ザ・ライフルマンのレビュー・感想・評価
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ラトビア人向けすぎる
なんのために戦うのか誰のために戦うのか、それを変えながら描く戦争映画だ。
視点キャラクターである主人公アルトゥルスが細かい政治的なことを分かっていないので、観ている側にも分かりづらくなっている。
戦う相手は基本的にドイツ軍ってことになるが、ロシアの政治と争っているドイツに挟まれて何だか酷いことになる。
戦況ではなくて政治的な変化が面白さのポイントで、そこから愛国に流れていく。
ラトビアの国内向け作品だろうからこれでいいのだろうが、戦闘描写、含まれているドラマ、共に少々薄味だ。
少年兵の過酷な戦場体験という部分ではダメなことはなにもないけれど、起こったことをただ見るだけのドキュメンタリーのような雰囲気を感じる。つまり、映画的な面白さがあまりないんだな。
悪くないけれど見所もない完全ラトビア人向け作品だった。
圧倒的に小国なれどずっと独立を目指し、それを達成したラトビアという国に大いに興味を覚えた
ジンタルス・ドレイベルグス 監督による2019年製作(109分)のラトビア映画。原題:Blizzard of Souls、配給:アクセスエー。
位置も正確には言えなかったラトビアの映画というのが珍しく、視聴した。途中からなんかおかしいと思っていたが、舞台は第二世界大戦でなく何と第一次世界大戦であった。ただ逆に言うと、塹壕戦の本質はあまり変わっていないなとも感じた。
ドイツ兵に母を流れ弾で殺され志願した16歳の狙撃兵が主人公で、事実らしい。彼は結局は、かつて仲間を撃てというソ連指揮官に忠実な上官の指示に従えず、友人とともに軍隊を脱走。そして、ラドビア独立のための軍隊に入ることとなる。
ドイツ憎しは明確に有るが、かといってソ連も素直に好きになれないというラトビア人の心境を知ることが出来た。歴史的にラトビアが独立を達成できたのは、1990年。コレから、実に長い独立への歴史に、深い感慨を覚えた。
監督ジンタルス・ドレイベルグス、製作インガ・プラ二ェブスカ、原作アレクサンドルス・グリーンス、脚本ボリス・フルーミン、撮影バルディス・ツェルミニュシュ、音楽ロリータ・リトマニス。
出演
オトー・ブランテビッツ、ライモンツ・ツェルムス、マールティニュシュ・ビルソンス、イェーカブス・レイニス、ガティス・ガーガ、レナールス・ゼルティニュシュ、ビリス・ダウジニュシュ。
一兵士に、小国の悲哀を投影した佳作
第一次世界大戦時。世界の動乱に巻き込まれる小国ラトビアの苦難を描いた物語。
地味ですが、丁寧に戦争の無残さを描いた反戦映画の秀作だと思います。
母親をドイツ兵に殺された主人公の少年。その少年は志願してドイツとの最前線に送られます。
雷雨のような弾幕、スナイパーの狙撃、そして砲撃。隣にいた兵士が、親しい人たちが朽ち木のように倒れる様を、比較的淡々と描がかれています。
逆に、「人を殺す」ことについては、主人公の恐怖や苦悩をしっかりと描き、その対比を興味深く感じました。
ドイツだけではなく、共産党革命が始まると、粛清の恐怖も身近に迫ることとなります。
それこそ「右にも左にも」逃れられない小国の悲哀を、一兵士に投影して描き切りました。
ただ、映画としてみた場合、やはり地味には感じます。ラトビア国民なら感情移入出来る部分も、日本人の私には難しく、その分評価はし難くなってしまいました。
私的評価は4と迷いましたが、3.5にしました。
ドイツ人よりもむしろ。。。
タイトルの直訳はBlizzard of Souls(=吹き荒れる魂)で、ラトビア人なら大泣きするだろう、戦争映画としては珠玉の作品。ラトビア人俳優など知らないので有名人がいたのかどうか分からないが誰1人知らない顔であることもあってかとにかくリアル。100年前のドキュメンタリーを観ているようだ。原作(Aleksandrs Grins) はロシアでは禁書らしいが宜なるかな。映画館で観たかった。
祖国の為に
1913年、ドイツ兵に母親を殺された16歳のラトビア人少年が、父親と共に兵役に志願しライフル部隊に配属され出征する話。
ライフル部隊といっても、狙撃が主という訳ではなく、普通に塹壕戦を繰り広げる中で、敵兵を前にしても戦うことが出来なかった主人公。
銃撃を受けて戦線を離脱したり、父親の偉大さを目にしたりと成長物語か、染まっていく物語か、と思ったら、最後の最後でそういうところもあったけど…。
若干は緊迫感のあるシーンもあったけど、ヒリヒリする程のものはないし、迫力も生々しさもさほど感じられず。
戦争映画が好きなのでそれなりには楽しめたけどもの足りなかった。
実在の人物を書いた史実に基づく話とのことだから仕方ないか。
大国に挑む
第一次世界大戦、ドイツの侵攻の傍ら、背後のソ連との関係にも苦しむ小国のラトビアにて、17歳の少年兵の闘いを描いた作品。
当時まだ16歳の少年だった主人公、アルトゥルスは、母親をドイツ兵に殺害された恨みを胸に、元軍人の父や兄と共に軍へと入隊する。
戦力に勝るドイツ兵との死闘の中で、大切な仲間たちを失いながら、彼が最後に見たものは…。
戦場に行くものの、優しさか怯えか、敵兵を討つこのできない少年が戦争を通じて少しずつ変化していく。仮に自分も戦場だったとしたら、こうなってるかな…。
帽子を被ったオーリャ可愛すぎ。もっと出してほしかった。
激しく銃弾が飛び交う戦場。助けがくると信じて闘っていたラトビア部隊。本作品の原作となった「BLIZZARD OF SOULS」の作者がソ連に処刑されたのは…なるほど、こんな史実があったのか。
不勉強な自分には、ヨーロッパの世界大戦と言えば、独vs英やソ連…といった漠然としたイメージだった。
しかし、昨年の良作、「アンノウンソルジャー」でも、フィンランドとソ連のやり取りが描かれていたり、ここ数年の戦争映画を通し、世界大戦とは、ソ連との狭間で苦しんでいたヨーロッパ小国たちの歴史でもあるんだなぁと。。
ラトビア興行収入歴代一位の謳い文句に少々ハードルが上がってしまった面や、色んな要素があって、もうちょっとどれかに絞って焦点をあてても良かったかな~と思ったものの、ドイツとソ連に翻弄されるヨーロッパの小国の苦しみ、そしてアルトゥルスの厳しい生き様が良く描かれていた作品だった。
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