄く、他人に対しては異常なほど関心を示す。「オマエは誰だ?」と問われれば、直様「オマエこそ誰だ?」と問いをはぐらかし、発端を曖昧にする。これも人間の真実の姿には違いないのだろうが、立場の違いはちょっとした切っ掛けで交代する。社会的な強弱の差はさほどでもない。先ずは自らに関心を持つことだ。現象ではなく、存在というところで。
余談だが俳優陣の演技には目を見張るものがあった。監督の演出の上手さもあるのだろうが、これほど見せる演技が出来る俳優たちが世に埋もれている無念さもあるのだが、今後の日本映画の未来もまだまだ捨てたものではない。テレビサイズの映画ではない映画がスクリーンに現れる本数もこれからはますます増えて来るだろう。楽しみだ。

shanti