劇場公開日 2021年6月4日

「没入感を削がれる二つの理由」胸が鳴るのは君のせい おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5没入感を削がれる二つの理由

2021年6月18日
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鑑賞方法:映画館

幸せ

イオンワンデーフリーパスポート3本目

お金を払ってまで観ようとは思っていませんでしたが、ワンデーパスを使って狭間の時間で鑑賞してきました。まあ、この手の作品は必ずハッピーエンドなので、途中で何が起ころうとそれほどハラハラしません。お気楽に観られるのはいいのですが、場内は若い女性ばかりで、アウェイ感がハンパなかったです。

本作は、主人公の篠原つかさが周囲の人物との間で揺れ動きながら、級友の有馬隼人へ寄せる恋心を甘酸っぱく描きます。観客の多くは、主人公と同化し、イケメンとのキュンキュンするような恋愛を疑似体験するという構図です。自分のような顔面偏差値の低い人間は、現実ではこんな恋愛は味わえないので、スクリーンの二人をうらやましく眺めていました。

しかし!本作では、どうにも我慢できない点が2点あり、没入感を著しく削がれてしまったのが残念です。一つめは、あまりにも非現実的は胸キュンシーンの演出です。彼女でもない同級生の髪を後ろから持つとか、声を上げながら宿泊室を見回る教師とか、それに気づいて大騒ぎで布団に隠れるのにバレないとか…、漫画やアニメでは許されても、実写でされると小っ恥ずかしく、あり得ないと思えるものばかりです。おかげで、現実に引き戻され、もう少し自然にできないものかと冷めた目で見てしまいました。

もう一つは、主演の浮所飛貴くんのあまりにも拙い演技。ジャニーズの子らしいので、ファンからすれば演技なんかより彼の姿そのものに価値があるのでしょうが、ファン以外の者にとってはノイズでしかありません。共演の白石聖さんは、いま勢いのある女優さんなのですが、彼女の演技が空回りして見えるほど、浮所くんが足を引っ張っているように感じました。いい作品を創ることより、彼の主演作を作ることを目的としたのなら、この結果はやむなしといったところでしょう。というわけで、出演者めあてならいいですが、映画作品としてはお勧めできません。

おじゃる