「誰でも『被害者』にも『加害者』にもなるし、その関係者にもなり得る。それを第三者⇒我が事視点で捉えた“恐るべき”作品。」由宇子の天秤 015🎬さんの映画レビュー(感想・評価)
誰でも『被害者』にも『加害者』にもなるし、その関係者にもなり得る。それを第三者⇒我が事視点で捉えた“恐るべき”作品。
観終わった後にいろんな意味で絶句してしまいました。
いや、物凄い作品です。
正直、今どきの邦画でここまで撮れるのかと思った程に。
この映画には二つの『被害者』と『加害者』の家族が出てくるワケですが、
一見して何の共通点もないと思っていたこの二つの家族。
実は両方とも同じ理由で『被害者』と『加害者』の構図が生まれているんですよね。
…オッサン達、ゴム着けなよ。いや、着けてもやった過ちに変わりはないんだが。
『加害者』にとってはほんの一回の出来心。
『被害者』にとっては信頼していた人間からの裏切りでしかない。
当初はドキュメンタリー番組のディレクターとして蚊帳の外にいた由宇子が、
自らも『加害者』の娘となった時の葛藤。
この時点では、まだ二つの“事件”の共通点は明らかになってはいませんでしたが。
いや、人間って簡単に『被害者』になるし、『加害者』にもなるし、
その関係者にもなり得るんだなと改めて恐怖しました。
きっとそれがラストの場面(由宇子が自分の写メを撮ったような感じでしたが)の意味なんでしょう。
本当に恐るべき作品です。
なお、個人的にこれは凄い…と思ったのは、母子家庭&父子家庭の自宅内の風景でしょうか。
すごいそれっぽいんですよね。
母子家庭⇒娘の物を優先。母の物は少ない。
父子家庭⇒汚部屋。めっちゃ汚部屋。鍋めっちゃ汚い。ラジオうるさい。台所生きてる?
なお、父子家庭の方は父と娘のビミョーな距離が、由宇子の介入によって徐々に狭まっていくのが観ていてめちゃめちゃリアルでした。
なお、パンフレットも購入しましたが、ドキュメンタリー取材記録もあったりして非常に読みごたえがあります。
今季イチ推しの作品です。
パンフレットの短いコミックは本編でカットされた?(萌の)エピローグでしょうか。たぶん。
パンフレットに主演の瀧内さんはじめ、キャストのコメント、インタビューなどがないのは個人的には残念でした。